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細 (→構造) |
細 (→化学修飾) |
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今日では数千のmRNAが軸索や樹状突起に局在することが確認されている。脳の体積において軸索と樹状突起それぞれが占める割合を考えれば、局所翻訳 (local translation) は決して「局所 (local)」な現象ではなく、多くの脳機能に関わっていることが想定される。 | 今日では数千のmRNAが軸索や樹状突起に局在することが確認されている。脳の体積において軸索と樹状突起それぞれが占める割合を考えれば、局所翻訳 (local translation) は決して「局所 (local)」な現象ではなく、多くの脳機能に関わっていることが想定される。 | ||
[[ファイル:MRNA Fig2.png|400px|サムネイル|'''図2. mRNAの内部配列における化学修飾の例'''<br>mRNAの内部配列には様々な化学修飾塩基が存在し、mRNAの安定性・輸送・翻訳を調節している;5-メチルシトシン(m5C)、N 1-メチルアデノシン(m1A)、N 6-メチルアデノシン (m6A)、シュードウリジン(Ψ)。BioRenderより作成。]] | |||
== 化学修飾 == | == 化学修飾 == | ||
RNAをターゲットとした化学修飾が自然界に多種多様に存在することは以前から知られていた。近年、その遺伝子発現制御メカニズムの全貌を表す「エピトランスクリプトミクス」研究分野が隆盛している。 | RNAをターゲットとした化学修飾が自然界に多種多様に存在することは以前から知られていた。近年、その遺伝子発現制御メカニズムの全貌を表す「エピトランスクリプトミクス」研究分野が隆盛している。 | ||
mRNAには様々な化学修飾塩基が存在し、その安定性・輸送・翻訳を調節している。mRNAの5'末端ではm7Gppp(m7G)修飾が共通して見られる。mRNAの内部配列では、2'-O-メチル化をはじめとして、イノシン(I)・5-メチルシトシン(m5C)・5-ヒドロキシメチルシトシン(hm5C)・シュードウリジン(Ψ)・N 1-メチルアデノシン(m1A)・2'-O-メチルヌクレオチド(Nm)等が主要な修飾として挙げられる(図2)<ref name=Ohtan2021><pubmed>21775212</pubmed></ref> 。 | mRNAには様々な化学修飾塩基が存在し、その安定性・輸送・翻訳を調節している。mRNAの5'末端ではm7Gppp(m7G)修飾が共通して見られる。mRNAの内部配列では、2'-O-メチル化をはじめとして、イノシン(I)・5-メチルシトシン(m5C)・5-ヒドロキシメチルシトシン(hm5C)・シュードウリジン(Ψ)・N 1-メチルアデノシン(m1A)・2'-O-メチルヌクレオチド(Nm)等が主要な修飾として挙げられる('''図2''')<ref name=Ohtan2021><pubmed>21775212</pubmed></ref> 。 | ||
RNA化学修飾はRNAが転写された後の遺伝子コードの情報を大きく拡張する。神経細胞は、外部からの入力に柔軟に対応するため、脳内活動依存的遺伝子発現メカニズムを持っていると考えられる。RNA化学修飾はその遺伝子情報制御相の1つではないかと想定される。 | RNA化学修飾はRNAが転写された後の遺伝子コードの情報を大きく拡張する。神経細胞は、外部からの入力に柔軟に対応するため、脳内活動依存的遺伝子発現メカニズムを持っていると考えられる。RNA化学修飾はその遺伝子情報制御相の1つではないかと想定される。 | ||
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2018年京都大学のWangグループらは、マウス脳から神経シナプスに含まれるRNAを精製し、6-メチルアデノシン(m6A)修飾の状況を次世代シーケンサーを用いて解読した。その結果、シナプスに存在するRNAにおいて特異的にm6A修飾が増加している遺伝子1266個を同定した。これらの遺伝子にはシナプス機能、精神疾患、神経発達障害に関連するものが多く含まれており、m6A修飾は様々なmRNAを修飾することで正常なシナプス機能やその破綻に深く関わっていることが示唆された。今後、脳におけるRNA化学修飾の役割の理解がさらに進むことが期待される<ref name=Merkurjev2018><pubmed>29950670</pubmed></ref> 。 | 2018年京都大学のWangグループらは、マウス脳から神経シナプスに含まれるRNAを精製し、6-メチルアデノシン(m6A)修飾の状況を次世代シーケンサーを用いて解読した。その結果、シナプスに存在するRNAにおいて特異的にm6A修飾が増加している遺伝子1266個を同定した。これらの遺伝子にはシナプス機能、精神疾患、神経発達障害に関連するものが多く含まれており、m6A修飾は様々なmRNAを修飾することで正常なシナプス機能やその破綻に深く関わっていることが示唆された。今後、脳におけるRNA化学修飾の役割の理解がさらに進むことが期待される<ref name=Merkurjev2018><pubmed>29950670</pubmed></ref> 。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == |