「児童虐待」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0086457 田中 康雄]</font><br>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0086457 田中 康雄]</font><br>
''北海道大学 大学院教育学研究院 子ども発達臨床研究センター 子ども臨床研究部門''<br>
''こころとそだちのクリニックむすびめ''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年5月28日 原稿完成日:2012年6月1日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年5月28日 原稿完成日:2012年6月1日 一部改訂:2022年9月23日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadafumikato 加藤 忠史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadafumikato 加藤 忠史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
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英語名:child abuse 独:Kindesmißhandlung 仏:abus de l'enfant  
英語名:child abuse 独:Kindesmißhandlung 仏:abus de l'enfant  


{{box|text=
{{box|text=「児童虐待の防止等に関する法律」(2000年11月施行)では,児童虐待は,保護者が子どもに対して身体的外傷を負わす(身体虐待),わいせつな行為をする(性的虐待),言葉による脅しや目の前の家族に暴力を振るうドメスティックの目撃などにより心理的外傷を負わす(心理的虐待),食事を与えないなどの監護を怠る(ネグレクト)の4分類に定義された。児童相談所対応件数は2020年度に20万を超え,施行前の1999年度と比べ17倍以上と増加の一途を辿っている。虐待を受けた子どもは,怪我や栄養状態だけでなく,感情や行動面,対人関係面においても大きな変化を認め,脳の機能的,器質的変化まで生じさせる。虐待を受けた結果生じる安心,安全感の欠如や人間不信,および過去の出来事の想起や自己評価の低下は,成人後もその生活において大きな影響を与え続ける。早期発見と対応は虐待を受けた子どもと虐待をしてしまう保護者双方に行う必要がある。 }}
 児童虐待は、子どもの成長と発達を阻むものである。
 
 児童の人権を侵害しているという点で今一度、子どもの権利条約に立ち返りながら、発達途上の子どもの成長を保証し、環境調整に留意し、安全を提供し、あたりまえの(特別な)保護を与えることの必要性に再度立ち返るべきである。児童虐待を防ぐことの責務を、われわれ国民一人一人が背負っていることを強く自覚する必要がある。そのためここでは日本における現状と取り組みに焦点化して概説している。
}}


== 日本の現状  ==
== 日本の現状  ==
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 子どもは暴力にさらされてきた。不当に扱われることが少なくない。もちろん、成人も暴力にさらされ被害にあう。「児童虐待」が問題なのは、子どもへの加害が家族のなかに生じるという点にある。さまざまな面で大人、特に家族に依存して育つ子どもは、その関係を拒めないし、変更の申し立てもできない。  
 子どもは暴力にさらされてきた。不当に扱われることが少なくない。もちろん、成人も暴力にさらされ被害にあう。「児童虐待」が問題なのは、子どもへの加害が家族のなかに生じるという点にある。さまざまな面で大人、特に家族に依存して育つ子どもは、その関係を拒めないし、変更の申し立てもできない。  


 日本で、最初に子どもの虐待という用語が使用された調査は、[[wikipedia:ja:厚生省|厚生省]](当時)が1973年に全国の[[wikipedia:ja:児童相談所|児童相談所]]を通じて調査した、3歳未満の「子どもの虐待、遺棄、殺害の事件」であろう。このときの結果は、殺害が心中も含めて258件、遺棄139件に比し、虐待26件であった。ここでの虐待は「暴行など身体的危害、あるいは長時間の絶食、拘禁など、生命に危険を及ぼすような行為」としていた。小林美智子らが「Child Abuse研究会」を発足したのが1978年、わが国で池田由子による専門家向けの成書として「児童虐待の病理と臨床」<ref>'''池田由子'''<br>[http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA90542751 児童虐待の病理と臨床]<br>''金剛出版'', 1979</ref>が世に出たのが1979年、国際児童年の刻であった。  
 日本で、最初に子どもの虐待という用語が使用された調査は、[[wj:厚生省|厚生省]](当時)が1973年に全国の[[wj:児童相談所|児童相談所]]を通じて調査した、3歳未満の「子どもの虐待、遺棄、殺害の事件」であろう。このときの結果は、殺害が心中も含めて258件、遺棄139件に比し、虐待26件であった。ここでの虐待は「暴行など身体的危害、あるいは長時間の絶食、拘禁など、生命に危険を及ぼすような行為」としていた。小林美智子らが「Child Abuse研究会」を発足したのが1978年、わが国で池田由子による専門家向けの成書として「児童虐待の病理と臨床」<ref>'''池田由子'''<br>[http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA90542751 児童虐待の病理と臨床]<br>''金剛出版'', 1979</ref>が世に出たのが1979年、国際児童年の刻であった。  


