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腸管神経系

191 バイト追加, 2015年10月27日 (火) 17:52
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 筋層間神経叢からの内在性一次求心性神経線維は粘膜下神経叢へも側枝を伸ばし、粘膜下神経叢に存在する内在性一次求心性神経と共に粘膜にも投射する。内在性一次求心性神経は後根神経節に存在する外来性一次求心性神経(extrinsic primary afferent neuron)と特性が似ており、サブスタンスPや[[カルシトニン遺伝子関連ペプチド]]([[calcitonin gene-related peptide]]; [[CGRP]])を[[神経伝達物質]]とする。また、[[感覚神経]]としてばかりでなく、[[侵害受容器]]としても機能する<ref name=ref4 />。
 Digiel II型神経は電気生理学的分類における[[AH神経細胞]]とほぼ一致するので、[[AH/Type II神経細胞]]と呼ばれることが多い。AH 神経細胞の“AH”は、[[後過分極]] after-hyperpolarizing の頭文字であり、[[活動電位]]の発生後に数秒から数十秒にわたって続く、[[遅い後過分極]]が見られるのが特徴である(図5 AH)。通常、AH神経細胞の活動電位は[[脱分極]]刺激に反応して75-110 mVという大きな活動電位を1つしか発生しない<ref name=ref7 />。また、この神経細胞には速い[[興奮性シナプス後電位]](fast excitatory synaptic potential; fast EPSP)は発生せず、細胞体から記録される活動電位は、[[テトロドトキシン]]([[TTX]])-感受性の[[Na+チャネル|Na<sup>+</sup>チャネル]]と非感受性の[[Ca2+チャネル|Ca<sup>2+</sup>チャネル]]を介した内向き電流からなるため、細胞体の活動電位はTTX存在下でもCaを介した内向き電流からなるため、細胞体の活動電位はテトロドトキシン存在下でもCa<sup>2+</sup>電流のみで充分発生させることができる。これに対し、軸索から記録される活動電位はTTXにより遮断されるので、TTX感受性のNa電流のみで充分発生させることができる。これに対し、軸索から記録される活動電位はテトロドトキシンにより遮断されるので、テトロドトキシン感受性のNa<sup>+</sup>チャネルは軸索での伝導に関与することが考えられる。
 内在性一次求心性神経は内在性一次求心性神経同士、介在神経および運動神経とも[[シナプス]]を形成し、腸管神経系内で反射弓を構成している。そのため、消化管の運動や血流および電解質輸送などの調節は、外来神経の関与がなくても腸管神経系の局所反射により制御することができる。すなわち、局所反射は、消化管内に存在する化学物質や消化管壁の伸展あるいは粘膜への機械的刺激などによる内在性一次求心性神経の興奮により誘発される。
 消化管の伸展や管腔内に存在する化学成分などの生理的状態、あるいは炎症などの病態生理的状態は、常に内在性一次求心性神経をはじめ、腸内分泌細胞や腸管[[免疫]]系を構成する細胞により監視されている。消化管に達する外来神経である迷走神経や内臓神経には50,000本以上の求心性神経線維が含まれているが、腸管神経系を構成する神経細胞の約20%は内在性一次求心性神経である。これら外来性および内在性求心性神経は、いずれもサブスタンスPやCGRPを神経伝達物質とし、テトロドトキシンは内在性一次求心性神経である。これら外来性および内在性求心性神経は、いずれもサブスタンスPやカルシトニン遺伝子関連ペプチドを神経伝達物質とし、テトロドトキシン-抵抗性電位依存性Na<sup>+</sup>チャネルや高電位で活性化されるCa<sup>2+</sup>チャネル等の特性を有している<ref name=ref2 />。
===介在神経===
 消化管を構成する粘膜筋板、輪走筋および縦走筋は、興奮性と抑制性の神経支配を受けている。これらの運動神経は単一の軸索を持つS型の神経である。[[S神経細胞]]の“S”は synaptic の頭文字であり、近傍の神経線維束を電気刺激することによってfast EPSPが観察されることから命名された。
