「味蕾」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
270 バイト除去 、 2018年1月23日 (火)
編集の要約なし
編集の要約なし
3行目: 3行目:
英語:taste bud 独語:Geschmacksknospe 仏語:bourgeon du goût
英語:taste bud 独語:Geschmacksknospe 仏語:bourgeon du goût


{{box|text= 味蕾は主に舌、軟口蓋などに存在する蕾状の器官で味覚の受容を担う。各味蕾はおよそ50~150個の様々な性質を持つ細胞から構成され、それらの一部が味覚受容体を発現し、味刺激に応答する味受容細胞(味細胞)として機能する。味蕾内の細胞は上皮細胞由来であると考えられるが、味刺激に応答を示す味細胞は電位依存性Na+チャネルを発現し活動電位を発生することから神経細胞様の性質を持つ<ref name=ref16971686><pubmed>16971686</pubmed></ref>1)。また、味蕾の維持には神経支配が必要で、支配神経を挫滅・切断すると味蕾は消失する<ref name=ref><pubmed>838892</pubmed></ref>2)。本稿ではヒトおよびげっ歯類(マウス、ラット)の味蕾について概説する。}}
{{box|text= 味蕾は主に舌、軟口蓋などに存在する蕾状の器官で味覚の受容を担う。各味蕾はおよそ50~150個の様々な性質を持つ細胞から構成され、それらの一部が味覚受容体を発現し、味刺激に応答する味受容細胞(味細胞)として機能する。味蕾内の細胞は上皮細胞由来であると考えられるが、味刺激に応答を示す味細胞は電位依存性Na+チャネルを発現し活動電位を発生することから神経細胞様の性質を持つ<ref name=ref16971686><pubmed>16971686</pubmed></ref>1)。また、味蕾の維持には神経支配が必要で、支配神経を挫滅・切断すると味蕾は消失する<ref><pubmed>838892</pubmed></ref>2)。本稿ではヒトおよびげっ歯類(マウス、ラット)の味蕾について概説する。}}


== 存在部位==
== 存在部位==
21行目: 21行目:


== 味蕾細胞 ==
== 味蕾細胞 ==
 各味蕾の中には、その長軸方向に沿って50~150個程度の細胞が存在し、味孔を介して口腔内の化学物質(味物質)と接触する。これら細胞は電子顕微鏡像よりI、II、III型に分類され<ref name=ref>Murray R. The ultrastructure of taste buds. In: Friedemann, I. (Ed.), The Ultrastructure of Sensory Organs. North-Holland, Amsterdam, pp. 1-81, 1973</ref>3)、基底部には幹細胞と考えられるIV型細胞が存在する。味蕾細胞のターンオーバーは早く、約10日とされる<ref name=ref><pubmed>5884625</pubmed></ref>4)。
 各味蕾の中には、その長軸方向に沿って50~150個程度の細胞が存在し、味孔を介して口腔内の化学物質(味物質)と接触する。これら細胞は電子顕微鏡像よりI、II、III型に分類され<ref>Murray R. The ultrastructure of taste buds. In: Friedemann, I. (Ed.), The Ultrastructure of Sensory Organs. North-Holland, Amsterdam, pp. 1-81, 1973</ref>3)、基底部には幹細胞と考えられるIV型細胞が存在する。味蕾細胞のターンオーバーは早く、約10日とされる<ref><pubmed>5884625</pubmed></ref>4)。


=== I型細胞 ===
=== I型細胞 ===
 電子顕微鏡像で細胞質の部分が暗く見えることから'''暗調細胞'''とも呼ばれる。
 電子顕微鏡像で細胞質の部分が暗く見えることから'''暗調細胞'''とも呼ばれる。


