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===ITD検出〜Jeffressモデル〜=== | ===ITD検出〜Jeffressモデル〜=== | ||
[[Image:ongenteii_fig4.png|thumb|right|300px|''' | [[Image:ongenteii_fig4.png|thumb|right|300px|'''図2. ITD 検出における神経回路モデル''' <br /> | ||
'''(a)''' Jeffress | '''(a)''' Jeffress により提案された遅延線回路モデル。左右からの投射線維が順次枝分かれし、 一列に並んだ同時検出器細胞に順序良くシナプス結合する。 <br /> | ||
'''(b)''' Jeffress | '''(b)''' 音源が正面にある場合(上)、 音は左右の耳に同時に到達するため、活動電位は左右の投射軸索長が同じである真ん中の 細胞(3)に同時に到達する。音源が左側方向に変位した場合(下)、音は左の耳に早く到達するため、同時のタイミングは右側の細胞(5)にシフトする。<br> | ||
'''(c)''' Jeffress モデルで想定される細胞ごとの発火頻度の分布。細胞ごとに異なる ITD に応答することで ITD は細胞の位置 としてコードされる。<br> | |||
'''(d)''' スナネズミの MSO で観察された細胞ごとの発火頻度の分布。それぞれのピークは生理的 ITD の外に集中し、各細胞が ITD に対して類似した発火頻度変化を示す。]] | |||
上記の聴覚情報のうちITD検出を実現する神経回路機構としては、[[w:Lloyd A. Jeffress|Lloyd A. Jeffress]]が1948年に当時の心理物理学データを説明する為に提唱した[[Jeffressモデル]]がよく知られている<ref><pubmed>18904764</pubmed></ref>('''図2''')。このモデルは一列に並んだ同時検出器細胞と[[遅延線回路]](delay line)と呼ばれる配線様式を持った左右の耳由来の神経投射で構成される。遅延線回路においては、左右からの投射線維が順次枝分かれし、一列に並んだ細胞に順序よくシナプス結合を形成する。これにより投射線維の長さに体系だった違いが生じ、個々の細胞においては、その位置によって活動電位の到達時間に差が生じる。このような回路構成により、両側からの信号入力が同時刻に到達する同時検出器細胞の位置がITDに対応して変化することで、ITDは発火する同時検出器細胞の位置として符号化される。 | 上記の聴覚情報のうちITD検出を実現する神経回路機構としては、[[w:Lloyd A. Jeffress|Lloyd A. Jeffress]]が1948年に当時の心理物理学データを説明する為に提唱した[[Jeffressモデル]]がよく知られている<ref><pubmed>18904764</pubmed></ref>('''図2''')。このモデルは一列に並んだ同時検出器細胞と[[遅延線回路]](delay line)と呼ばれる配線様式を持った左右の耳由来の神経投射で構成される。遅延線回路においては、左右からの投射線維が順次枝分かれし、一列に並んだ細胞に順序よくシナプス結合を形成する。これにより投射線維の長さに体系だった違いが生じ、個々の細胞においては、その位置によって活動電位の到達時間に差が生じる。このような回路構成により、両側からの信号入力が同時刻に到達する同時検出器細胞の位置がITDに対応して変化することで、ITDは発火する同時検出器細胞の位置として符号化される。 |