「高次運動野」の版間の差分

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ネコ皮質運動野について中島 敏からの文献・文章を追加
(文献の追加、ネコ運動野についての記述を追加)
(ネコ皮質運動野について中島 敏からの文献・文章を追加)
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<font size="+1">[http://researchmap.jp/hmushiake 虫明 元]、[http://researchmap.jp/read0092785 松坂 義哉]</font><br>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/hmushiake 虫明 元]、[http://researchmap.jp/read0092785 松坂 義哉]、[http://researchmap.jp/read0149915 中島 敏]</font><br>
''東北大学 医学系研究科''<br>
''東北大学 医学系研究科''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年3月29日 原稿完成日:2015年月日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年3月29日 原稿完成日:2015年月日<br>
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=== 運動学習 ===
=== 運動学習 ===
 高度に習熟した運動の遂行には、一次運動野や[[小脳]]の働きが主体である。しかし、新しい順序運動を学習するときには、一次運動野だけでなく高次運動野・[[前頭前野]]などを含む広範な神経回路網が活性化することが報告されている<ref name="Jenkins1994"><pubmed>8207487</pubmed></ref><ref name="Hikosaka1996"><pubmed>8836248</pubmed></ref><ref name="Sakai1998"><pubmed>9465007</pubmed></ref>。更に運動学習初期の高次運動野への[[GABAA受容体|GABAa受容体]][[作動薬]]投与は学習に顕著な障害をもたらす一方、すでに獲得したmotor skillの遂行にはなんら影響を及ぼさない。<br>
 高度に習熟した運動の遂行には、一次運動野や[[小脳]]の働きが主体である。しかし、新しい順序運動を学習するときには、一次運動野だけでなく高次運動野・[[前頭前野]]などを含む広範な神経回路網が活性化することが報告されている<ref name="Jenkins1994"><pubmed>8207487</pubmed></ref><ref name="Hikosaka1996"><pubmed>8836248</pubmed></ref><ref name="Sakai1998"><pubmed>9465007</pubmed></ref>。更に運動学習初期の高次運動野への[[GABAA受容体|GABAa受容体]][[作動薬]]投与は学習に顕著な障害をもたらす一方、すでに獲得したmotor skillの遂行には影響を及ぼさない。<br>


== 様々な動物における高次運動野の研究の現状 ==
== 様々な動物における高次運動野の研究の現状 ==
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 ラットの大脳皮質で初めて運動野の存在が報告されたのは1982年に遡る。この年にDonoghue & Wiseによって、ラット前頭葉外側部の無顆粒皮質(lateral agranular cortex)への微小電流刺激によって運動を誘発できることが報告され、この領域が一次運動野に相当すると考えられた<ref name="Wise982"><pubmed>6294151</pubmed></ref>。ところが同じ年にNeafsey & Stevertによって、ラット大脳皮質には電気刺激によって前肢の運動を誘発できる領域が前後に各々1つずつ存在することが判明し、それぞれ吻側前肢領域rostral forelimb area (RFA)、尾側前肢領域caudal forelimb areas (CFA)と命名された<ref name="Neafsey1982"><pubmed>7055691</pubmed></ref>。その後、マウスでもラットCFA, RFAに対応する領域の存在が判明している<ref name="Tennant2011"><pubmed>20739477</pubmed></ref>。<br>
 ラットの大脳皮質で初めて運動野の存在が報告されたのは1982年に遡る。この年にDonoghue & Wiseによって、ラット前頭葉外側部の無顆粒皮質(lateral agranular cortex)への微小電流刺激によって運動を誘発できることが報告され、この領域が一次運動野に相当すると考えられた<ref name="Wise982"><pubmed>6294151</pubmed></ref>。ところが同じ年にNeafsey & Stevertによって、ラット大脳皮質には電気刺激によって前肢の運動を誘発できる領域が前後に各々1つずつ存在することが判明し、それぞれ吻側前肢領域rostral forelimb area (RFA)、尾側前肢領域caudal forelimb areas (CFA)と命名された<ref name="Neafsey1982"><pubmed>7055691</pubmed></ref>。その後、マウスでもラットCFA, RFAに対応する領域の存在が判明している<ref name="Tennant2011"><pubmed>20739477</pubmed></ref>。<br>
'''ネコ'''<br>
'''ネコ'''<br>
 ネコ大脳皮質ではcruciate sulcus後壁の4野、及びそれより前方にある6野を電気刺激すると反対側の体の運動が誘発される<ref><pubmed>5032469</pubmed></ref>。又、4野、6野からは脊髄への投射が存在し、これらの領域のニューロンは動物の運動に先立って活動する<ref><pubmed>6227829</pubmed></ref>。しかし、ネコを行動生理学研究に用いた研究の例は少なく、現在のところ、ネコ大脳皮質の高次運動野についての知見は限定的である。
 ネコ大脳皮質ではcruciate sulcus後壁の4野、及びそれより前方にある6野を電気刺激すると反対側の体の運動が誘発される<ref><pubmed>5032469</pubmed></ref>。又、4野、6野からは脊髄への投射が存在し、これらの領域のニューロンは動物の運動に先立って活動する<ref><pubmed>9100132</pubmed></ref>。このように組織学的、および電気刺激による知見から、高次運動野と思しきところは複数あるものの、ネコを行動生理学研究に用いた研究の例は少なく、現在のところ、ネコ大脳皮質の高次運動野についての知見は限定的である。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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