「フォリスタチン」の版間の差分

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 TGF-βファミリーに結合するフォリスタチンのファミリー分子としては、FSTL3(FLRG)が知られている。FSTL3は263個のアミノ酸からなるペプチドホルモンで、FSTL3はフォリスタチンと異なり、N末端ドメイン(FSN)と2つのFSドメイン (FSD1, FSD2)しか待たない(図1)。TGF-βファミリーとの結合特性はフォリスタチンと類似している <ref name=Tsuchida2000><pubmed>11010968</pubmed></ref> <ref name=Sidis2006><pubmed>16627583</pubmed></ref><ref name=Tsuchida2001><pubmed>11451568</pubmed></ref>。FSTL3の場合は、FSNでI型受容体結合部位をふさぎ、FSD1, FSD2でII型受容体との結合を阻害する。なお、FSTL3のFSD2のみでアクチビンに結合でき、アクチビンを精製することが可能である <ref name=Tsuchida2000><pubmed>11010968</pubmed></ref> <ref name=Arai2006><pubmed>16737827</pubmed></ref>。FSTN3のFSNはマイオスタチンとの結合に関与しリガンドの特異性に寄与する {Cash, 2012 #161}。質量分析解析によりFSTN3は血液中でマイオスタチンと結合することが報告されている <ref name=Hill2002><pubmed>12194980</pubmed></ref>。アクチビンやマイオスタチンがフォリスタチン、FSTN3から遊離する機構は不明点が多いがプロテアーゼであるトロイド(Tolloid)の関与が報告されている <ref name=Walker2018><pubmed>29348202</pubmed></ref>。フォリスタチンとFSTL3以外にもFSドメインを持つ分子は存在するがアクチビン結合活性は詳しく検証されていない。
 TGF-βファミリーに結合するフォリスタチンのファミリー分子としては、FSTL3(FLRG)が知られている。FSTL3は263個のアミノ酸からなるペプチドホルモンで、FSTL3はフォリスタチンと異なり、N末端ドメイン(FSN)と2つのFSドメイン (FSD1, FSD2)しか待たない(図1)。TGF-βファミリーとの結合特性はフォリスタチンと類似している <ref name=Tsuchida2000><pubmed>11010968</pubmed></ref> <ref name=Sidis2006><pubmed>16627583</pubmed></ref><ref name=Tsuchida2001><pubmed>11451568</pubmed></ref>。FSTL3の場合は、FSNでI型受容体結合部位をふさぎ、FSD1, FSD2でII型受容体との結合を阻害する。なお、FSTL3のFSD2のみでアクチビンに結合でき、アクチビンを精製することが可能である <ref name=Tsuchida2000><pubmed>11010968</pubmed></ref> <ref name=Arai2006><pubmed>16737827</pubmed></ref>。FSTN3のFSNはマイオスタチンとの結合に関与しリガンドの特異性に寄与する {Cash, 2012 #161}。質量分析解析によりFSTN3は血液中でマイオスタチンと結合することが報告されている <ref name=Hill2002><pubmed>12194980</pubmed></ref>。アクチビンやマイオスタチンがフォリスタチン、FSTN3から遊離する機構は不明点が多いがプロテアーゼであるトロイド(Tolloid)の関与が報告されている <ref name=Walker2018><pubmed>29348202</pubmed></ref>。フォリスタチンとFSTL3以外にもFSドメインを持つ分子は存在するがアクチビン結合活性は詳しく検証されていない。


 立体構造の解析も進んでおり、PDBデータベースで確認することができる。
 立体構造の解析も進んでおり、PDBデータベースで確認することができる'''(表)'''。
 
{| class="wikitable"
|+表. フォリスタチンの立体構造
! 構造 !! PDB !! 参考文献
|-
| フォリスタチンとアクチビンの複合体 || 2B0U, 2ARP, 2P6A || <ref name=Thompson2005><pubmed>16198295</pubmed></ref> <ref name=Lin2006><pubmed>16885528</pubmed></ref> <ref name=Lerch2007><pubmed>17409095</pubmed></ref>
|-
| FSTL3(FLRG)とアクチビンの複合体 || 3B4V || <ref name=Stamler2008><pubmed>18768470</pubmed></ref>
|-
| フォリスタチンとマイオスタチンの複合体 || 3HH2 || <ref name=Cash2009><pubmed>19644449</pubmed></ref>
|-
| FSTL3 (FLRG)とマイオスタチンの複合体  || 3SEK || <ref name=Cash2012><pubmed>22052913</pubmed></ref>
|}
 
フォリスタチンとアクチビンの複合体 2B0U, 2ARP, 2P6A
フォリスタチンとアクチビンの複合体 2B0U, 2ARP, 2P6A
<ref name=Thompson2005><pubmed>16198295</pubmed></ref> <ref name=Lin2006><pubmed>16885528</pubmed></ref> <ref name=Lerch2007><pubmed>17409095</pubmed></ref>(図2、3)
<ref name=Thompson2005><pubmed>16198295</pubmed></ref> <ref name=Lin2006><pubmed>16885528</pubmed></ref> <ref name=Lerch2007><pubmed>17409095</pubmed></ref>(図2、3)
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<ref name=Cash2009><pubmed>19644449</pubmed></ref>
<ref name=Cash2009><pubmed>19644449</pubmed></ref>
FSTL3 (FLRG)とマイオスタチンの複合体 3SEK
FSTL3 (FLRG)とマイオスタチンの複合体 3SEK
{Cash, 2012 #315}
<ref name=Cash2012><pubmed>22052913</pubmed></ref>


== 発現 ==
== 発現 ==