「アセチル化」の版間の差分

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==== パーキンソン病 ====
==== パーキンソン病 ====


 パーキンソン病は[[神経変性疾患]]で、[[黒質]]での[[ドーパミン神経]]の選択的欠損に伴う運動機能障害を特徴としている。パーキンソン病の大部分は孤発性である。ドーパミン毒素によりパーキンソン病様症状を呈したモデル動物に、HDAC阻害剤の[[フェニルブチレート]]を投与すると、黒質でのドーパミンの欠乏とドーパミンの生合成酵素であるチロシン水酸化酵素を発現する神経の減少が抑制される<ref><pubmed>15626823</pubmed></ref>。また、HDAC阻害剤の投与により[[中脳]]の[[アストロサイト]]で誘導される[[グリア細胞株由来神経栄養因子]]([[glial cell line-derived neurotrophic factor]]:[[GDNF]])は、ドーパミン神経特異的に生存と[[軸索伸長]]に作用する因子である(図3)。そのため、HDAC阻害剤投与はパーキンソン病を含む神経変性疾患の治療において有望な治療法となると考えられている<ref><pubmed>11988777</pubmed></ref>。  
 パーキンソン病は[[神経変性疾患]]で、[[黒質]]での[[ドーパミン神経]]の選択的欠損に伴う運動機能障害を特徴としている。パーキンソン病の大部分は孤発性である。ドーパミン毒素によりパーキンソン病様症状を呈した[[モデル動物]]に、HDAC阻害剤の[[フェニルブチレート]]を投与すると、黒質でのドーパミンの欠乏とドーパミンの生合成酵素であるチロシン水酸化酵素を発現する神経の減少が抑制される<ref><pubmed>15626823</pubmed></ref>。また、HDAC阻害剤の投与により[[中脳]]の[[アストロサイト]]で誘導される[[グリア細胞株由来神経栄養因子]]([[glial cell line-derived neurotrophic factor]]:[[GDNF]])は、ドーパミン神経特異的に生存と[[軸索伸長]]に作用する因子である(図3)。そのため、HDAC阻害剤投与はパーキンソン病を含む神経変性疾患の治療において有望な治療法となると考えられている<ref><pubmed>11988777</pubmed></ref>。  


 家族性のパーキンソン病では[[シナプス前]]タンパク質である[[Α-シヌクレイン]]の遺伝子変異が原因のひとつとされている。ヒト[[神経芽腫細胞]]において、α-シヌクレインはヒストンに結合し、HATであるCBPやp300、PCAFを不活性化することでヒストンの低アセチル化、及び[[アポトーシス]]を引き起こすことが示されている<ref name="ref24"><pubmed>16959795</pubmed></ref>。現在までの研究により、HDAC阻害剤のSBやSAHAの投与が、in vitro、in vivo両方においてα-シヌクレインの過剰発現による神経細胞死を減弱させることが明らかとなっている<ref name="ref24" />。これらのことも、パーキンソン病においてHDAC阻害剤が治療に有効であると考えられる根拠となっている。
 家族性のパーキンソン病では[[シナプス前]]タンパク質である[[Α-シヌクレイン]]の遺伝子変異が原因のひとつとされている。ヒト[[神経芽腫細胞]]において、α-シヌクレインはヒストンに結合し、HATであるCBPやp300、PCAFを不活性化することでヒストンの低アセチル化、及び[[アポトーシス]]を引き起こすことが示されている<ref name="ref24"><pubmed>16959795</pubmed></ref>。現在までの研究により、HDAC阻害剤のSBやSAHAの投与が、in vitro、in vivo両方においてα-シヌクレインの過剰発現による神経細胞死を減弱させることが明らかとなっている<ref name="ref24" />。これらのことも、パーキンソン病においてHDAC阻害剤が治療に有効であると考えられる根拠となっている。

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