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電位依存性イオンチャネルの共通骨格は、S1-S6の6本の膜貫通ヘリックスから構成され、後半S5-S6をポアドメイン、前半S1-S4を電位センサードメインとして分類されている。S4には正電荷をおびた[[wikipedia:ja:アミノ酸|アミノ酸]]残基(主に[[wikipedia:ja:アルギニン|アルギニン]])が3残基おきに4-7個規則正しく存在し、S1、S2に存在する負電荷を帯びたアミノ酸残基と[[wikipedia:ja:塩橋|塩橋]]を構成することで、電位センサードメインのフォールディング<ref><pubmed> 16002581 </pubmed></ref>、膜へのトラフィッキングを維持している<ref><pubmed> 12556517 </pubmed></ref>。 | 電位依存性イオンチャネルの共通骨格は、S1-S6の6本の膜貫通ヘリックスから構成され、後半S5-S6をポアドメイン、前半S1-S4を電位センサードメインとして分類されている。S4には正電荷をおびた[[wikipedia:ja:アミノ酸|アミノ酸]]残基(主に[[wikipedia:ja:アルギニン|アルギニン]])が3残基おきに4-7個規則正しく存在し、S1、S2に存在する負電荷を帯びたアミノ酸残基と[[wikipedia:ja:塩橋|塩橋]]を構成することで、電位センサードメインのフォールディング<ref><pubmed> 16002581 </pubmed></ref>、膜へのトラフィッキングを維持している<ref><pubmed> 12556517 </pubmed></ref>。 | ||
S4の正電荷を帯びたアミノ酸残基は、膜電位変化を感知する中心的な役割を担っている。これら正電荷が膜電位変化に応答して細胞膜にかかる電場を横切って移動し、「ゲート電流」として観測される。実際には、これらの残基のうち細胞外側の4つが有効なゲーティングチャージ(~+4e)として働く事が知られている<ref><pubmed> 8562074 </pubmed></ref><ref><pubmed> 8663993 </pubmed></ref>。4リピート構造である通常の電位依存性イオンチャネルの場合は4つある電位センサーが作動して初めてチャネルが開口する仕組みを取っており、チャネルの[[開口確率]]は膜電位に対して急勾配の[[wikipedia:ja:ボルツマン関数|ボルツマン関数]](+12e~+13e)となっており、[[wikipedia:ja:半導体|半導体]]素子の電位依存性(+1e)と比較しても極めてシャープな電位依存性を有する。これは、神経細胞において膜電位の有効レンジの幅(-60~+40mV)が電子機器類よりも狭いにも関わらずON/OFFを明確に区別する機能素子を作り出す上で有効な仕組みである<ref><pubmed> 12721605 </pubmed></ref>。電位センサードメインが2量体化した構造で機能するタンパク質である[[電位依存性H+チャネル]]<ref><pubmed> 16556803 </pubmed></ref><ref><pubmed> 16554753 </pubmed></ref>は、開く際に2量体間で協調が起こり、電位依存性を増強している<ref><pubmed> 20023639 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22569364 </pubmed></ref>。電位センサーには細胞内外からくさび状に水が陥入し、実効膜電位は電位センサー中心部の疎水性バリアの部分に収束していることが想定されている<ref><pubmed> 9370423 </pubmed></ref><ref><pubmed> 15694325 </pubmed></ref>。このことも、最小限の構造変化で最大限の電荷の移動を生みだしている。 | S4の正電荷を帯びたアミノ酸残基は、膜電位変化を感知する中心的な役割を担っている。これら正電荷が膜電位変化に応答して細胞膜にかかる電場を横切って移動し、「ゲート電流」として観測される。実際には、これらの残基のうち細胞外側の4つが有効なゲーティングチャージ(~+4e)として働く事が知られている<ref><pubmed> 8562074 </pubmed></ref><ref><pubmed> 8663993 </pubmed></ref>。4リピート構造である通常の電位依存性イオンチャネルの場合は4つある電位センサーが作動して初めてチャネルが開口する仕組みを取っており、チャネルの[[開口確率]]は膜電位に対して急勾配の[[wikipedia:ja:ボルツマン関数|ボルツマン関数]](+12e~+13e)となっており、[[wikipedia:ja:半導体|半導体]]素子の電位依存性(+1e)と比較しても極めてシャープな電位依存性を有する。これは、神経細胞において膜電位の有効レンジの幅(-60~+40mV)が電子機器類よりも狭いにも関わらずON/OFFを明確に区別する機能素子を作り出す上で有効な仕組みである<ref><pubmed> 12721605 </pubmed></ref>。電位センサードメインが2量体化した構造で機能するタンパク質である[[電位依存性H+チャネル|電位依存性H<sup>+</sup>チャネル]]<ref><pubmed> 16556803 </pubmed></ref><ref><pubmed> 16554753 </pubmed></ref>は、開く際に2量体間で協調が起こり、電位依存性を増強している<ref><pubmed> 20023639 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22569364 </pubmed></ref>。電位センサーには細胞内外からくさび状に水が陥入し、実効膜電位は電位センサー中心部の疎水性バリアの部分に収束していることが想定されている<ref><pubmed> 9370423 </pubmed></ref><ref><pubmed> 15694325 </pubmed></ref>。このことも、最小限の構造変化で最大限の電荷の移動を生みだしている。 | ||
=== 電位センサーに作用する薬剤 === | === 電位センサーに作用する薬剤 === |