 S型神経は比較的高い入力抵抗を示し、脱分極刺激を行っている間は活動電位を発生するばかりでなく、20-100 ms程度の短い後過分極を伴う。また、この神経に発生する活動電位はTTXにより抑制されるため、Nams程度の短い後過分極を伴う。また、この神経に発生する活動電位はテトロドトキシンにより抑制されるため、Na<sup>+</sup>チャネルによるものである(図5S)。さらに、S型神経細胞においてはfast EPSPの加重により活動電位を発生するが、slow EPSPも記録される。S型神経細胞の形状は様々であるが、全て軸索を1本のみ有する神経細胞でありDogiel II型には分類されない。従って、その機能は運動神経あるいは介在神経と考えられる。
 輪走筋を支配する運動神経の大部分は筋層間神経叢に存在するが、[[ヒト]]を含む一部の[[哺乳類]]では粘膜下神経叢由来の神経も輪走筋を支配している。括約筋も含めた消化管の輪走筋を支配する運動神経には興奮性と抑制性の2種類がある。興奮性運動神経はアセチルコリンやサブスタンスPなどを、抑制性運動神経は一酸化窒素、血管作動性腸管ペプチドおよびアデノシン三リン酸などを伝達物質とし<ref name=ref15><pubmed>2454974</pubmed></ref>、縦が13~35 μm、幅は9~22 μmの扁平な形の細胞体から4~20以上の樹状突起と1本の軸索を出すDogiel I型細胞に分類される(図6)。多くのI型神経の軸索は神経節を出て4ないしそれ以上の神経節を経由して輪走筋層に至る。
 消化管運動の局所反射は、粘膜への機械的・化学的刺激や腸管壁への伸展刺激により誘発される。腸管の伸展刺激による反射は粘膜と粘膜下組織を除去しても発生するので、伸展刺激に反応する内在性一次求心性神経線維は筋層に存在し、筋層間神経叢に存在する介在神経と運動神経により、反射が誘発されることを示している。しかしながら、ヒトを含む大動物では、縦走筋や輪走筋を支配する運動神経は粘膜下神経叢にも存在し、運動反射に関与している<ref name=ref1 />。内在性運動反射に関与する内在性一次求心性神経は介在神経と[[slow EPSP]]によりシナプス結合し、運動神経は平滑筋に分布している。
 空腹期伝播性収縮運動(IMMC)は、食後に残った残渣や過剰に増殖した小腸の[[wikipedia:ja:腸内細菌|腸内細菌]]などを取り除き、次の食事に備えるための運動と考えられている。ヒトでは食間期に強い収縮波が90分間隔で[[wikipedia:ja:胃前庭|胃前庭]]部から[[wikipedia:ja:回腸|回腸]]末端まで移動するが、移動速度は1分間に1~4cmと遅い。小腸におけるIMMCはTTXの局所投与やニコチン様受容体の阻害薬である末端まで移動するが、移動速度は1分間に1~4cmと遅い。小腸における空腹期伝播性収縮運動はテトロドトキシンの局所投与やニコチン様受容体の阻害薬である[[ヘキサメソニウム]]により抑制されるため、腸管神経系により制御されていることが考えられる。大腸運動も内容物を輸送するために腸管神経系により制御されている。実際、[[ヒルシュスプリング病]]のような先天的に直腸と大腸の腸管神経叢が欠損している患者では、大腸運動はうまく機能しない<ref name=ref38 />。
===水や電解質の輸送および血流の制御===
 粘膜への血液の供給は血管拡張神経を介して制御されており、粘膜の血流量は粘膜上皮の活動に応じて適切に調節されている。一方、腸管神経系には血管収縮神経は存在しない。なお、消化管に供給される総血液量は交感神経性の血管収縮神経により中枢性に制御されている。
 小腸粘膜下神経叢には3種類の分泌運動神経が存在する。1つは血管作動性腸管ペプチドを含む非[[コリン]]作働性神経であり、他の2つはカルレチニン及びNPYを含むコリン作働性神経である(表1参照)。そのうちVUP含有非コリン作働性神経とカルレチニン陽性コリン作働性神経は粘膜上皮や小動脈を支配しているが、NPY含有コリン作動性分泌運動神経は血管位は側枝を出さず、粘膜上皮のみを支配している作働性神経であり、他の2つはカルレチニン及び神経ペプチドYを含むコリン作働性神経である(表1参照)。そのうちVUP含有非コリン作働性神経とカルレチニン陽性コリン作働性神経は粘膜上皮や小動脈を支配しているが、神経ペプチドY含有コリン作動性分泌運動神経は血管位は側枝を出さず、粘膜上皮のみを支配している<ref name=ref4 />。
==関連項目==

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