「解離症」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
240 バイト除去 、 2016年4月19日 (火)
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
134行目: 134行目:
 現在のところ、我が国の一般人口中における解離症の患者数や有病率の確かなデータはない。[[解離性障害面接スケジュール]](Dissociative Disorders Interview Schedule, DDIS)を用いたカナダの調査では、一般人口の11.2%が解離性障害と推察された<ref name=ref20><pubmed>1946021</pubmed></ref>。またトルコでは解離性障害が一般人口の18.3%にみられた<ref name=ref21><pubmed>17157389</pubmed></ref>。下位分類については、特定不能の解離性障害(4.3-8.3%)がもっとも多く、解離性健忘(2.6-7.3%)、解離[[性同一性障害]](1.1-1.4%)、離人症性障害(0.9-1.4%)、解離性遁走(0.2%)である<ref name=ref21 /> <ref name=ref22><pubmed>16337235</pubmed></ref>。一般人口におけるスクリーニング調査では性差はないとされることが多い。
 現在のところ、我が国の一般人口中における解離症の患者数や有病率の確かなデータはない。[[解離性障害面接スケジュール]](Dissociative Disorders Interview Schedule, DDIS)を用いたカナダの調査では、一般人口の11.2%が解離性障害と推察された<ref name=ref20><pubmed>1946021</pubmed></ref>。またトルコでは解離性障害が一般人口の18.3%にみられた<ref name=ref21><pubmed>17157389</pubmed></ref>。下位分類については、特定不能の解離性障害(4.3-8.3%)がもっとも多く、解離性健忘(2.6-7.3%)、解離[[性同一性障害]](1.1-1.4%)、離人症性障害(0.9-1.4%)、解離性遁走(0.2%)である<ref name=ref21 /> <ref name=ref22><pubmed>16337235</pubmed></ref>。一般人口におけるスクリーニング調査では性差はないとされることが多い。


 北米の精神科施設における解離症は入院患者の13.0-20.7%<ref name=ref23><pubmed>1957936</pubmed></ref> <ref name=ref24><pubmed>8317573</pubmed></ref>であり、トルコの精神科病院における入院および外来患者の10.2-13.8%にみられ,救急患者では34.9%であった<ref name=ref25>'''Sar V, Kundakci T, Kiziltan E et al.'''<br>The axis-I dissociative disorder comorbidity of borderline personality disorder among psychiatric outpatients.<br>''Journal of Trauma and Dissociation'': 2003, 4(1); 119–136</ref> <ref name=ref26><pubmed>10834631</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>9619153</pubmed></ref>。ヨーロッパでは入院患者の4.3-8.0%と若干少ない<ref name=ref28><pubmed>11339321</pubmed></ref> <ref name=ref29><pubmed>10831486</pubmed></ref>。概して精神科入院および外来患者の10%前後が解離症と推定されるが、最近の北米の報告では、外来患者の29.0%、入院患者の40.8%と高率である<ref name=ref30><pubmed>16585436</pubmed></ref> <ref name=ref31>'''Ross CA, Duffy CMM, and Ellason JW'''<br>Prevalence, reliability and validity of dissociative disorders in an inpatient setting.<br>''Journal of Trauma and Dissociation'': 2002, 3(1); 7–17</ref>。一般人口の調査に比較して、精神科施設では解離性同一症の割合が高いこと、女性が男性よりも多いことが特徴である。日本では精神科臨床で解離症と診断される患者の8割から9割が女性である<ref name=ref32>'''柴山雅俊'''<br>解離の構造-私の変容と<むすび>の治療論<br>''岩崎学術出版社''、2010</ref>。成人男性患者は解離症状や外傷歴を否定する傾向があり、このことが診断の偽陰性率を高めているといわれる。
 北米の精神科施設における解離症は入院患者の13.0-20.7%<ref name=ref23><pubmed>1957936</pubmed></ref> <ref name=ref24><pubmed>8317573</pubmed></ref>であり、トルコの精神科病院における入院および外来患者の10.2-13.8%にみられ,救急患者では34.9%であった<ref name=ref25>'''Sar V, Kundakci T, Kiziltan E et al.'''<br>The axis-I dissociative disorder comorbidity of borderline personality disorder among psychiatric outpatients.<br>''Journal of Trauma and Dissociation'': 2003, 4(1); 119–136</ref> <ref name=ref26><pubmed>10834631</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>9619153</pubmed></ref>。ヨーロッパでは入院患者の4.3-8.0%と若干少ない<ref name=ref28><pubmed>11339321</pubmed></ref> <ref name=ref29><pubmed>10831486</pubmed></ref>。概して精神科入院および外来患者の10%前後が解離症と推定されるが、最近の北米の報告では、外来患者の29.0%と高率である<ref name=ref30><pubmed>16585436</pubmed></ref> 。一般人口の調査に比較して、精神科施設では解離性同一症の割合が高いこと、女性が男性よりも多いことが特徴である。日本では精神科臨床で解離症と診断される患者の8割から9割が女性である<ref name=ref31>'''柴山雅俊'''<br>解離の構造-私の変容と<むすび>の治療論<br>''岩崎学術出版社''、2010</ref>。成人男性患者は解離症状や外傷歴を否定する傾向があり、このことが診断の偽陰性率を高めているといわれる。


==関連項目==
==関連項目==

案内メニュー