16,040
回編集
細 (→分布) |
細編集の要約なし |
||
2行目: | 2行目: | ||
ニューレグリンとは 上皮成長因子(Epidermal Growth Factor;EGF)様の活性ドメインを有する蛋白質で、細胞の増殖、成長、分化に影響を発揮する。 | ニューレグリンとは 上皮成長因子(Epidermal Growth Factor;EGF)様の活性ドメインを有する蛋白質で、細胞の増殖、成長、分化に影響を発揮する。 | ||
== サブタイプ == | |||
最初に見つけられた分子、ニューレグリン1(NRG1)は、その歴史的経緯の違いから、neu differentiation factor (NDF), heregulin (Her), glia growth factor (GGF), ARIA (acetylcholine receptor inducing activity)などの別称を有する。 現在、NRGファミリーはNRG1-4に加えて、Tomoregulin-2 (TEFF2)やChondroitin sulfate proteoglycan 5 (CSPG5)も同様の活性型EGF様ドメインを持つことから、それぞれNRG5, NRG6とも呼ばれる。 | |||
== 分布 == | == 分布 == | ||
(産生細胞は何か、どの組織に多いか判っておりましたら御記述下さい) | |||
== 生合成 == | == 生合成 == | ||
通常、膜結合型の大きな[[前駆体分子]]として合成され、[[細胞膜]] | 通常、膜結合型の大きな[[前駆体分子]]として合成され、[[細胞膜]]表面にアンカーされている。[[神経伝達]]や細胞損傷、細胞ストレスなどの刺激に反応して、細胞は[[ADAM]]などの膜結合型[[メタロプロテアーゼ]]が活性化し、NRG前駆体の細胞外ドメインを切断(シェデイング)して、その活性ドメインを放出する。多くの場合、このシェデイングが活性発揮の律速となっている。<br> | ||
<br> | |||
== 構造 == | == 構造 == | ||
17行目: | 19行目: | ||
その活性中心部は、約50-60アミノ酸からなる構造を呈し、6つの[[システイン]]が3つの[[ジスルフィド結合]]し、2つの[[ベータシート]]構造を形成している。 | その活性中心部は、約50-60アミノ酸からなる構造を呈し、6つの[[システイン]]が3つの[[ジスルフィド結合]]し、2つの[[ベータシート]]構造を形成している。 | ||
<br> | |||
== 受容体 == | == 受容体 == | ||
これらのNRG分子は、[[上皮成長因子受容体]] | これらのNRG分子は、[[上皮成長因子受容体]]ファミリー分子(ErbB1-4)に、おのおの異なる親和性で結合する。ErbB1-4は共通した構造をもち、細胞外領域(リガンド結合部、2量体結合部)、細胞膜貫通領域、細胞内領域([[チロシンキナーゼ]]酵素部)からなる。細胞外領域にリガンドが結合すると、受容体の酵素部が活性化するとともに、相互アフィニテイーが上がり、2量体を形成しやすくなる。通常、2量体を形成すると、相手側のErbB分子の細胞内領域を[[リン酸化]]する。表1にあるようにErbB分子は、多くの組み合わせで2量体を形成するが、ホモ2量体でない限り、リガンド結合ErbB分子とシグナル伝達ErbB分子は、異なるかもしれないことに注意しなくてはならない。 | ||
<br> | <br> | ||
49行目: | 49行目: | ||
|- | |- | ||
| | | | ||
ErbB1<br> | |||
(Her1)<br> | (Her1)<br> | ||
56行目: | 56行目: | ||
EGF | EGF | ||
TGFα<br> | |||
HB-EGF<br> | HB-EGF<br> | ||
74行目: | 74行目: | ||
| | | | ||
PLCγ | |||
Cb1<br> | Cb1<br> | ||
187行目: | 187行目: | ||
STAT5A | STAT5A | ||
PSD-95<br> | |||
ICD<br> | ICD<br> | ||
211行目: | 211行目: | ||
== 生理活性 == | == 生理活性 == | ||
ErbB3とErbB2はおもに[[オリゴデンドロサイト]]に発現していて、その前駆細胞の増殖と分化に関与していることが知られている。オリゴデンドロサイトや[[シュワン細胞]]、その[[ミエリン]]形成の研究から、[[細胞間接着分子]]のように、神経細胞の[[形質膜]]上に存在する非可溶性のNRGが、グリア細胞膜上のErbB3と相互作用をしている可能性も示唆されている。 | |||
ErbB4分子は、おもに[[小脳]]プルキンエ細胞をふくむ[[GABA]]神経細胞に多量に発現しているとともに、[[視床下部]][[アストロサイト]]や[[錐体細胞]]にも発現が確認される。 | |||
<br> | <br> | ||
<br> 文献 1)Mei L and Xiong WC: Nat Rev Neurosci 9 : 437-452, 2008. 2)Bublil EM and, Yarden Y: Curr Opin Cell Biol 19 : 124-134, 2007。 3)Higashiyama S, et al: Cancer Sci 99 : 214-220, 2008. | <br> 文献 1)Mei L and Xiong WC: Nat Rev Neurosci 9 : 437-452, 2008. 2)Bublil EM and, Yarden Y: Curr Opin Cell Biol 19 : 124-134, 2007。 3)Higashiyama S, et al: Cancer Sci 99 : 214-220, 2008. |