「細胞外プロテアーゼ」の版間の差分
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英:extracellular protease, extracellular proteinase | 英:extracellular protease, extracellular proteinase | ||
[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]、[[wikipedia:ja:ペプチド|ペプチド]]を形成する[[wikipedia:ja:ペプチド結合|ペプチド結合]]を切断する酵素をプロテアーゼ(protease)と総称する。プロテアーゼには細胞外作用型と細胞内作用型の2種類があり作用機序そのものは変わらないが、[[wikipedia:ja:シグナル配列|シグナル配列]]を持ち細胞外へ分泌されるかどうかによって機能は大きく異なる。ここでは細胞外作用型つまり細胞外プロテアーゼについて概説する。 | [[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]、[[wikipedia:ja:ペプチド|ペプチド]]を形成する[[wikipedia:ja:ペプチド結合|ペプチド結合]]を切断する酵素をプロテアーゼ(protease)と総称する。プロテアーゼには細胞外作用型と細胞内作用型の2種類があり作用機序そのものは変わらないが、[[wikipedia:ja:シグナル配列|シグナル配列]]を持ち細胞外へ分泌されるかどうかによって機能は大きく異なる。ここでは細胞外作用型つまり細胞外プロテアーゼについて概説する。 | ||
== 細胞外プロテアーゼとは == | == 細胞外プロテアーゼとは == | ||
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タンパク質、ペプチドを形成する基本的な結合(ペプチド結合)を切断する酵素をプロテアーゼ(protease)と総称する。プロテイネース(proteinase)と呼ぶこともありこちらの方が正式名称であるが、日本語でも英語でもプロテアーゼの方が一般的に使われている。ペプチド結合を切断するのでペプチデースと呼ぶこともある。たとえばプロテアーゼ活性を測定するため[[wikipedia:ja:オリゴペプチド|オリゴペプチド]]合成基質を用いて測定するとプロテアーゼ活性であっても、正確にはペプチデース活性と記載する。プロテアーゼには細胞外作用型と細胞内作用型の2種類があり作用機序そのものは変わらないが、シグナル配列を持ち細胞外へ分泌されるかどうかによって機能は大きく異なる。ここでは細胞外作用型つまり細胞外プロテアーゼについて概説する。切断されるタンパク質、もしくはペプチドはプロテアーゼによって抱え込まれ、その活性部位で切断される。 | タンパク質、ペプチドを形成する基本的な結合(ペプチド結合)を切断する酵素をプロテアーゼ(protease)と総称する。プロテイネース(proteinase)と呼ぶこともありこちらの方が正式名称であるが、日本語でも英語でもプロテアーゼの方が一般的に使われている。ペプチド結合を切断するのでペプチデースと呼ぶこともある。たとえばプロテアーゼ活性を測定するため[[wikipedia:ja:オリゴペプチド|オリゴペプチド]]合成基質を用いて測定するとプロテアーゼ活性であっても、正確にはペプチデース活性と記載する。プロテアーゼには細胞外作用型と細胞内作用型の2種類があり作用機序そのものは変わらないが、シグナル配列を持ち細胞外へ分泌されるかどうかによって機能は大きく異なる。ここでは細胞外作用型つまり細胞外プロテアーゼについて概説する。切断されるタンパク質、もしくはペプチドはプロテアーゼによって抱え込まれ、その活性部位で切断される。 | ||
プロテアーゼはいくつかのタイプに分類される。触媒部位を形成する[[wikipedia:ja:アミノ酸|アミノ酸]]による分類およびターゲットとなるタンパク質の基質特異性による分類である。前者ではプロテアーゼの結合サイトとハサミの部分を活性部位の特徴による分類がある。アミノ酸の[[wikipedia:ja:セリン|セリン]]を活性部位にもつものは[[細胞外プロテアーゼ#.E3.82.BB.E3.83.AA.E3.83.B3.E3.83.97.E3.83.AD.E3.83.86.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.BC|セリンプロテアーゼ]]と呼び、同様に、[[細胞外プロテアーゼ#.E3.82.A2.E3.82.B9.E3.83.91.E3.83.A9.E3.82.AE.E3.83.B3.E9.85.B8.E3.83.97.E3.83.AD.E3.83.86.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.BC|アスパラギン酸プロテアーゼ]]および[[細胞外プロテアーゼ#.E3.83.A1.E3.82.BF.E3.83.AD.E3.83.97.E3.83.AD.E3.83.86.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.BC|メタロ(金属)プロテアーゼ]]などがある。 | |||
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|+ | |+ 細胞外プロテアーゼの基質と機能発現をまとめた表 | ||
