46
回編集
Hmorishita (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Hmorishita (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
1行目: | 1行目: | ||
リソソーム(リソゾーム、ライソソーム、ライソゾーム、lysosome)は[[wikipedia:JA:真核生物|真核生物]]の[[wikipedia:JA:細胞小器官|細胞小器官]]の一つである。リソソームの内腔はpH5前後に[[wikipedia:JA:酸|酸性]]化されており、種々の[[wikipedia:JA:加水分解酵素|加水分解酵素]]を含む。リソソームは細胞内外成分の分解機能を担い、分解基質は[[エンドサイトーシス]]、[[オートファジー]]などの経路によってリソソームに輸送される。リソソームの機能異常は[[wikipedia:JA:遺伝子疾患|遺伝性疾患]]のリソソーム病を引き起こす。[[wikipedia:JA:植物|植物]]や[[wikipedia:JA:酵母|酵母]]などでは[[wikipedia:JA:液胞|液胞]](vacuole)がリソソームに相当する細胞小器官であると考えられている。 | リソソーム(リソゾーム、ライソソーム、ライソゾーム、lysosome)は[[wikipedia:JA:真核生物|真核生物]]の[[wikipedia:JA:細胞小器官|細胞小器官]]の一つである。リソソームの内腔はpH5前後に[[wikipedia:JA:酸|酸性]]化されており、種々の[[wikipedia:JA:加水分解酵素|加水分解酵素]]を含む。リソソームは細胞内外成分の分解機能を担い、分解基質は[[エンドサイトーシス]]、[[オートファジー]]などの経路によってリソソームに輸送される。リソソームの機能異常は[[wikipedia:JA:遺伝子疾患|遺伝性疾患]]のリソソーム病を引き起こす。[[wikipedia:JA:植物|植物]]や[[wikipedia:JA:酵母|酵母]]などでは[[wikipedia:JA:液胞|液胞]](vacuole)がリソソームに相当する細胞小器官であると考えられている。 | ||
リソソームは1955年に[[wikipedia:JA:クリスチャン・ド・デューブ|ド・デューブ(Christian de Duve)]]によって[[ | リソソームは1955年に[[wikipedia:JA:クリスチャン・ド・デューブ|ド・デューブ(Christian de Duve)]]によって[[wikipedia:JA:細胞分画|細胞分画]]法・[[wikipedia:JA:生化学|生化学]]的手法を用いて発見された<ref name="ref1"><pubmed> 13249955 </pubmed></ref>。ド・デューブはラット肝臓への[[wikipedia:JA:インスリン|インスリン]]の作用を解析する過程で、[[wikipedia:JA:肝細胞|肝細胞]]内の加水分解酵素を含む顆粒が膜に包まれていることを偶然発見し、それらの顆粒をギリシア語の”lyso”(分解する)+”soma”(小体)を語源としてlysosomeと名付けた。さらに[[wikipedia:JA:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]を用いてリソソームが実際に細胞小器官であることを1956年に報告した<ref name="ref2"><pubmed> 13357540 </pubmed></ref>。ド・デューブは「細胞の構造と機能に関する諸発見」によって[[wikipedia:JA:アルベルト・クラウデ|クラウデ(Albert Claude)]]、[[wikipedia:JA:ジョージ・エミール・パラーデ|パラーデ(George E. Palade)]]と共に1974年に[[wikipedia:JA:ノーベル生理学・医学賞|ノーベル医学生理学賞]]を受賞した。 | ||
