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[34]、双極細胞やアマクリン細胞と回路を形成する。 | [34]、双極細胞やアマクリン細胞と回路を形成する。 | ||
=== 特徴検出器 === | ==== 特徴検出器 ==== | ||
神経節細胞は、視野における特定の視覚特徴を検出する「特徴検出器」と見なすことができる。Lettvinらは、カエル網膜の神経節細胞を視覚応答に基づいて4つのクラスに分類した<ref name=Lettvin1959>Lettvin JY, Maturana HR, McCulloch WS, Pitts WH. (1959) What the Frog’s Eye Tells the Frog’s Brain. Proceedings of the IRE. 47: 1940–1951</ref> | 神経節細胞は、視野における特定の視覚特徴を検出する「特徴検出器」と見なすことができる。Lettvinらは、カエル網膜の神経節細胞を視覚応答に基づいて4つのクラスに分類した<ref name=Lettvin1959>Lettvin JY, Maturana HR, McCulloch WS, Pitts WH. (1959) What the Frog’s Eye Tells the Frog’s Brain. Proceedings of the IRE. 47: 1940–1951</ref> | ||
[35]。クラスI)受容野内の明暗変化に反応するコントラスト検出器、クラスII)コントラスト定義された凸型の小さな形状に反応する凸型検出器、クラスIII)視覚的な動きに反応する運動検出器、クラスIV)明るさが徐々に暗くなる(黒い円盤が徐々に大きくなる)ときに反応するディミング検出器である。これらの検出器が感受する刺激パターンは、カエルの生存に関わる行動と連関する生態学的意義を持つと考えられている。例えば、受容野内を動き回る小型の影は、カエルにとって餌となる虫を意味する。拡大する黒い円盤は、背後や上空から大きな外敵(捕食者)が自分に近づいてくることを意味する。実際、カエルだけでなく、魚類やげっ歯類など、様々な動物に拡大する黒い円盤を頭上に呈示すると、逃避やすくみなどの恐怖行動が誘発される<ref name=Pereira2016><pubmed>27750206</pubmed></ref><ref name=Yilmaz2013><pubmed>24120636</pubmed></ref>[36,37]。面白いことに、カエルの視覚システムでは、網膜に存在するディミング検出器(神経節細胞)群が単にスパイク発火するのではなく、これらが同期的かつ周期的にスパイク発火を生じることで逃避行動が誘発されることが分かっている<ref name=Ishikane2005><pubmed>15995702</pubmed></ref>[38]。 | [35]。クラスI)受容野内の明暗変化に反応するコントラスト検出器、クラスII)コントラスト定義された凸型の小さな形状に反応する凸型検出器、クラスIII)視覚的な動きに反応する運動検出器、クラスIV)明るさが徐々に暗くなる(黒い円盤が徐々に大きくなる)ときに反応するディミング検出器である。これらの検出器が感受する刺激パターンは、カエルの生存に関わる行動と連関する生態学的意義を持つと考えられている。例えば、受容野内を動き回る小型の影は、カエルにとって餌となる虫を意味する。拡大する黒い円盤は、背後や上空から大きな外敵(捕食者)が自分に近づいてくることを意味する。実際、カエルだけでなく、魚類やげっ歯類など、様々な動物に拡大する黒い円盤を頭上に呈示すると、逃避やすくみなどの恐怖行動が誘発される<ref name=Pereira2016><pubmed>27750206</pubmed></ref><ref name=Yilmaz2013><pubmed>24120636</pubmed></ref>[36,37]。面白いことに、カエルの視覚システムでは、網膜に存在するディミング検出器(神経節細胞)群が単にスパイク発火するのではなく、これらが同期的かつ周期的にスパイク発火を生じることで逃避行動が誘発されることが分かっている<ref name=Ishikane2005><pubmed>15995702</pubmed></ref>[38]。 |