「攻撃性」の版間の差分

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=== 性ステロイドホルモン ===
=== 性ステロイドホルモン ===
 多くの動物において、雄の方が雌よりも攻撃性が高く、特に精巣から[[テストステロン]]の分泌が増加する思春期から攻撃行動が増加する。また、成体雄の精巣を除去すると攻撃行動が低下し、そこにテストステロンを投与することで攻撃行動が回復することから、テストステロンが攻撃行動の出現に必須であることが示されている(近藤ら、2010)<ref>'''近藤保彦, 菊水健史, 山田一夫, 小川園子, 富原 一哉'''<br>脳とホルモンの行動学<br>''西村書店''; 2010</ref>。テストステロンは、直接[[アンドロゲン受容体]]に作用するのに加えて、[[アロマターゼ]]により芳香化され[[エストラジオール]]に代謝されることで、エストロゲン受容体にも作用する。攻撃行動には実はこのエストロゲン受容体を介した作用が重要な働きを持つことが明らかとなってきており、去勢した雄にエストラジオールを投与しても攻撃行動がある程度回復することや、アロマターゼを抑制するとテストステロンの効果が阻害されることが分かっている(Bowden and Brain, 1978)<ref><pubmed> 567355</pubmed></ref>。遺伝子ノックアウトマウスの仕事から、アンドロゲン受容体とエストロゲン受容体α(ERα)の両方が、攻撃行動の出現に関与することが明らかとなっており(Sato et al 2004, Ogawa et al 1997)<ref name=Sato2004><pubmed> 14747651 </pubmed></ref>、先に述べた視床下部VMHvlについても、ERα受容体の発現が攻撃行動の発動に関わることが示されている(Sano et al 2004)<ref name=Sato2004/>。
 多くの動物において、雄の方が雌よりも攻撃性が高く、特に精巣から[[テストステロン]]の分泌が増加する思春期から攻撃行動が増加する。また、成体雄の精巣を除去すると攻撃行動が低下し、そこにテストステロンを投与することで攻撃行動が回復することから、テストステロンが攻撃行動の出現に必須であることが示されている<ref>'''近藤保彦, 菊水健史, 山田一夫, 小川園子, 富原 一哉'''<br>脳とホルモンの行動学<br>''西村書店''; 2010</ref>。テストステロンは、直接[[アンドロゲン受容体]]に作用するのに加えて、[[アロマターゼ]]により芳香化され[[エストラジオール]]に代謝されることで、エストロゲン受容体にも作用する。攻撃行動には実はこのエストロゲン受容体を介した作用が重要な働きを持つことが明らかとなってきており、去勢した雄にエストラジオールを投与しても攻撃行動がある程度回復することや、アロマターゼを抑制するとテストステロンの効果が阻害されることが分かっている<ref><pubmed> 567355</pubmed></ref>。遺伝子ノックアウトマウスの仕事から、アンドロゲン受容体とエストロゲン受容体α(ERα)の両方が、攻撃行動の出現に関与することが明らかとなっており<ref name=Sato2004><pubmed> 14747651 </pubmed></ref>、先に述べた視床下部VMHvlについても、ERα受容体の発現が攻撃行動の発動に関わることが示されている<ref name=Sato2004/>。


=== セロトニンと攻撃性 ===
=== セロトニンと攻撃性 ===