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[結晶構造] | [結晶構造] | ||
動物型SRは、fold-type | 動物型SRは、fold-type II型のPLP酵素であり、二つのドメインからなるダイマー構造をとる12。PLPを含む大ドメインは10本の | ||
α-へリックスに囲まれた7本のβシートをコアとしてもつ。小ドメインは、コアとなる4本のβシートと3本のα-へリックスからなる | |||
構造をとる。小ドメインの動きは、基質認識部位の形成と酵素の触媒作用において重要な役割を担っている。 | |||
[脳内発現] | [脳内発現] | ||
マウス脳におけるSRの発現は発達過程に伴って変化し、脳部位によって異なる。大脳皮質および海馬では、生後7日から徐々に発現量が | |||
増加し、生後28日で成体レベルに達する。小脳では、生後14日から28日まで一過性に発現が増加した後、急速に減少する13。 | |||
成体マウス脳では、大脳皮質、海馬、線条体、嗅球などの終脳においてSRが強く発現する。細胞レベルでは、SRは主に神経細胞に発現し、 | |||
大脳皮質や海馬ではグルタミン酸作動性錐体細胞、線条体ではGABA作動性中型有棘ニューロン、小脳ではGABA作動性プルキンエ細胞に | |||
発現する。一方、マウス海馬の初代培養系では、SRは神経細胞とアストロサイトの両方に発現する。 | |||
[生理機能] | [生理機能] | ||
動物型SRは、大脳皮質および海馬の組織に含まれるD-serineの約90%の合成を担っている14, | 動物型SRは、大脳皮質および海馬の組織に含まれるD-serineの約90%の合成を担っている14, 15。SRのセリンラセミ化反応により産生される | ||
D-セリンは、グルタミン酸受容体の一つであるN-メチル‐D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)の内在性コ・アゴニストとして脳の高次機能発現に | |||
関与すると考えられている。現在、3系統のSRノックアウト(KO)マウスが確立されており、生体レベルにおけるSRの機能が明らかにされつつある。 | |||
SRKOマウスでは、NMDAおよびアミロイド1-42(A1-42)の脳内注入により誘導される神経細胞変性が野生型マウスに比べ有意に低下し、 | |||
脳虚血により引き起こされる障害が緩和されることが報告されている14, 16。また、SRKOマウスには、空間記憶の異常など認知機能の障害があり、 | |||
社会性行動の障害が認められている15, 17。 | |||
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