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Junko kurahashi (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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尾崎 弘展 | <div align="right"> | ||
東京女子医科大学・医学部・第一生理 | <font size="+1">[https://researchmap.jp/ozayan 尾崎 弘展]</font><br> | ||
''東京女子医科大学・医学部・第一生理''<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:年月日 原稿完成日:<br> | |||
担当編集委員:<br> | |||
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英:thalamic gating | 英:thalamic gating | ||
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== 視床ゲート機構とは == | == 視床ゲート機構とは == | ||
[[嗅覚]]を除く感覚系の情報は[[視床]](例:[[外側膝状体]]([[視覚]])、[[内側膝状体]]([[聴覚]]))を経由して[[大脳皮質]][[一次感覚野]]へと送られる。この際、すべての情報が視床から大脳皮質へとそのまま伝達されるわけではなく、視床において情報が選別されている。[[wj:フランシス・クリック|Crick]]が提唱した「[[サーチライト仮説]]」は視床ゲート機構に果たす[[視床網様核]] | [[嗅覚]]を除く感覚系の情報は[[視床]](例:[[外側膝状体]]([[視覚]])、[[内側膝状体]]([[聴覚]]))を経由して[[大脳皮質]][[一次感覚野]]へと送られる。この際、すべての情報が視床から大脳皮質へとそのまま伝達されるわけではなく、視床において情報が選別されている。[[wj:フランシス・クリック|Crick]]が提唱した「[[サーチライト仮説]]」は視床ゲート機構に果たす[[視床網様核]]の役割を分かりやすく説明しており<ref><pubmed>6589612</pubmed></ref>1('''図1''')、視床網様核からの[[抑制性]]入力によって、大脳皮質へと送る情報と送らない情報を選別する機構があると考えられている。 | ||
==神経回路 == | ==神経回路 == | ||
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[[ファイル:視床ゲート機構図2.png|サムネイル|'''図 2 視床ゲート機構に関与する主要回路'''<br>○は興奮性細胞、●は抑制性細胞を表す。視床網様核から強い抑制が入ると、感覚入力は上位中枢の大脳皮質まで送られない。]] | [[ファイル:視床ゲート機構図2.png|サムネイル|'''図 2 視床ゲート機構に関与する主要回路'''<br>○は興奮性細胞、●は抑制性細胞を表す。視床網様核から強い抑制が入ると、感覚入力は上位中枢の大脳皮質まで送られない。]] | ||
[[ファイル:視床ゲート機構図3.png|サムネイル|'''図 3 視床と視床網様核の結合関係'''<br>A. 側方抑制、B. 反回抑制の両者が存在する。○は大脳皮質へ投射する視床の細胞(興奮性)、●は視床網様核の細胞(抑制性)。]] | [[ファイル:視床ゲート機構図3.png|サムネイル|'''図 3 視床と視床網様核の結合関係'''<br>A. 側方抑制、B. 反回抑制の両者が存在する。○は大脳皮質へ投射する視床の細胞(興奮性)、●は視床網様核の細胞(抑制性)。]] | ||
視床ゲート機構に関する回路を初期感覚系に絞って単純化すると図1のようになる。視床網様核には抑制性細胞のみが存在しており、大脳皮質へ投射する視床細胞へ抑制性入力(図1点線)を与えている。視床網様核の細胞に対しては、視床中継細胞の[[軸索]]側枝と大脳皮質6層の細胞の[[軸索]]側枝から[[興奮性]]入力を受ける<ref><pubmed>8890259</pubmed></ref>2('''図2''')。 | |||
感覚系、特に視覚系においては古くからこの回路に着目し、視床網様核を中心とした抑制系が大脳皮質への情報のゲート機構を果たしている可能性が示唆されてきた<ref><pubmed>196301</pubmed></ref><ref><pubmed>7812144</pubmed></ref>3,4。感覚系のみならず、運動系視床においても視床網様核を介した同様の機構が存在する<ref><pubmed>9464683</pubmed></ref><ref><pubmed>25717161</pubmed></ref>5,6。さらに、[[マカクサル]]を用いた解剖学的研究において[[前頭前野]]からも視床網様核が投射を受けることが分かっており<ref><pubmed> 16837581</pubmed></ref>7、感覚・運動系のみならず、注意などに関わる前頭前野も視床網様核を介して視床ゲート機構を制御していると考えられる。 | |||
こうした視床ゲート機構を作り出すには、視床と同様、視床網様核も[[トポグラフィー]]を持ち、さらに視床網様核が視床に対して[[側方抑制]](Lateral inhibition)を与えていることが必要である。それらを支持する回路基盤がトポグラフィー6,8-11、側方抑制10-13('''図3A''')の両面で示されてきた。また、視床と視床網様核が[[反回抑制]]の回路('''図3B''')を形成しているものもあり、これらは[[睡眠]]―覚醒時の視床の神経活動の同期性を調節していると考えられており、大脳皮質への情報の伝達へ重要な役割を果たしている可能性がある14。 | こうした視床ゲート機構を作り出すには、視床と同様、視床網様核も[[トポグラフィー]]を持ち、さらに視床網様核が視床に対して[[側方抑制]](Lateral inhibition)を与えていることが必要である。それらを支持する回路基盤がトポグラフィー6,8-11、側方抑制10-13('''図3A''')の両面で示されてきた。また、視床と視床網様核が[[反回抑制]]の回路('''図3B''')を形成しているものもあり、これらは[[睡眠]]―覚醒時の視床の神経活動の同期性を調節していると考えられており、大脳皮質への情報の伝達へ重要な役割を果たしている可能性がある14。 | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
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