 しかし、まだ我々はこの分野に関心を高めることなく、その現象を眺めてきた。子どもの虐待に光が当たり始めるのには、1990年まで待つ必要があった。 1990年は、大阪府に日本で最初の民間団体である児童虐待防止協会が設立され、同時期に、大阪のメンバーを中心に、「児童虐待防止制度研究会」が発足した。この年は、厚生労働省が、全国の児童相談所に寄せられた虐待通告件数の統計を取り始めた年でもあり、当時の通告件数は全国の児童相談所で1,101件という数であった。1991年には東京都に子ども虐待防止センターが発足し、以後各地に同様な地域活動組織が設立され、1996年、大阪で全国児童虐待防止研究会が開催され、「[[wikipedia:ja:日本子どもの虐待防止研究会|日本子どもの虐待防止研究会]]」として活動し、2005年札幌での学術大会から「日本子ども虐待防止学会」と名称が変更された。91年に1,101件であった件数は爆発的に増加し、2010年度の速報値は55,152件(震災があり宮城県、福島県、仙台市を除いた数値)と上昇の一途である。  
 しかし、まだ我々はこの分野に関心を高めることなく、その現象を眺めてきた。子どもの虐待に光が当たり始めるのには、1990年まで待つ必要があった。 1990年は、大阪府に日本で最初の民間団体である児童虐待防止協会が設立され、同時期に、大阪のメンバーを中心に、「児童虐待防止制度研究会」が発足した。この年は、厚生労働省が、全国の児童相談所に寄せられた虐待通告件数の統計を取り始めた年でもあり、当時の通告件数は全国の児童相談所で1,101件という数であった。1991年には東京都に子ども虐待防止センターが発足し、以後各地に同様な地域活動組織が設立され、1996年、大阪で全国児童虐待防止研究会が開催され、「[[wj:日本子どもの虐待防止研究会|日本子どもの虐待防止研究会]]」として活動し、2005年札幌での学術大会から「日本子ども虐待防止学会」と名称が変更された。91年に1,101件であった件数は爆発的に増加し、2010年度の速報値は55,152件(震災があり宮城県、福島県、仙台市を除いた数値)と上昇の一途である。  


図1は、厚生労働省のHPにある添付資料である<ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001jiq1.html 厚生労働省 子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)及び児童虐待相談対応件数等]</ref>。  
 '''図1'''は、厚生労働省のHPにある添付資料である<ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001jiq1.html 厚生労働省 子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)及び児童虐待相談対応件数等]</ref>。  


== 日本の法律と定義  ==
== 日本の法律と定義  ==


 わが国は平成12年に[[wikipedia:ja:児童虐待の防止等に関する法律|児童虐待の防止等に関する法律]]を施行させ、以後改正を続け、21年4月から施行となった児童虐待の防止等に関する法律によると、児童虐待は下記のように定義されている<ref>[http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/hourei.html 児童虐待に関する法令・指針等一覧]</ref>。  
 わが国は平成12年に[[wj:児童虐待の防止等に関する法律|児童虐待の防止等に関する法律]]を施行させ、以後改正を続け、21年4月から施行となった児童虐待の防止等に関する法律によると、児童虐待は'''表'''のように定義されている<ref>[http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/hourei.html 児童虐待に関する法令・指針等一覧]</ref>。  


 この前提として、法律の目的が第1条にうたわれている。それによると「この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児童の権利利益の擁護に資することを目的」としている。  
 この前提として、法律の目的が第1条にうたわれている。それによると「この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児童の権利利益の擁護に資することを目的」としている。  


 すなわち児童の権利利益の擁護を[[wikipedia:ja:人権|人権]]侵害の立場から国と地方公共団体の責務としたのである。  
 すなわち児童の権利利益の擁護を[[wj:人権|人権]]侵害の立場から国と地方公共団体の責務としたのである。  
 
