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NIRS信号強度の群間比較(たとえば患者群と健常群)に意味がないという事実は、本法が臨床の場に普及する妨げになってきたが、カテゴリカルデザインを用いた群間比較は可能である。たとえば、患者群と健常群において、タスク間比較(コントロールタスクとテストタスクなど)の結果に違いを認めるかどうかという様な比較は行うことができる。また、事象関連デザインによる解析は信号の絶対値を必要とせず、時間分解能がすぐれているNIRSには適した解析法と思われる。しかし、fMRIで用いられている血流動態反応関数(hemodynamic response function、 HRF)を、そのままNIRSの解析に用いることの妥当性などは、今後さらに検討が必要である。 | NIRS信号強度の群間比較(たとえば患者群と健常群)に意味がないという事実は、本法が臨床の場に普及する妨げになってきたが、カテゴリカルデザインを用いた群間比較は可能である。たとえば、患者群と健常群において、タスク間比較(コントロールタスクとテストタスクなど)の結果に違いを認めるかどうかという様な比較は行うことができる。また、事象関連デザインによる解析は信号の絶対値を必要とせず、時間分解能がすぐれているNIRSには適した解析法と思われる。しかし、fMRIで用いられている血流動態反応関数(hemodynamic response function、 HRF)を、そのままNIRSの解析に用いることの妥当性などは、今後さらに検討が必要である。 | ||
fMRIやPET計測においては、複数の被験者データを同一空間(標準脳)で解析することがルーチンに行われている。ある個人に特異的な所見ではなく、多くの人に共通に認められる現象を見出すためであるが、マルチチャンネルNIRS装置で得られたデータ解析において、最も困難な解析法の一つである。NIRS計測の前あるいは後で頭部MRI画像を取得して、[[wikipedia:ja:デジタイズ|デジタイザー]]で[[wikipedia:ja:光ファイバー|光ファイバー]]の位置を脳表に投射してから、解剖学的正規化と空間的平滑化を行って標準脳に変形させることは可能である。[[脳波]]電極の配置(たとえば国際10-20法)は、その直下の脳領域を推定するのにしばしば利用されるが<ref name=ref11><pubmed>14741647</pubmed></ref>、たとえ脳波電極設置部位をランドマークにして光ファイバ固定用ホルダーを設置しても、各照射-受光ペアが計測する脳領域は被験者ごとに異なる。これは、ホルダーの大きさは同じでも、頭の大きさは個人で異なるためで、さらにホルダーをとりつける時に多少ずれてしまうこともある。 | |||
そこで、[[標準脳]]に変形させてから、計測領域がほぼ同じとみなせる被験者のデータのみを用いて解析することは可能であるが、賢明な解決法とは言いがたい。[[脳磁場]]計測(MEG)や脳波計測(EEG)もNIRSと同様に標準的な集団解析の方法はなく、個人解析がまず行われ、その結果が集団解析の対象になっている。NIRS信号の解析においても、直接集団データの中から共通項を見いだすのではなく、MEGやEEGのように個人データ解析から行うのが確実であると考える。 | |||
== 選択的・定量的脳内Hb計測 == | == 選択的・定量的脳内Hb計測 == |