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| style="text-align: center" | プロテアーゼ | | style="text-align: center" | プロテアーゼ | ||
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| [[Thrombin]] | | [[Thrombin]] | ||
| PAR | | PAR | ||
| | | 発達(development)、虚血、損傷、[[アルツハイマー病]] | ||
| 回復(低濃度)、神経変性、細胞死(高濃度) | | 回復(低濃度)、神経変性、細胞死(高濃度) | ||
|- | |- | ||
| [[ | | [[tPA]] | ||
| プラスミノーゲン、GluR1サブユニット、NR1 | | プラスミノーゲン、GluR1サブユニット、NR1 | ||
| 電気生理刺激、興奮毒性、抑制ストレス、運動学習、浸透ストレス | | 電気生理刺激、興奮毒性、抑制ストレス、運動学習、浸透ストレス | ||
| 47行目: | 40行目: | ||
|- | |- | ||
| [[Neuropsin]] | | [[Neuropsin]] | ||
| L1, EphB2, | | L1, EphB2, neuregulin1 | ||
| 神経活動、電気生理刺激、豊かな環境(enviromental enrichment)、ストレス | | 神経活動、電気生理刺激、豊かな環境(enviromental enrichment)、ストレス | ||
| E-LTP、[[ワーキングメモリー]]、情動記憶 | | E-LTP、[[ワーキングメモリー]]、情動記憶 | ||
| 56行目: | 49行目: | ||
| L-LTP、シナプス形成 | | L-LTP、シナプス形成 | ||
|- | |- | ||
| | | ADAM-10, 17 | ||
| アミロイドβ前駆体蛋白質 (APP)、[[Notch]]、[[Delta]] | | アミロイドβ前駆体蛋白質 (APP)、[[Notch]]、[[Delta]] | ||
| アルツハイマー病、多発性硬化症 | | アルツハイマー病、多発性硬化症 | ||
| 66行目: | 59行目: | ||
| 運動、ミエリン形成 | | 運動、ミエリン形成 | ||
|- | |- | ||
| | | ADAMTS-1, 8, 9, 15 | ||
| [[アグリカン]] | | [[アグリカン]] | ||
| アルツハイマー病(ADAMTS-1)、[[ダウン症]](ADAMTS-1)、[[脳虚血]](ADAMTS-1, 8, 9) | | アルツハイマー病(ADAMTS-1)、[[ダウン症]](ADAMTS-1)、[[脳虚血]](ADAMTS-1, 8, 9) | ||
| 79行目: | 72行目: | ||
| アミロイドβ前駆体蛋白質 (APP) | | アミロイドβ前駆体蛋白質 (APP) | ||
| アルツハイマー病 | | アルツハイマー病 | ||
| [[ | | [[老人班]] | ||
|} | |} | ||
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== セリンプロテアーゼ == | == セリンプロテアーゼ == | ||
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=== プラスミン === | === プラスミン === | ||
プラスミノーゲンはtPAによって切断されて幅広い特異性をもつプラスミン(plasmin)になる。このtPA-プラスミンカスケードは神経可塑性に関わっている。プラスミン活性はLTPのいくつかの形に重要であることが示されてきている。例えば、プラスミンの投与時に[[テタナス刺激]]を同時に行うとLTPが増強された。プラスミンによる[[ProBDNF]]から成熟[[BDNF]]への活性化はL-LTPの発現に重要であることが明らかとなっている。動物個体による行動研究から、[[側坐核]]へのプラスミンの微量注入の結果、[[モルヒネ]]依存性の[[ドーパミン]]放出が増強され、マウスの過剰運動など薬物依存の症状が見られた。ここでは、プラスミンによるprotease-activated receptor1(PAR1)の活性化を介することが示されている<ref name="ref1" /> 。 | |||
=== ニューロトリプシン === | === ニューロトリプシン === | ||
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=== BACE1 === | === BACE1 === | ||
アルツハイマー病の主原因である([[アミロイドベータ]] | アルツハイマー病の主原因である([[アミロイドベータ]])Aβ生産に関わるβ[[セクレターゼ]]として単離されてきた。Aβは膜貫通タンパク質であるamyloid precursor protein(APP)をβ-セクレターゼが細胞外の切断に関わり、γ‐セクレターゼが膜貫通領域の細胞質側で切断することから産生される。その結果、患者の[[老人班]]が形成されることになる。 | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
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<references /> | <references /> | ||
<br>(執筆者:鈴木春満 担当編集委員:河西春郎) | |||