[[Image:FigLysosome.jpg|thumb|500px|'''図 リソソームへの経路と機能'''<br>リソソームは細胞内外成分の分解機能を担い、エンドサイトーシス経路(ピノサイト―シス、ファゴサイトーシス)やオートファジー経路(マクロ、シャペロン介在性、ミクロ)から輸送されてきた基質を分解する。細胞外成分、EGF・EGF受容体、病原体などはエンドサイトーシス経路でリソソームへ輸送される。サイトゾル成分や細胞内小器官などはオートファジー経路でリソソームへ輸送される。リソソーム膜上にはV-ATPaseが存在し、内腔を酸性化する。リソソーム内には各種加水分解酵素が存在し、基質をアミノ酸、脂質、糖などにまで分解する。リソソームはエキソサイト―シスされることもある。リソソーム構成タンパク質の多くは、トランスゴルジ網から生合成経路を通り、後期エンドソームに運ばれた後、リソソームに到達する。膜タンパク質の一部は、構成性分泌経路で細胞膜に出た後、エンドサイトーシス経路でリソソームに到達する。]] | [[Image:FigLysosome.jpg|thumb|500px|'''図 リソソームへの経路と機能'''<br>リソソームは細胞内外成分の分解機能を担い、エンドサイトーシス経路(ピノサイト―シス、ファゴサイトーシス)やオートファジー経路(マクロ、シャペロン介在性、ミクロ)から輸送されてきた基質を分解する。細胞外成分、EGF・EGF受容体、病原体などはエンドサイトーシス経路でリソソームへ輸送される。サイトゾル成分や細胞内小器官などはオートファジー経路でリソソームへ輸送される。リソソーム膜上にはV-ATPaseが存在し、内腔を酸性化する。リソソーム内には各種加水分解酵素が存在し、基質をアミノ酸、脂質、糖などにまで分解する。リソソームはエキソサイト―シスされることもある。リソソーム構成タンパク質の多くは、トランスゴルジ網から生合成経路を通り、後期エンドソームに運ばれた後、リソソームに到達する。膜タンパク質の一部は、構成性分泌経路で細胞膜に出た後、エンドサイトーシス経路でリソソームに到達する。]] | ||
==種類と構造== | ==種類と構造== | ||
リソソームは6~10 nmの一重の[[wikipedia:JA:生体膜|生体膜]]に囲まれた直径0.1~1.2 μmの[[wikipedia:JA:細胞小器官|細胞小器官]]である。リソソームは極めて動的な存在であることから、様々な名称で分類されてきた。一次リソソーム(primary lysosome)は分解基質を含まないリソソームを指し、内部が均一な高電子密度顆粒である。[[エンドソーム]] | リソソームは6~10 nmの一重の[[wikipedia:JA:生体膜|生体膜]]に囲まれた直径0.1~1.2 μmの[[wikipedia:JA:細胞小器官|細胞小器官]]である。リソソームは極めて動的な存在であることから、様々な名称で分類されてきた。一次リソソーム(primary lysosome)は分解基質を含まないリソソームを指し、内部が均一な高電子密度顆粒である。[[エンドソーム]]、[[ファゴソーム]]、[[オートファゴソーム]]と融合し分解基質を含んだ一次リソソームは二次リソソーム(secondary lysosome)と呼ばれる。二次リソソームの大きさや形態は多様性に富んでおり、内部に基質由来の粒子、層板状構造を認めることが多い。二次リソソームはさらに基質の輸送経路に従ってファゴリソソーム(phagolysosome)、オートリソソーム(autolysosome)などとも呼ばれるが、両者は相互排他的ではないため明確に区別できない。またリソソームの生合成過程で出現する未成熟なリソソームはリソソーム前駆体(protolysosome)と呼ばれ、[[トランスゴルジ網]]から一次リソソームが新規合成される際や、二次リソソームからのリサイクルによって一次リソソームが再合成される際などに認められる<ref name="ref3"><pubmed> 20526321 </pubmed></ref>。未分解基質を多量に蓄積したリソソームは残余小体([[wikipedia:residual body|residual body]])と呼ばれ、老齢個体の肝細胞、[[wikipedia:JA:心筋|心筋]]細胞、[[wikipedia:JA:神経|神経]]細胞などで認める。残余小体は「消耗性色素」「[[wikipedia:JA:リポフスチン|リポフスチン]]顆粒」とも呼ばれ、しばしば自家[[蛍光]]を発する。 | ||
==構成タンパク質== | ==構成タンパク質== |
回編集