「神経細胞極性」の版間の差分

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===神経極性に関与する接着性シグナル===
===神経極性に関与する接着性シグナル===
 軸索形成の方向性の決定には、ラミニンやL1-CAMといった細胞[[接着分子]]の方向性を持った刺激も関与する<ref><pubmed> 17482549 </pubmed></ref> <ref name=ref39><pubmed> 10414970 </pubmed></ref>。ラミニンやL1-CAMをストライプ状にコートした基質上に神経細胞を培養すると、ラミニンやL1-CAMに接触した神経突起が優先的に軸索になる。また、ラミニンでコートしたマイクロビーズを用いてステージ2の培養海馬神経細胞の未成熟な神経突起を刺激すると、マイクロビーズ接触した突起先端にPIP3が濃縮し、突起が急速に伸長して軸索へと分化する<ref name=ref39 />。これらのことから、ラミニンやL1-CAMは接着性の細胞外シグナル分子として働き極性形成に関与すると考えられる。また、インテグリンはラミニンのレセプターとして知られており、神経細胞の発生過程の早い段階から発現がみられ、Integrin-linked kinase (ILK)を介して[[GSK3β]]を不活性化する。ILKを阻害すると軸索形成が抑制され、反対にILKの活性化型変異体を発現させると複数の軸索が形成される<ref><pubmed> 17490631 </pubmed></ref>。さらに最近、β1インテグリンはSADキナーゼを介して微小管を制御することで、神経極性に関与することも報告されている<ref><pubmed> 22430151 </pubmed></ref>。
 軸索形成の方向性の決定には、ラミニンやL1-CAMといった細胞[[接着分子]]の方向性を持った刺激も関与する<ref><pubmed> 17482549 </pubmed></ref> <ref name=ref39><pubmed> 10414970 </pubmed></ref>。ラミニンやL1-CAMをストライプ状にコートした基質上に神経細胞を培養すると、ラミニンやL1-CAMに接触した神経突起が優先的に軸索になる。また、ラミニンでコートしたマイクロビーズを用いてステージ2の培養海馬神経細胞の未成熟な神経突起を刺激すると、マイクロビーズ接触した突起先端にPIP3が濃縮し、突起が急速に伸長して軸索へと分化する<ref name=ref39 />。これらのことから、ラミニンやL1-CAMは接着性の細胞外シグナル分子として働き極性形成に関与すると考えられる。また、インテグリンはラミニンのレセプターとして知られており、神経細胞の発生過程の早い段階から発現がみられ、Integrin-linked kinase(ILK)を介して[[GSK3β]]を不活性化する。ILKを阻害すると軸索形成が抑制され、反対にILKの活性化型変異体を発現させると複数の軸索が形成される<ref><pubmed> 17490631 </pubmed></ref>。さらに最近、β1インテグリンはSADキナーゼを介して微小管を制御することで、神経極性に関与することも報告されている<ref><pubmed> 22430151 </pubmed></ref>。


==神経細胞の極性化を担う細胞内分子群==
==神経細胞の極性化を担う細胞内分子群==

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