「Αシヌクレイン」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
57行目: 57行目:


=== Lewy小体・グリア細胞内封入体の構成成分として ===
=== Lewy小体・グリア細胞内封入体の構成成分として ===
パーキンソン病患者の中脳黒質や青斑核などにはヘマトキシン・エオジン染色でエオジン好性のコアを明瞭なハロが取り囲む直径5-20 μm程度の類円形の封入体が認められ、発見者であるFriedrich Heinrich Lewyの名にちなみLewy小体とよばれる<ref name=Wakabayashi2007><pubmed>18018486</pubmed></ref> (図5A)。1997年Spillantiniらは家族性パーキンソン病の原因としてαシヌクレイン遺伝子が報告されたことをヒントに孤発性パーキンソン病およびレビー小体型認知症患者脳を用いた免疫染色を実施し、Lewy小体がαシヌクレイン抗体で強く染色されることを世界に先駆けて報告した<ref name=Spillantini1997><pubmed>9278044</pubmed></ref> 。その翌年、Iwatsuboらはレビー小体型認知症剖検脳から単離・精製したLewy小体を抗原として複数の抗体を作製し、うち幾つかがαシヌクレインを認識することを証明し、αシヌクレインがLewy小体の主要構成成分であるとの直接証拠を提示した<ref name=Baba1998><pubmed>9546347</pubmed></ref> 。さらに、多系統萎縮症(multiple system atrophy, MSA)患者のオリゴデンドログリア内に多発するグリア細胞内封入体がやはりαシヌクレイン陽性であることが確認され(図5B)<ref name=Hasegawa2013><pubmed></pubmed></ref><ref name=Wakabayashi1998><pubmed>9682846</pubmed></ref> 、αシヌクレインが病態機序の中心的役割を担うと想定される神経疾患群を総称するumbrella termとして “シヌクレイノパチー”が提唱されることとなった<ref name=Goedert2001><pubmed>11433374</pubmed></ref> (図6)。
 パーキンソン病患者の中脳黒質や青斑核などにはヘマトキシン・エオジン染色でエオジン好性のコアを明瞭なハロが取り囲む直径5-20 μm程度の類円形の封入体が認められ、発見者であるFriedrich Heinrich Lewyの名にちなみLewy小体とよばれる<ref name=Wakabayashi2007><pubmed>18018486</pubmed></ref> ('''図5A''')。1997年Spillantiniらは家族性パーキンソン病の原因としてαシヌクレイン遺伝子が報告されたことをヒントに孤発性パーキンソン病およびレビー小体型認知症患者脳を用いた免疫染色を実施し、Lewy小体がαシヌクレイン抗体で強く染色されることを世界に先駆けて報告した<ref name=Spillantini1997><pubmed>9278044</pubmed></ref> 。その翌年、Iwatsuboらはレビー小体型認知症剖検脳から単離・精製したLewy小体を抗原として複数の抗体を作製し、うち幾つかがαシヌクレインを認識することを証明し、αシヌクレインがLewy小体の主要構成成分であるとの直接証拠を提示した<ref name=Baba1998><pubmed>9546347</pubmed></ref> 。さらに、多系統萎縮症(multiple system atrophy, MSA)患者のオリゴデンドログリア内に多発するグリア細胞内封入体がやはりαシヌクレイン陽性であることが確認され('''図5B''')<ref name=Hasegawa2013><pubmed></pubmed></ref><ref name=Wakabayashi1998><pubmed>9682846</pubmed></ref> 、αシヌクレインが病態機序の中心的役割を担うと想定される神経疾患群を総称するumbrella termとして “シヌクレイノパチー”が提唱されることとなった<ref name=Goedert2001><pubmed>11433374</pubmed></ref> ('''図6''')。


=== αシヌクレインと神経変性 ===
=== αシヌクレインと神経変性 ===

案内メニュー