「細胞内カルシウムストア」の版間の差分

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[[ファイル:calciumstore.jpg|400px|thumb|right|細胞内カルシウムストアによるカルシウムイオン(Ca<sup>2+</sup>)の取り込みと放出]]  
[[ファイル:calciumstores.jpg|400px|thumb|right|細胞内カルシウムストアによるカルシウムイオン(Ca<sup>2+</sup>)の取り込みと放出]]  


==細胞内カルシウムシグナル==
==細胞内カルシウムシグナル==
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==ミトコンドリア==
==ミトコンドリア==
 [[ミトコンドリア]]は[[ATP]]合成などを担う[[細胞内小器官]]であるが、細胞内カルシウムストアとしても機能する。静止状態のミトコンドリアマトリックス内カルシウムイオン濃度は、細胞質と同程度であるが、刺激に応じて一過的に10 µM程度にまで上昇するという報告がある<ref><pubmed> 8235595 </pubmed></ref>。
 [[ミトコンドリア]]は[[ATP]]合成などを担う[[細胞内小器官]]であるが、カルシウムイオンの取り込みおよび放出機構を有しており、細胞内カルシウムストアとしても機能する。


===ミトコンドリアへのカルシウムイオン取り込み===
===ミトコンドリアへのカルシウムイオン取り込み===
 ミトコンドリアへのカルシウムイオンの取り込みを主に担っているのは、[[ミトコンドリアカルシウムユニポーター]](mitochondrial calcium uniporter; MCU)と呼ばれるカルシウムイオンチャネルである<ref><pubmed> 21685886 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 21685888 </pubmed></ref>。MCUはミトコンドリア[[内膜]]上に存在し、細胞質からミトコンドリアの[[マトリックス]]へカルシウムイオンを流入させる。近年、ミトコンドリアカルシウムユニポーターの機能を制御するタンパク質も報告されている<ref><pubmed> 23101630 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 24231807 </pubmed></ref>。
  ミトコンドリアへのカルシウムイオンの取り込みを主に担っているのは、ミトコンドリア[[内膜]]上に存在する、[[ミトコンドリアカルシウムユニポーター]](mitochondrial calcium uniporter; MCU)と呼ばれるカルシウムイオンチャネルである<ref><pubmed> 21685886 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 21685888 </pubmed></ref>。ミトコンドリアカルシウムユニポーターは細胞質カルシウムイオン濃度上昇に依存して開口し、ミトコンドリア[[マトリックス]]内外の大きな電位差に従い、細胞質からカルシウムイオンを流入させる。ミトコンドリアカルシウムユニポーターの開口を制御するタンパク質も近年報告されている<ref><pubmed> 23101630 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 24231807 </pubmed></ref>。


 また、カルシウムイオントランスポーターとして[[Letm1]]が同定されている<ref><pubmed> 19797662 </pubmed></ref>。マトリックスへのカルシウムイオン取り込みと[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]汲み出しを共役する[[Ca2+/H+アンチポーター|Ca<sup>2+</sup>/H<sup>+</sup>アンチポーター]]である。
 また、カルシウムイオントランスポーターとして[[Letm1]]が同定されている<ref><pubmed> 19797662 </pubmed></ref>。マトリックスへのカルシウムイオン取り込みと[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]汲み出しを共役する[[Ca2+/H+アンチポーター|Ca<sup>2+</sup>/H<sup>+</sup>アンチポーター]]であると考えられる。


===ミトコンドリアからのカルシウムイオン放出===
===ミトコンドリアからのカルシウムイオン放出===
 ミトコンドリアからカルシウムイオンを放出する分子として、ミトコンドリア内膜に存在する[[Na+/Ca2+アンチポーター|Na<sup>+</sup>/Ca<sup>2+</sup>アンチポーター]](Na<sup>+</sup>/Ca<sup>2+</sup> exchanger; NCLX)が挙げられる<ref><pubmed> 20018762 </pubmed></ref>。また、生理的条件下では開口しないものの、過剰なカルシウムイオン濃度上昇や[[アポトーシス誘発因子]][[Bax]]などによって開く、[[ミトコンドリア膜透過性遷移孔]](mitochondrial permeability transition pore; mPTP)というチャネル状の構造体が存在する。開口すると[[ミトコンドリア外膜]]の破壊を招き、カルシウムイオンを含むさまざまな物質が漏出する。
 ミトコンドリアからカルシウムイオンを放出する分子として、ミトコンドリア内膜に存在する[[Na+/Ca2+アンチポーター|Na<sup>+</sup>/Ca<sup>2+</sup>アンチポーター]](Na<sup>+</sup>/Ca<sup>2+</sup> exchanger; NCLX)が挙げられる<ref><pubmed> 20018762 </pubmed></ref>。また、生理的条件下では開口しないものの、過剰なカルシウムイオン濃度上昇や[[アポトーシス誘発因子]][[Bax]]などによって開く、[[ミトコンドリア膜透過性遷移孔]](mitochondrial permeability transition pore; mPTP)というチャネル状の構造体が存在する。開口するとミトコンドリア内膜および[[外膜]]の透過性が大きく亢進し、カルシウムイオンを含むさまざまな物質が漏出する。


===ミトコンドリアの細胞内カルシウムストアとしての意義===
===ミトコンドリアの細胞内カルシウムストアとしての意義===
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