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チャネル病は[[イオンチャネル]]あるいはその関連タンパク質が原因で起こる疾患の総称である。イオンチャネルとは[[膜タンパク質]]の一種であり、特定の種類の[[イオン]]を通すことで細胞の電気的活動を担っている<ref>'''久保義弘、岡村康司'''<br>標準生理学 第8版 第4章 膜興奮性とイオンチャネル<br>''医学書院(東京)'':2014</ref>。そのため、[[興奮性細胞]]によって構成される[[脳神経]]系、[[心臓]]、[[骨格筋]]等におけるチャネル病の例が多数報告されている。あるいは[[腎臓]]や[[肺]]などでイオンの輸送が阻害されることによって起こるチャネル病なども知られている。イオンチャネルが身体のさまざまな部位で重要な役割を果たしていることから、チャネル病もさまざまな臓器において起こりうる。 | チャネル病は[[イオンチャネル]]あるいはその関連タンパク質が原因で起こる疾患の総称である。イオンチャネルとは[[膜タンパク質]]の一種であり、特定の種類の[[イオン]]を通すことで細胞の電気的活動を担っている<ref>'''久保義弘、岡村康司'''<br>標準生理学 第8版 第4章 膜興奮性とイオンチャネル<br>''医学書院(東京)'':2014</ref>。そのため、[[興奮性細胞]]によって構成される[[脳神経]]系、[[心臓]]、[[骨格筋]]等におけるチャネル病の例が多数報告されている。あるいは[[腎臓]]や[[肺]]などでイオンの輸送が阻害されることによって起こるチャネル病なども知られている。イオンチャネルが身体のさまざまな部位で重要な役割を果たしていることから、チャネル病もさまざまな臓器において起こりうる。 | ||
チャネル病には先天的な原因によって起こるものと、[[免疫]]疾患や薬剤誘発性等、後天的な原因によるものとに大別される。先天的とはすなわち遺伝子変異によるものであり、主に点突然変異によるアミノ酸置換やフレームシフトによるトランケーション、CAGリピートの増加などによって起こる。それらの結果として、単にイオンチャネルとしての機能が欠損するもの、すなわちイオン電流がなくなる、あるいは電流量が減少してしまうこともあれば、イオンチャネルの生物物理学的な性質が変わってしまっている場合もある。前者としては、イオンを通す[[イオン選択性フィルター]]の性質が変わることでイオンが通りにくくなってしまったり、あるいは[[細胞膜]]への輸送(トラフィッキング)への影響で、細胞膜上で機能しているイオンチャネルの量(発現量)が減ってしまったりするケースが考えられる。後者としては、例えば電位依存性のイオンチャネルの場合、その活性化の電位依存性が変化すること、あるいは不活性化するイオンチャネルにおいて不活性化の性質が変化することなどが考えられる。 | |||
疾患の原因である変異が同定できれば、[[哺乳類]][[培養細胞]]等の発現系に変異を導入したイオンチャネルを発現させ、電気生理学的手法もしくは細胞生物学的手法により機能解析をすることで、変異によって生じたイオンチャネル機能もしくは発現量の変化と、それによる疾患の発生メカニズムを明らかにすることができる。疾患の治療につなげるためには、このようなイオンチャネル特有の機能解析に基づいた原因の理解が不可欠である。さらに近年はチャネル病の患者から作成された[[iPS細胞]]を用いた機能解析も始まっており、この流れは今後ますます加速していくと思われる<ref name=ref2><pubmed>21307850</pubmed></ref><ref><pubmed>23277474</pubmed></ref>。 | |||
以下、興奮性細胞である神経系、心筋、骨格筋のチャネル病を中心に代表的なチャネル病の例を挙げる。しかしながら、イオンチャネルの遺伝子数と発現部位の多様性を考えれば、下記の例以外にも多くのチャネル病が存在し、今後も発見・同定されていくのではないかと思われる。また最近の総説として、神経系のチャネル病については2010年6月1日号にJournal of Physiologyが、チャネル病全般については2010年7月号にPflügers Archivがそれぞれ特集号を出版しているので、そちらも参照されたい<ref><pubmed>20516349</pubmed></ref><ref><pubmed>20238123</pubmed></ref>。 | 以下、興奮性細胞である神経系、心筋、骨格筋のチャネル病を中心に代表的なチャネル病の例を挙げる。しかしながら、イオンチャネルの遺伝子数と発現部位の多様性を考えれば、下記の例以外にも多くのチャネル病が存在し、今後も発見・同定されていくのではないかと思われる。また最近の総説として、神経系のチャネル病については2010年6月1日号にJournal of Physiologyが、チャネル病全般については2010年7月号にPflügers Archivがそれぞれ特集号を出版しているので、そちらも参照されたい<ref><pubmed>20516349</pubmed></ref><ref><pubmed>20238123</pubmed></ref>。 |
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