「エストロゲン」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
72行目: 72行目:
[[ファイル:Ishihara Estrogen Fig4.png|サムネイル|'''図4. エストロゲンによる神経保護メカニズムの概要'''<br>文献<ref name=Ishihara2015><pubmed>25815107</pubmed></ref>を改変]]
[[ファイル:Ishihara Estrogen Fig4.png|サムネイル|'''図4. エストロゲンによる神経保護メカニズムの概要'''<br>文献<ref name=Ishihara2015><pubmed>25815107</pubmed></ref>を改変]]
=== 神経保護===
=== 神経保護===
 エストロゲンは、アルツハイマー病やパーキンソン病、脳梗塞など、様々な要因により生じる神経障害に対して保護作用を有していることが知られている<ref name=Brann2007><pubmed>17379265</pubmed></ref>。エストロゲンの神経保護メカニズムはgenomic signaling pathwaysとnon-genomic signaling pathwaysに大別される。
 エストロゲンは、アルツハイマー病やパーキンソン病、脳梗塞など、様々な要因により生じる神経障害に対して保護作用を有していることが知られている<ref name=Brann2007><pubmed>17379265</pubmed></ref>。17β-エストラジオールによる神経保護メカニズムの概要を'''図4'''に示した。エストロゲンの神経保護メカニズムはgenomic signaling pathwaysとnon-genomic signaling pathwaysに大別される。


 17β-エストラジオールによる神経保護を媒介する遺伝子群について'''表1'''に示した。17β-エストラジオールは酸化ストレスやアポトーシス、炎症に関連する遺伝子の発現を制御することにより神経保護作用を示す。
 Genomic signaling pathways('''図4①''')に関与する、17β-エストラジオールによる神経保護を媒介する遺伝子群について'''表1'''に示した。17β-エストラジオールは酸化ストレスやアポトーシス、炎症に関連する遺伝子の発現を制御することにより神経保護作用を示す。


 17β-エストラジオールによるnon-genomic signaling pathwaysを介した神経保護には、主にキナーゼ経路が関わると考えられている。ERK経路の活性化や<ref name=Mize2003><pubmed>12488359</pubmed></ref>Akt経路の活性化<ref name=Zhang2009><pubmed>19889994</pubmed></ref>、Wntシグナル伝達の調節<ref name=Quintanilla2005><pubmed>15659394</pubmed></ref>などがメカニズムである。
 17β-エストラジオールによるnon-genomic signaling pathwaysを介した神経保護には、主にキナーゼ経路が関わると考えられている('''図4②''')。ERK経路の活性化や<ref name=Mize2003><pubmed>12488359</pubmed></ref>Akt経路の活性化<ref name=Zhang2009><pubmed>19889994</pubmed></ref>、Wntシグナル伝達の調節<ref name=Quintanilla2005><pubmed>15659394</pubmed></ref>などがメカニズムである。


 また、17β-エストラジオールはミトコンドリア効率の改善<ref name=Jones2009><pubmed>18930048</pubmed></ref>や活性酸素種などの高反応性化学物質の直接消去も行う<ref name=Behl1997><pubmed>9106616</pubmed></ref>。さらに、アストロサイトのグルタミン酸動態に干渉したり<ref name=Acaz-Fonseca2014><pubmed>24444786</pubmed></ref>、ミクログリアの炎症反応を抑制したりと<ref name=Bruce-Keller2000><pubmed>11014219</pubmed></ref>、多種多様なメカニズムにより神経保護に役割を果たす。17β-エストラジオールによる神経保護メカニズムの概要を'''図4'''に示した。
 また、17β-エストラジオールはミトコンドリア効率の改善('''図4③''')<ref name=Jones2009><pubmed>18930048</pubmed></ref>や活性酸素種('''図4④''')などの高反応性化学物質の直接消去も行う<ref name=Behl1997><pubmed>9106616</pubmed></ref>。さらに、アストロサイトのグルタミン酸動態に干渉したり<ref name=Acaz-Fonseca2014><pubmed>24444786</pubmed></ref>('''図4⑤''')、ミクログリアの炎症反応を抑制したりと<ref name=Bruce-Keller2000><pubmed>11014219</pubmed></ref>'''図4⑥''')、多種多様なメカニズムにより神経保護に役割を果たす。


{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
115行目: 115行目:
|}
|}
文献<ref name=Ishihara2015><pubmed>25815107</pubmed></ref>より引用
文献<ref name=Ishihara2015><pubmed>25815107</pubmed></ref>より引用
 
== 関連項目 ==
* [[ステロイド]]
* [[核内受容体]]
 
== 参考文献 ==
== 参考文献 ==

ナビゲーション メニュー