「神経症性障害」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
16行目: 16行目:
 世界保健機関WHO(World Health Organization)によって作成された、国際疾病分類(International Classification of Disease)では、第9版(ICD-9)(1975)まで、器質性以外の精神疾患を「神経症」と「精神病 psychosis」の2つに大別するという二分法が採用されていたが、第10版(ICD-10)(1992)では、こうした二分法は廃止された。ただし、序論に、『「神経症性 neurotic」という用語は、機会に応じて用いられるように、なお、残されている。』との記述があるように[1]、(無意識の葛藤によって起きる、あるいは現実検討の障害がないことを示すために)形容詞的に用いることは認められた。また、「神経症性障害 Neurotic disorder」という大分類も形の上では残され、それまで神経症とみなされていた障害は、「気分(感情)障害」に含まれる抑うつ神経症(depressive neurosis)および「生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群」に含まれるいくつかの障害を除き、ほとんどが「神経症障害、ストレス関連障害および身体表現性障害」に含まれている<ref name=ref1>'''融 道男、中根允文、小見山実、岡崎祐士、大久保善朗'''<br>ICD-10 精神および行動の障害:臨床記述と診断ガイドライン 新訂版<br>''医学書院''、東京、2005.</ref>。したがって、ICD-10における「神経症性障害」は、従来の「神経症」の一部を示すものであるといえる。
 世界保健機関WHO(World Health Organization)によって作成された、国際疾病分類(International Classification of Disease)では、第9版(ICD-9)(1975)まで、器質性以外の精神疾患を「神経症」と「精神病 psychosis」の2つに大別するという二分法が採用されていたが、第10版(ICD-10)(1992)では、こうした二分法は廃止された。ただし、序論に、『「神経症性 neurotic」という用語は、機会に応じて用いられるように、なお、残されている。』との記述があるように[1]、(無意識の葛藤によって起きる、あるいは現実検討の障害がないことを示すために)形容詞的に用いることは認められた。また、「神経症性障害 Neurotic disorder」という大分類も形の上では残され、それまで神経症とみなされていた障害は、「気分(感情)障害」に含まれる抑うつ神経症(depressive neurosis)および「生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群」に含まれるいくつかの障害を除き、ほとんどが「神経症障害、ストレス関連障害および身体表現性障害」に含まれている<ref name=ref1>'''融 道男、中根允文、小見山実、岡崎祐士、大久保善朗'''<br>ICD-10 精神および行動の障害:臨床記述と診断ガイドライン 新訂版<br>''医学書院''、東京、2005.</ref>。したがって、ICD-10における「神経症性障害」は、従来の「神経症」の一部を示すものであるといえる。


 従来「神経症」と言われていたもののうちICD-10で「神経症性障害」に含まれているのは、「恐怖症性不安障害」(恐怖症を含む)、「他の不安障害」(パニック障害を含む)、「強迫性障害」、「解離性(転換性)障害」(以前ヒステリーと呼ばれたもの)などである(図の下線)。
 従来「神経症」と言われていたもののうちICD-10で「神経症性障害」に含まれているのは、「恐怖症性不安障害」(恐怖症を含む)、「他の不安障害」(パニック障害を含む)、「強迫性障害」、「解離性(転換性)障害」(以前ヒステリーと呼ばれたもの)などである(表1の下線)。


{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
|+表1.ICD-10診断
|+表1.ICD-10診断

案内メニュー