 味蕾の中ではおよそ50~60%程度の割合を占める。味孔側には長い微絨毛が存在し、湾入した核を持つ。glutamate-aspartate transporter (GLAST)<ref name=ref><pubmed>10998100</pubmed></ref>5)やnucleoside triphosphate diphosphohydrolase-2(ecto-ATPase)<ref name=ref><pubmed>16680780</pubmed></ref>6)などを発現し、神経系における[[グリア細胞]]様の機能を持つと考えられる。また形態的にはII型細胞やIII型細胞を包むように存在する様子が見られる。I型細胞には塩味受容体として機能する上皮性[[Na+チャネル]](ENaC)が存在するという報告<ref name=ref><pubmed>18171468</pubmed></ref>7)もあるが、I型細胞が塩味受容細胞として機能するかは不明である。
 味蕾の中ではおよそ50~60%程度の割合を占める。味孔側には長い微絨毛が存在し、湾入した核を持つ。glutamate-aspartate transporter (GLAST)<ref><pubmed>10998100</pubmed></ref>5)やnucleoside triphosphate diphosphohydrolase-2(ecto-ATPase)<ref><pubmed>16680780</pubmed></ref>6)などを発現し、神経系における[[グリア細胞]]様の機能を持つと考えられる。また形態的にはII型細胞やIII型細胞を包むように存在する様子が見られる。I型細胞には塩味受容体として機能する上皮性[[Na+チャネル]](ENaC)が存在するという報告<ref><pubmed>18171468</pubmed></ref>7)もあるが、I型細胞が塩味受容細胞として機能するかは不明である。


=== II型細胞 ===
=== II型細胞 ===
 電子顕微鏡像では細胞質の部分が明るく見えることから明調細胞とも呼ばれる。味蕾の中では20~30%程度の割合を占める。
 電子顕微鏡像では細胞質の部分が明るく見えることから明調細胞とも呼ばれる。味蕾の中では20~30%程度の割合を占める。


 味孔側には短い微絨毛が存在し、大きな丸い核を持つ。甘味、苦味、うま味の受容に関連する遺伝子群[gustducin, phospholipase Cβ2, transient receptor potential channel M5 (TRPM5)など]を発現し<ref name=ref14681927><pubmed>14681927</pubmed></ref><ref><pubmed>10940948</pubmed></ref><ref name=ref><pubmed></pubmed></ref>8-10)、これらの味質の受容を担うと考えられる。実際II型細胞は甘味、苦味またはうま味刺激に対し最も強い応答を示す<ref name=ref17913917><pubmed></pubmed></ref><ref name=ref 12368808 ><pubmed>12368808</pubmed></ref>11,12)。II型細胞には明確な[[シナプス]]構造が見られないが、神経線維と非常に近接した部位にsubsurface cisternaeと呼ばれる構造が見られ<ref name=ref14681927 />8)、ここで神経への情報伝達が行われると考えられる。II型細胞は味刺激に応じ活動電位を生じ、[[Calcium]] homeostasis modulator 1 (CALHM1)やヘミチャネルを通じ[[ATP]]を放出する<ref name=ref><pubmed>17389364</pubmed></ref><ref name=ref><pubmed>20519578</pubmed></ref><ref name=ref><pubmed>23467090</pubmed></ref>13-15)。放出されたATPは神経側に存在する受容体(P2X2/P2X3)を活性化<ref name=ref><pubmed>16322458</pubmed></ref>16)することでII型細胞から神経線維へシナプスを介さずに情報が伝達されると考えられる。skn-1a遺伝子欠損[[マウス]]ではII型細胞が消失することから<ref name=ref><pubmed>21572433</pubmed></ref>17)、skn-1aがII型細胞の[[分化]]や維持に重要な機能を持つと考えられる。
 味孔側には短い微絨毛が存在し、大きな丸い核を持つ。甘味、苦味、うま味の受容に関連する遺伝子群[gustducin, phospholipase Cβ2, transient receptor potential channel M5 (TRPM5)など]を発現し<ref name=ref14681927><pubmed>14681927</pubmed></ref><ref><pubmed>10940948</pubmed></ref><ref><pubmed></pubmed></ref>8-10)、これらの味質の受容を担うと考えられる。実際II型細胞は甘味、苦味またはうま味刺激に対し最も強い応答を示す<ref name=ref17913917><pubmed></pubmed></ref><ref name=ref 12368808 ><pubmed>12368808</pubmed></ref>11,12)。II型細胞には明確な[[シナプス]]構造が見られないが、神経線維と非常に近接した部位にsubsurface cisternaeと呼ばれる構造が見られ<ref name=ref14681927 />8)、ここで神経への情報伝達が行われると考えられる。II型細胞は味刺激に応じ活動電位を生じ、[[Calcium]] homeostasis modulator 1 (CALHM1)やヘミチャネルを通じ[[ATP]]を放出する<ref><pubmed>17389364</pubmed></ref><ref><pubmed>20519578</pubmed></ref><ref><pubmed>23467090</pubmed></ref>13-15)。放出されたATPは神経側に存在する受容体(P2X2/P2X3)を活性化<ref><pubmed>16322458</pubmed></ref>16)することでII型細胞から神経線維へシナプスを介さずに情報が伝達されると考えられる。skn-1a遺伝子欠損[[マウス]]ではII型細胞が消失することから<ref><pubmed>21572433</pubmed></ref>17)、skn-1aがII型細胞の[[分化]]や維持に重要な機能を持つと考えられる。


