「フォリスタチン」の版間の差分

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フォリスタチンのmRNAとタンパク質は、マウス、ラット、ヒトの多くの組織で発現が見られるが、卵巣、下垂体、腎臓での発現が高い。脳組織、神経系での内在性の発現は少ない。FSTN3(FLRG)のmRNAとタンパク質は、胎盤、骨髄、精巣、腎臓,骨格筋、肺での発現が高い。フォリスタチンは、アクチビン以外にGDF11を阻害する。GDF11は、嗅上皮 における神経新生に関与している。アンタゴニストであるフォリスタチンを欠損させたマウスは、神経新生の劇的な減少を示す <ref name=Wu2003><pubmed>12546816</pubmed></ref>。
フォリスタチンのmRNAとタンパク質は、マウス、ラット、ヒトの多くの組織で発現が見られるが、卵巣、下垂体、腎臓での発現が高い。脳組織、神経系での内在性の発現は少ない。FSTN3(FLRG)のmRNAとタンパク質は、胎盤、骨髄、精巣、腎臓,骨格筋、肺での発現が高い。フォリスタチンは、アクチビン以外にGDF11を阻害する。GDF11は、嗅上皮 における神経新生に関与している。アンタゴニストであるフォリスタチンを欠損させたマウスは、神経新生の劇的な減少を示す <ref name=Wu2003><pubmed>12546816</pubmed></ref>。


[[ファイル:Tsuchida Follistatin Fig4.png|サムネイル|図4. アクチビンのシグナル伝達の概要]]
== 機能 ==
== 機能 ==
 フォリスタチンは細胞外でアクチビンA, B, ABと高親和性で結合しその作用を抑制する(図4)。このことからアクチビンの作用を研究するための阻害分子として用いられることが多く有用である。上述のように、フォリスタチンは、アクチビンとモル比2:1で高親和性で結合し強く阻害する。アクチビンとの親和性と阻害活性は相関する。FS288の場合は,ヘパラン硫酸を介して細胞表層のプロテオグリカンに親和性があり、結合したアクチビンを細胞内にエンドサイトーシスの機構で取り込み分解する作用を有する<ref name=Hashimoto1997><pubmed>9153241</pubmed></ref>。FS315にはその作用はない。
 フォリスタチンは細胞外でアクチビンA, B, ABと高親和性で結合しその作用を抑制する(図4)。このことからアクチビンの作用を研究するための阻害分子として用いられることが多く有用である。上述のように、フォリスタチンは、アクチビンとモル比2:1で高親和性で結合し強く阻害する。アクチビンとの親和性と阻害活性は相関する。FS288の場合は,ヘパラン硫酸を介して細胞表層のプロテオグリカンに親和性があり、結合したアクチビンを細胞内にエンドサイトーシスの機構で取り込み分解する作用を有する<ref name=Hashimoto1997><pubmed>9153241</pubmed></ref>。FS315にはその作用はない。