「ニューロンモデル」の版間の差分

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と表せる<ref name=Segev1998>'''Segev, I., Burke, R.E. (1998)'''<br>Compartmental Models of Complex Neurons. In: Koch, C., Segev, I. (Eds.), Methods in Neural Modeling, MIT Press, Cambridge, Massachusetts, 93-136.</ref>。ここで<math>g_{k,k+1}</math>、<math>g_{k,k-1}はそれぞれ隣接する区画<math>k+1</math>、および、区画<math>k-1</math>との間の伝導度を表す。各区画を小さく取ることにより、連続体に近い結果が得られる一方、計算コストは増大する。各区画を大きく取れば、計算コストは削減できるが、粗視化による誤差の増大を招くという、トレードオフが生じる。細胞全体を1つの膜電位で表す場合は、区画が1つになるので、シングルコンパートメントモデルと呼ばれることがある。扱う問題により、シングルコンパートメントかマルチコンパートメントか、マルチコンパートメントであれば、どの程度の分割でモデル化するか、が異なる。一般的に、単一細胞における情報処理を問題とする場合には、マルチコンパートメントモデル、ネットワークを扱う場合には、シングルコンパートメントモデルを用いることが多い。
と表せる<ref name=Segev1998>'''Segev, I., Burke, R.E. (1998)'''<br>Compartmental Models of Complex Neurons. In: Koch, C., Segev, I. (Eds.), Methods in Neural Modeling, MIT Press, Cambridge, Massachusetts, 93-136.</ref>。ここで<math>g_{k,k+1}</math>、<math>g_{k,k-1}</math>はそれぞれ隣接する区画<math>k+1</math>、および、区画<math>k-1</math>との間の伝導度を表す。各区画を小さく取ることにより、連続体に近い結果が得られる一方、計算コストは増大する。各区画を大きく取れば、計算コストは削減できるが、粗視化による誤差の増大を招くという、トレードオフが生じる。細胞全体を1つの膜電位で表す場合は、区画が1つになるので、シングルコンパートメントモデルと呼ばれることがある。扱う問題により、シングルコンパートメントかマルチコンパートメントか、マルチコンパートメントであれば、どの程度の分割でモデル化するか、が異なる。一般的に、単一細胞における情報処理を問題とする場合には、マルチコンパートメントモデル、ネットワークを扱う場合には、シングルコンパートメントモデルを用いることが多い。


 シナプス前細胞から後細胞への信号伝達はシナプス電流によりもたらされる。シナプス電流は、他のイオン電流と同様に、<math>I_{syn}= (V E_{syn})</math>として表される。<math>g_s(t)</math>はシナプス電流の伝導度、<math>V</math>は後細胞の膜電位、<math>E_{syn}</math>は平衡電位である。<math>g_s(t)</math>は、前細胞の膜電位に依存して変化し、そのモデルとしては次の2つが代表的である。
 シナプス前細胞から後細胞への信号伝達はシナプス電流によりもたらされる。シナプス電流は、他のイオン電流と同様に、<math>I_{syn}= (V-E_{syn})</math>として表される。<math>g_s(t)</math>はシナプス電流の伝導度、<math>V</math>は後細胞の膜電位、<math>E_{syn}</math>は平衡電位である。<math>g_s(t)</math>は、前細胞の膜電位に依存して変化し、そのモデルとしては次の2つが代表的である。


===Kineticsモデル(2状態モデル)===
===Kineticsモデル(2状態モデル)===

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