=== III型細胞 ===
=== III型細胞 ===
 電子顕微鏡像では中間調を示し中間調細胞とも呼ばれる。味蕾の中では10~20%程度の割合を占める。
 電子顕微鏡像では中間調を示し中間調細胞とも呼ばれる。味蕾の中では10~20%程度の割合を占める。


 味孔側には1本の厚い突起が見られ、湾入した核を持つ。また神経線維との間に明確なシナプス構造が見られ、synaptosomal-associated protein 25kD ([[SNAP25]]), [[neural cell adhesion molecule]] ([[NCAM]]), aromatic L-amino acid decarboxylase (AADC), [[glutamic acid decarboxylase]] ([[GAD67]]), [[セロトニン]]など、シナプス伝達や神経伝達物質の合成に関与する分子の発現も見られる<ref name=ref><pubmed>10906698</pubmed></ref><ref name=ref><pubmed>11745610</pubmed></ref>18, 19)。III型細胞は酸味受容体候補遺伝子であるpolycystic kidney disease 2L1 (PKD2L1)を発現し<ref name=ref><pubmed>18156604</pubmed></ref>20)、実際に多くのIII型細胞は酸味刺激に対し応答を示す12)。また多種の味質に対し応答を示すIII型細胞も存在する。さらに、III型細胞が水の受容に関与することも示されている<ref name=ref><pubmed>28553944</pubmed></ref>21)。味神経線維への情報伝達にはシナプスを介すと考えられ、酸刺激によりセロトニンや[[ノルエピネフリン]]などの神経伝達物質が放出されることが示されているが<ref name=ref><pubmed>15673664</pubmed></ref><ref name=ref><pubmed>19052199</pubmed></ref>22,23)、実際にどの神経伝達物質が機能するかについては明らかとなっていない。
 味孔側には1本の厚い突起が見られ、湾入した核を持つ。また神経線維との間に明確なシナプス構造が見られ、synaptosomal-associated protein 25kD ([[SNAP25]]), [[neural cell adhesion molecule]] ([[NCAM]]), aromatic L-amino acid decarboxylase (AADC), [[glutamic acid decarboxylase]] ([[GAD67]]), [[セロトニン]]など、シナプス伝達や神経伝達物質の合成に関与する分子の発現も見られる<ref><pubmed>10906698</pubmed></ref><ref><pubmed>11745610</pubmed></ref>18, 19)。III型細胞は酸味受容体候補遺伝子であるpolycystic kidney disease 2L1 (PKD2L1)を発現し<ref><pubmed>18156604</pubmed></ref>20)、実際に多くのIII型細胞は酸味刺激に対し応答を示す12)。また多種の味質に対し応答を示すIII型細胞も存在する。さらに、III型細胞が水の受容に関与することも示されている<ref><pubmed>28553944</pubmed></ref>21)。味神経線維への情報伝達にはシナプスを介すと考えられ、酸刺激によりセロトニンや[[ノルエピネフリン]]などの神経伝達物質が放出されることが示されているが<ref><pubmed>15673664</pubmed></ref><ref><pubmed>19052199</pubmed></ref>22,23)、実際にどの神経伝達物質が機能するかについては明らかとなっていない。


