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==歴史== | ==歴史== | ||
アストロサイトはVirchowやDeitersらにより19世紀にはすでにその存在が知られていた(1,2)<ref> | アストロサイトはVirchowやDeitersらにより19世紀にはすでにその存在が知られていた(1,2)<ref><pubmed></pubmed></ref>''。Virchowはニューロンでない細胞を発見し(3)、Deitersはニューロンやオリゴデンドロサイトと接する軸索を持っていない細胞を見つけた(4)。またGolgiは神経系の全ての細胞を形態学的に同定した(5)。その後Cajalはゴルジ染色や鍍銀法によって具体的な形態を明らかにし、白質に線維性アストロサイトが、灰白質に原形質性アストロサイトが主にあることを示した(6)。「アストロサイト」と命名したのもCajalである。 | ||
==形態と種類== | ==形態と種類== | ||
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アストロサイトは多くの精神神経疾患に関係している。痙攣や神経変性疾患ではGFAP の発現が増加したreactive astrocyteが増える。これに対して鬱病や統合失調症の死後脳ではGFAPの発現が減少している (30)。またマウスの実験ではアストロサイトから放出されるATPが鬱状態のマウスに対し抗鬱作用があるという報告もある(53)。 | アストロサイトは多くの精神神経疾患に関係している。痙攣や神経変性疾患ではGFAP の発現が増加したreactive astrocyteが増える。これに対して鬱病や統合失調症の死後脳ではGFAPの発現が減少している (30)。またマウスの実験ではアストロサイトから放出されるATPが鬱状態のマウスに対し抗鬱作用があるという報告もある(53)。 | ||
しかしながら、アストロサイトで発現する分子の遺伝子変異が原因で起こる疾患はあまり多くはない。アレキサンダー病はGFAP遺伝子の変異によりおこる疾患で、症状としては大脳白質萎縮症(leukodystrophy)がみられる(54)。病理学的にはGFAPがアストロサイトに過剰に発現しローゼンタールファイバーという凝集体を形成する。MLC (megalencephalicleukoencephalopathy with subcortical cysts皮質下嚢胞を伴う巨脳性白質脳症)はアストロサイトのエンドフィートに発現するMLC1遺伝子変異によりおこる疾患で、症状としては巨頭症、進行性の運動失調、けいれん、精神遅滞がおこる。病理学的には皮質下嚢胞、ミエリンやアストロサイトの空胞形成が観察される(55,56)。 | しかしながら、アストロサイトで発現する分子の遺伝子変異が原因で起こる疾患はあまり多くはない。アレキサンダー病はGFAP遺伝子の変異によりおこる疾患で、症状としては大脳白質萎縮症(leukodystrophy)がみられる(54)。病理学的にはGFAPがアストロサイトに過剰に発現しローゼンタールファイバーという凝集体を形成する。MLC (megalencephalicleukoencephalopathy with subcortical cysts皮質下嚢胞を伴う巨脳性白質脳症)はアストロサイトのエンドフィートに発現するMLC1遺伝子変異によりおこる疾患で、症状としては巨頭症、進行性の運動失調、けいれん、精神遅滞がおこる。病理学的には皮質下嚢胞、ミエリンやアストロサイトの空胞形成が観察される(55,56)。 | ||
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