「縫線核」の版間の差分

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==化学的特徴==
==化学的特徴==
 セロトニン細胞の大半が縫線核に存在し、特に背側縫線核の多くの細胞はセロトニン細胞である。核内の細胞に占めるセロトニン細胞の割合は報告にもよるが、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]の約30%, [[wikipedia:ja:ネコ|ネコ]]のmedium-sized neuronの70 %, ヒトでは70 %<ref name=ref11><pubmed>1720227</pubmed></ref>がセロトニン細胞であると報告されている。吻側核群のほうがこの割合は高い。その他GABA・ドパミン・[[wikipedia:ja:ノルアドレナリン|ノルアドレナリン]]、[[一酸化窒素]]・さまざまな[[ペプチド]]や[[アセチルコリン]]などを含む細胞がある。
 セロトニン細胞の大半が縫線核に存在し、特に背側縫線核の多くの細胞はセロトニン細胞である。核内の細胞に占めるセロトニン細胞の割合は報告にもよるが、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]の約30%, [[wikipedia:ja:ネコ|ネコ]]のmedium-sized neuronの70 %, ヒトでは70 %<ref name=ref11><pubmed>1720227</pubmed></ref>がセロトニン細胞であると報告されている。吻側核群のほうがこの割合は高い。その他GABA・ドーパミン・[[ノルアドレナリン]]、[[一酸化窒素]]・さまざまな[[神経ペプチド|ペプチド]]や[[アセチルコリン]]などを含む細胞がある。


 個々の縫線核細胞の化学的特性とその機能を明らかにするためには、細胞の発火パターンなどの電気生理学的な特性から細胞の化学的特性が推測できたら便利である。しかしこれまでのところ信頼できる電気生理学的な特性は特定されていない。例えば、活動電位の形状が幅広で、基底の発火頻度が低頻度(<3Hz)かつ発火パターンがメトロノームのように一定のものはセロトニン細胞であるとされたが、最近の研究結果では否定的である。例えば低頻度発火の縫線核細胞のうち半数はセロトニン細胞ではなく、高頻度発火の細胞のうち20%はセロトニン細胞であった<ref name=ref12><pubmed>14596860</pubmed></ref> <ref name=ref13><pubmed>16418294</pubmed></ref>。[[徐波睡眠]](slow-wave sleep)の際発火頻度が低下しないセロトニン細胞は22%にも及んだ<ref name=ref14><pubmed>16613874</pubmed></ref>。また、[[自己受容体]]である[[5-HT1A受容体]]はセロトニン細胞のみでなく非セロトニン細胞にも存在すること、5-HT1A作用薬に対する縫線核細胞の反応は一様でないことから<ref name=ref15><pubmed>7932189</pubmed></ref>、5-HT1A作用薬により発火が抑制される細胞はセロトニン細胞であるという薬理学的な同定も十分とはいえない<ref name=ref16><pubmed>12573710</pubmed></ref>。
 個々の縫線核細胞の化学的特性とその機能を明らかにするためには、細胞の発火パターンなどの電気生理学的な特性から細胞の化学的特性が推測できたら便利である。しかしこれまでのところ信頼できる電気生理学的な特性は特定されていない。例えば、活動電位の形状が幅広で、基底の発火頻度が低頻度(<3Hz)かつ発火パターンがメトロノームのように一定のものはセロトニン細胞であるとされたが、最近の研究結果では否定的である。例えば低頻度発火の縫線核細胞のうち半数はセロトニン細胞ではなく、高頻度発火の細胞のうち20%はセロトニン細胞であった<ref name=ref12><pubmed>14596860</pubmed></ref> <ref name=ref13><pubmed>16418294</pubmed></ref>。[[徐波睡眠]](slow-wave sleep)の際発火頻度が低下しないセロトニン細胞は22%にも及んだ<ref name=ref14><pubmed>16613874</pubmed></ref>。また、[[自己受容体]]である[[5-HT1A受容体|5-HT1<sub>A</sub>受容体]]はセロトニン細胞のみでなく非セロトニン細胞にも存在すること、5-HT1<sub>A</sub>作用薬に対する縫線核細胞の反応は一様でないことから<ref name=ref15><pubmed>7932189</pubmed></ref>、5-HT1<sub>A</sub>作用薬により発火が抑制される細胞はセロトニン細胞であるという薬理学的な同定も十分とはいえない<ref name=ref16><pubmed>12573710</pubmed></ref>。


 一方でセロトニン細胞の発火パターンの違いは機能の違いを反映している可能性がある。低頻度・regularな発火パターンを示すセロトニン細胞は海馬の[[θリズム]]との同期は認められないが、高頻度・バースト状の発火パターンを示すセロトニン細胞は海馬のθリズムと同期が認められ、記憶の形成などにかかわっている可能性がある<ref name=ref13 />。
 一方でセロトニン細胞の発火パターンの違いは機能の違いを反映している可能性がある。低頻度・regularな発火パターンを示すセロトニン細胞は海馬の[[θリズム]]との同期は認められないが、高頻度・バースト状の発火パターンを示すセロトニン細胞は海馬の[[θリズム]]と同期が認められ、記憶の形成などにかかわっている可能性がある<ref name=ref13 />。


==機能==
==機能==

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