=== IV型細胞 ===
=== IV型細胞 ===
42行目: 42行目:


== 味細胞の応答性 ==
== 味細胞の応答性 ==
 [[味覚受容体]]の発現を[[検索]]した研究により、甘味、うま味、苦味、酸味、塩味の受容体はそれぞれ別々の味細胞に発現することが示され<ref name=ref><pubmed>11509186</pubmed></ref><ref name=ref><pubmed>16929298</pubmed></ref><ref name=ref><pubmed>16891422</pubmed></ref><ref name=ref><pubmed>20107438</pubmed></ref>24-27)、味細胞には味質特異性があることを示唆している。しかし、マウス味細胞から味応答を記録した場合、一部の味細胞は明らかに複数の味質に対し応答する<ref name=ref16971686 /><ref name=ref17913917 /><ref name=ref 12368808 />。同様に、味神経線維や[[神経節]]細胞においても複数の味質に対し応答するものが存在することから<ref name=ref><pubmed>7116182</pubmed></ref><ref name=ref><pubmed>26373451</pubmed></ref>、実際には一部の味細胞は多種の味質に対し応答し得ると考えられる。以下に、これまでに明らかとなっているマウス味細胞の応答性について概説する。
 [[味覚受容体]]の発現を[[検索]]した研究により、甘味、うま味、苦味、酸味、塩味の受容体はそれぞれ別々の味細胞に発現することが示され<ref><pubmed>11509186</pubmed></ref><ref><pubmed>16929298</pubmed></ref><ref><pubmed>16891422</pubmed></ref><ref><pubmed>20107438</pubmed></ref>24-27)、味細胞には味質特異性があることを示唆している。しかし、マウス味細胞から味応答を記録した場合、一部の味細胞は明らかに複数の味質に対し応答する<ref name=ref16971686 /><ref name=ref17913917 /><ref name=ref 12368808 />。同様に、味神経線維や[[神経節]]細胞においても複数の味質に対し応答するものが存在することから<ref><pubmed>7116182</pubmed></ref><ref><pubmed>26373451</pubmed></ref>、実際には一部の味細胞は多種の味質に対し応答し得ると考えられる。以下に、これまでに明らかとなっているマウス味細胞の応答性について概説する。


=== 甘味応答味細胞 ===
=== 甘味応答味細胞 ===
 甘味刺激に最大応答を示す味細胞は主にII型細胞に見られる。基本味刺激への応答特性を見ると、甘味にのみ特異的に応答するタイプと、うま味にも応答するタイプが見られる。後者は甘味、うま味受容体コンポーネントであるT1R1、T1R2、T1R3を全て発現する味細胞であると考えられる。また、甘味応答細胞はマウスの甘味抑制物質であるグルマリンに対する感受性により2群に分けられる<ref name=ref><pubmed>7733384</pubmed></ref>30)。甘味応答細胞は様々な甘味物質(シュクロース、グルコース等の糖類、サッカリンなどの人工甘味料)に対し応答する。
 甘味刺激に最大応答を示す味細胞は主にII型細胞に見られる。基本味刺激への応答特性を見ると、甘味にのみ特異的に応答するタイプと、うま味にも応答するタイプが見られる。後者は甘味、うま味受容体コンポーネントであるT1R1、T1R2、T1R3を全て発現する味細胞であると考えられる。また、甘味応答細胞はマウスの甘味抑制物質であるグルマリンに対する感受性により2群に分けられる<ref><pubmed>7733384</pubmed></ref>30)。甘味応答細胞は様々な甘味物質(シュクロース、グルコース等の糖類、サッカリンなどの人工甘味料)に対し応答する。