 
児童虐待の定義


{| cellspacing="1" cellpadding="1" border="1" style="width: 802px; height: 197px;"
{| class="wikitable"
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|+'''表. 児童虐待の定義'''
| 「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。  
| 「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。  
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。  
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。  
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#放置、監護の怠り:ネグレクト  
#放置、監護の怠り:ネグレクト  
#心理的外傷を与える:心理的虐待<br>の4つをその代表とする。<br>これに加えて、特殊な虐待形態として  
#心理的外傷を与える:心理的虐待<br>の4つをその代表とする。<br>これに加えて、特殊な虐待形態として  
#[[代理ミュンヒハウゼン症候群(Munchausen syndrome by proxy)]]:養育者が健康な子どもに故意の行為(口を塞ぐ、毒物を飲ませる、過量に薬物を使用するなど)から作り出した虚偽の症状を訴え、病院を転々と変えながら不必要な検査、手術、治療、入院を繰り返して、子どもの正常な発達、健康、生育を妨げる行為
#[[代理ミュンヒハウゼン症候群]]([[Münchausen syndrome by proxy]]):養育者が健康な子どもに故意の行為(口を塞ぐ、毒物を飲ませる、過量に薬物を使用するなど)から作り出した虚偽の症状を訴え、病院を転々と変えながら不必要な検査、手術、治療、入院を繰り返して、子どもの正常な発達、健康、生育を妨げる行為
#[[乳児揺さぶられ症候群]](Shaken baby syndrome):乳幼児を暴力的に揺さぶり、その後に外傷(多くは頭蓋内出血、[[硬膜]]下出血、頸部の損傷など)が生じる  
#[[乳児揺さぶられ症候群]](Shaken baby syndrome):乳幼児を暴力的に揺さぶり、その後に外傷(多くは頭蓋内出血、[[硬膜]]下出血、頸部の損傷など)が生じる  
#ネグレクトによる成長障害([[愛情遮断性小人症]]):年齢不相応の低身長、低体重  
#ネグレクトによる成長障害([[愛情遮断性小人症]]):年齢不相応の低身長、低体重  
#出生前虐待 (Prenatal Abuse ) :[[wikipedia:ja:妊娠|妊娠]]中の女性が、[[麻薬]]・[[覚醒剤]]の濫用、喫煙、アルコールの大量摂取などによって胎児の健康を害する行為
#出生前虐待 (Prenatal Abuse ) :[[wj:妊娠|妊娠]]中の女性が、[[麻薬]]・[[覚醒剤]]の濫用、喫煙、[[アルコール]]の大量摂取などによって胎児の健康を害する行為
#親子心中、棄児、置去児<br>といったものが上げられる。
#親子心中、棄児、置去児<br>といったものが上げられる。


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 虐待やネグレクトを受け続けた子どもたちには、様々な状態が認められる。  
 虐待やネグレクトを受け続けた子どもたちには、様々な状態が認められる。  


 身体面の特徴について列挙すると、低身長・低体重・成長障害、皮膚外傷、[[wikipedia:ja:骨折|骨折]]・[[wikipedia:ja:脱臼|脱臼]]・骨端破壊、[[wikipedia:ja:火傷|火傷]]、頭部外傷、内臓損傷、[[wikipedia:ja:脊椎|脊椎]]損傷・麻痺、[[wikipedia:ja:網膜剥離|網膜剥離]]などの眼症状、栄養障害・飢餓、[[けいれん]]・[[てんかん]]、[[wikipedia:ja:下痢|下痢]]・[[wikipedia:ja:嘔吐|嘔吐]]・[[wikipedia:ja:消化不良|消化不良]]、[[wikipedia:ja:循環障害|循環障害]]、[[wikipedia:ja:凍傷|凍傷]]、歯牙脱落・舌損傷、そして死亡である。  
 身体面の特徴について列挙すると、低身長・低体重・成長障害、皮膚外傷、[[wj:骨折|骨折]]・[[wj:脱臼|脱臼]]・骨端破壊、[[wj:火傷|火傷]]、頭部外傷、内臓損傷、[[wj:脊椎|脊椎]]損傷・麻痺、[[wj:網膜剥離|網膜剥離]]などの眼症状、栄養障害・飢餓、[[けいれん]]・[[てんかん]]、[[wj:下痢|下痢]]・[[wj:嘔吐|嘔吐]]・[[wj:消化不良|消化不良]]、[[wj:循環障害|循環障害]]、[[wj:凍傷|凍傷]]、歯牙脱落・舌損傷、そして死亡である。  


