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=== 放射状迷路 === | === 放射状迷路 === | ||
[[Image:Uekita fig3.jpg|thumb|right|250px|<b>図3.8方向放射状迷路</b><br />中央プラットフォームから出発させ、走路の先端のカップに報酬を獲得させる。動物が隣回りに走路を選択することを防ぐために、プラットフォームと各走路の間に扉を設置することもある。]] 中央プラットホームから8本の走路が放射状に設置された高架式の迷路で、走路の先端に報酬がある(図3) | [[Image:Uekita fig3.jpg|thumb|right|250px|<b>図3.8方向放射状迷路</b><br />中央プラットフォームから出発させ、走路の先端のカップに報酬を獲得させる。動物が隣回りに走路を選択することを防ぐために、プラットフォームと各走路の間に扉を設置することもある。]] 中央プラットホームから8本の走路が放射状に設置された高架式の迷路で、走路の先端に報酬がある(図3)。もともと空間記憶を測定するために考案されたが、報酬の置き方により記憶の様々な側面を測定できる。また、項目数を増やすために12本や24本走路が使用されることもある。 | ||
==== 空間作業記憶課題 ==== | ==== 空間作業記憶課題 ==== | ||
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[[Image:Uekita fig4.jpg|thumb|right|250px|<b>図4.水迷路</b><br />プール中の1か所にある逃避台(点線円筒)まで泳ぐことを訓練する。丸、三角、四角は装置外刺激を示す。]] | [[Image:Uekita fig4.jpg|thumb|right|250px|<b>図4.水迷路</b><br />プール中の1か所にある逃避台(点線円筒)まで泳ぐことを訓練する。丸、三角、四角は装置外刺激を示す。]] | ||
空間学習を測定する課題として[[wikipedia:Richard G. Morris|Richard G. Morris]] (1981)<ref>'''R G M Morris'''<br>Spatial localisation does not depend on the presence of local cues.<br>''Learning and Motivation'':1981,12,239-260</ref> | 空間学習を測定する課題として[[wikipedia:Richard G. Morris|Richard G. Morris]] (1981)<ref>'''R G M Morris'''<br>Spatial localisation does not depend on the presence of local cues.<br>''Learning and Motivation'':1981,12,239-260</ref>によって考案された。水の入った大きな円形プールの中にある逃避台まで泳ぐことを訓練する課題である(図4)。ラットを使用する場合、水深は通常40cm程度であるが、後肢が底につく程度の浅い水深(12cm)でも同様に課題を行うことができる<ref><pubmed>12467123</pubmed></ref>。浅い水迷路は、水温、水質の管理が容易であることや、動物の不安を軽減できること、遊ぎ能力の衰えた老齢動物にも適用できるなどの利点がある。Morrisは水を乳白色に濁らすが、使用する動物が白色であれば、墨汁などで黒濁するほうが、動物の軌跡を追跡しやすい。 | ||
==== 場所課題 ==== | ==== 場所課題 ==== | ||
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[[Image:Uekita fig5.jpg|thumb|right|250px|<b>図5.バーンズ迷路</b><br />明るく照らされされた迷路におかれた動物は、決まった位置にある暗い穴へと逃げ込む。それ以外の穴はダミーで逃げ込むことができない。丸、三角、四角は装置外刺激を示す。]] | [[Image:Uekita fig5.jpg|thumb|right|250px|<b>図5.バーンズ迷路</b><br />明るく照らされされた迷路におかれた動物は、決まった位置にある暗い穴へと逃げ込む。それ以外の穴はダミーで逃げ込むことができない。丸、三角、四角は装置外刺激を示す。]] | ||
ラットやマウスが暗く囲われた場所を好み、明るく開けた場所を嫌う性質を利用した迷路課題である(図5)。円形のテーブルの外周に見かけの等しい18個の穴があり、そのうちの1つのみがトンネルとなっており、暗い場所へと逃避することができる。トンネルへと続く正しい穴の場所は、装置外刺激の空間的な関係性によって識別できる。テーブル中央の小さな円筒に動物を入れ、円筒を持ち上げて試行を開始する。訓練により、動物は逃避可能な穴に直線的に向かうようになる。逃避潜時や誤反応(逃避穴以外の穴をのぞいた回数)を学習測度として用いる。Morris水迷路と同様に訓練後に全ての穴を逃避できないようにしてプローブテストを行うことも可能である。この時、逃避穴のあった位置での滞在時間を学習の測度とする。 | |||
この他、バーンズ迷路を用いた[[wikipedia:ja:帰巣行動|帰巣行動]](homing)に関する研究も多い。ラットやマウスが巣穴を離れて餌を探索し、巣穴に餌を持ち帰る性質をもつ。正常な動物は目隠しをしても直線的な道筋で巣穴まで戻ってくるが、海馬損傷により帰巣方向が不正確になる<ref><pubmed>10560926</pubmed></ref>。この帰巣行動は経路統合に依存したものとみなされ、海馬において内的な運動手掛りを統合しながらルートをたどる処理が行われていると考えられている。 | この他、バーンズ迷路を用いた[[wikipedia:ja:帰巣行動|帰巣行動]](homing)に関する研究も多い。ラットやマウスが巣穴を離れて餌を探索し、巣穴に餌を持ち帰る性質をもつ。正常な動物は目隠しをしても直線的な道筋で巣穴まで戻ってくるが、海馬損傷により帰巣方向が不正確になる<ref><pubmed>10560926</pubmed></ref>。この帰巣行動は経路統合に依存したものとみなされ、海馬において内的な運動手掛りを統合しながらルートをたどる処理が行われていると考えられている。 |
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