=== うま味応答細胞 ===
=== うま味応答細胞 ===
 うま味応答細胞は主にII型細胞に見られる。うま味応答細胞は大きくうま味特異的応答を示すタイプと、うま味と甘味に応答するタイプに分けられる。うま味は[[グルタミン酸]]と[[核酸]]の間で相乗効果が生じることが知られているが、この相乗効果の有無により更に2群に分類され、全部で4つのタイプに分類できる<ref name=ref><pubmed>21573975</pubmed></ref>31)。うま味刺激として用いられるグルタミン酸ナトリウムやグルタミン酸カリウムはナトリウムやカリウムの[[イオン]]成分も有するため、電解質に応答する味細胞もこれらの刺激に応答を示す。
 うま味応答細胞は主にII型細胞に見られる。うま味応答細胞は大きくうま味特異的応答を示すタイプと、うま味と甘味に応答するタイプに分けられる。うま味は[[グルタミン酸]]と[[核酸]]の間で相乗効果が生じることが知られているが、この相乗効果の有無により更に2群に分類され、全部で4つのタイプに分類できる<ref><pubmed>21573975</pubmed></ref>31)。うま味刺激として用いられるグルタミン酸ナトリウムやグルタミン酸カリウムはナトリウムやカリウムの[[イオン]]成分も有するため、電解質に応答する味細胞もこれらの刺激に応答を示す。


=== 苦味応答細胞 ===
=== 苦味応答細胞 ===
 苦味応答細胞は主にII型細胞に見られ、苦味に特異的に応答するものが多い。様々な物質が苦味を呈するが、マウス茸状乳頭では様々な苦味刺激に対し応答するものが多い<ref name=ref><pubmed>2911393</pubmed></ref>32)。[[ラット]]の有郭乳頭では多くの苦味応答細胞が特定の苦味物質にのみ応答することが示されている<ref name=ref><pubmed>11222863</pubmed></ref>33)。
 苦味応答細胞は主にII型細胞に見られ、苦味に特異的に応答するものが多い。様々な物質が苦味を呈するが、マウス茸状乳頭では様々な苦味刺激に対し応答するものが多い<ref><pubmed>2911393</pubmed></ref>32)。[[ラット]]の有郭乳頭では多くの苦味応答細胞が特定の苦味物質にのみ応答することが示されている<ref><pubmed>11222863</pubmed></ref>33)。


=== 酸味応答細胞 ===
=== 酸味応答細胞 ===
57行目: 57行目:


=== 塩味応答細胞 ===
=== 塩味応答細胞 ===
 塩味応答細胞はNaClに対し特異的応答を示すタイプと、様々な電解質(HCl, KClなど)に応答を示すタイプに分けられる。前者はENaCの阻害剤であるアミロライドにより応答が抑制されるが、後者はアミロライドに感受性はない<ref name=ref><pubmed>19167465</pubmed></ref>34)。電解質に応答するタイプの一部はIII型細胞であると考えられるが、NaClに特異的応答を示す味細胞の細胞型は不明である。
 塩味応答細胞はNaClに対し特異的応答を示すタイプと、様々な電解質(HCl, KClなど)に応答を示すタイプに分けられる。前者はENaCの阻害剤であるアミロライドにより応答が抑制されるが、後者はアミロライドに感受性はない<ref><pubmed>19167465</pubmed></ref>34)。電解質に応答するタイプの一部はIII型細胞であると考えられるが、NaClに特異的応答を示す味細胞の細胞型は不明である。


== 細胞間コミュニケーション ==
== 細胞間コミュニケーション ==
 味蕾内で放出される様々な伝達物質が自己[[分泌]](オートクライン)、または傍分泌(パラクライン)様に働き、味蕾内での味覚情報のプロセシングに関与する可能性が示されている<ref name=ref><pubmed>16732426</pubmed></ref>35)。特にIII型細胞に見られる様々な味質に応答を示す細胞は、周囲の甘味、苦味、うま味細胞からの入力を受けることで幅広い応答性を持つ可能性が示唆されている。
 味蕾内で放出される様々な伝達物質が自己[[分泌]](オートクライン)、または傍分泌(パラクライン)様に働き、味蕾内での味覚情報のプロセシングに関与する可能性が示されている<ref><pubmed>16732426</pubmed></ref>35)。特にIII型細胞に見られる様々な味質に応答を示す細胞は、周囲の甘味、苦味、うま味細胞からの入力を受けることで幅広い応答性を持つ可能性が示唆されている。


==参考文献==
==参考文献==

案内メニュー