 行動面の特徴としては、[[wikipedia:ja:過食|過食]]・[[wikipedia:ja:盗食|盗食]]・[[wikipedia:ja:異食|異食]]・[[wikipedia:ja:食欲|食欲]]不振といった食事に関した課題がもっともよく認められる。さらに学童期中頃から認められる便尿失禁、あるいは[[常同運動]]や[[wikipedia:ja:自傷|自傷]]行為、時に緘黙傾向も認められる。また[[wikipedia:ja:虚言|虚言]]や盗み・万引き、いやがらせ、集団不適応、火遊び・放火、いじめ、器物破損・暴力といった[[行為障害]]様言動も顕著である。生活場面では、だらしなさが目立ち、特に女児では性的逸脱行動や繰り返す自傷行為や自殺企図 が認められる。  
 行動面の特徴としては、[[過食]]・[[盗食]]・[[異食]]・[[食欲不振]]といった食事に関した課題がもっともよく認められる。さらに学童期中頃から認められる便尿失禁、あるいは[[常同運動]]や[[自傷行為]]、時に[[緘黙]]傾向も認められる。また[[wj:虚言|虚言]]や盗み・万引き、いやがらせ、集団不適応、火遊び・放火、いじめ、器物破損・暴力といった[[行為障害]]様言動も顕著である。生活場面では、だらしなさが目立ち、特に女児では性的逸脱行動や繰り返す自傷行為や自殺企図 が認められる。  


 精神面の特徴としては、運動・情緒・言語発達の遅れが顕著で、生来性の発達障害との鑑別に苦慮することになる。ほかに抑うつ、無表情、無気力、不眠、神経過敏や気分易変を認め、結果的に学習不振に至ることもある。低年齢では、おちつきがない、人との距離感がとれない、大人の顔色をうかがうといった行動も目立つ。精神症状としては、[[薬物依存]]、性的行動化(売春)、[[抑うつ状態]]、希死念慮、[[不安障害]]、[[対人恐怖]]、転換・解離症状、[[心因性疼痛]]、[[チック]]などが認められる。  
 精神面の特徴としては、運動・情緒・言語発達の遅れが顕著で、生来性の発達障害との鑑別に苦慮することになる。ほかに抑うつ、無表情、無気力、不眠、神経過敏や気分易変を認め、結果的に学習不振に至ることもある。低年齢では、おちつきがない、人との距離感がとれない、大人の顔色をうかがうといった行動も目立つ。精神症状としては、[[薬物依存]]、性的行動化(売春)、[[抑うつ状態]]、希死念慮、[[不安障害]]、[[対人恐怖]]、転換・解離症状、[[心因性疼痛]]、[[チック]]などが認められる。  
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 なお、性的虐待を受けた子どもたちの心理は、不本意な性的快感や秘密の共有を強いられるため非常に複雑な心理状態に置かれる。  
 なお、性的虐待を受けた子どもたちの心理は、不本意な性的快感や秘密の共有を強いられるため非常に複雑な心理状態に置かれる。  


 いずれにしても被虐待経験は、心的外傷体験となり、長期的後遺症として、「人は暴力による支配で関係を作る」「理不尽ではあっても、支配者には抵抗できない」などの生きる上でのさまざまな誤学習と孤独・孤立感を作り出す。
 いずれにしても被虐待経験は、[[外傷後ストレス障害|心的外傷体験]]となり、長期的後遺症として、「人は暴力による支配で関係を作る」「理不尽ではあっても、支配者には抵抗できない」などの生きる上でのさまざまな誤学習と孤独・孤立感を作り出す。


 虐待が生み出す最大の、そして究極の影響力は、この安全保障のなさを学習し体験することで、それが日々の生活のベースラインとなってしまうことである。    
 虐待が生み出す最大の、そして究極の影響力は、この安全保障のなさを学習し体験することで、それが日々の生活のベースラインとなってしまうことである。    

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