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[[Kv7]](KCNQ)、[[Kv11]] (KCNH、eag/ergとも)、Kv2サブファミリーは脱分極による活性化のカイネティクスが遅いタイプのKvチャネルである。 活動電位持続時間の長い心筋細胞においては、[[Kv7.1]](KCNQ1)は[[MinK]](KCNE1)と、[[Kv11.1]] (KCNH、hERGとも)はMinK related protein1(MiRP)(KCNE2)と複合体を形成し、それぞれ''I''<sub>Ks</sub>、''I''<sub>Kr</sub>という遅延整流性カリウム電流の早い成分と遅い成分を担い、活動電位第三相で細胞を再分極させるために働いている。しかしながら心筋細胞に比べて活動電位持続時間が短い神経細胞においては、個々の活動電位中に活性化されるわけではない。LVA型のKv7(KCNQ)は深い膜電位でも活性化される一方で不活性化はあまり受けず、閾膜電位以下の膜電位でも持続的な外向き電流を流しており、細胞の興奮性の制御に関わっている(図5)。 | [[Kv7]](KCNQ)、[[Kv11]] (KCNH、eag/ergとも)、Kv2サブファミリーは脱分極による活性化のカイネティクスが遅いタイプのKvチャネルである。 活動電位持続時間の長い心筋細胞においては、[[Kv7.1]](KCNQ1)は[[MinK]](KCNE1)と、[[Kv11.1]] (KCNH、hERGとも)はMinK related protein1(MiRP)(KCNE2)と複合体を形成し、それぞれ''I''<sub>Ks</sub>、''I''<sub>Kr</sub>という遅延整流性カリウム電流の早い成分と遅い成分を担い、活動電位第三相で細胞を再分極させるために働いている。しかしながら心筋細胞に比べて活動電位持続時間が短い神経細胞においては、個々の活動電位中に活性化されるわけではない。LVA型のKv7(KCNQ)は深い膜電位でも活性化される一方で不活性化はあまり受けず、閾膜電位以下の膜電位でも持続的な外向き電流を流しており、細胞の興奮性の制御に関わっている(図5)。 | ||
[[アセチルコリン]]AChなどの神経活動制御因子は遅延整流性カリウム電流を抑制することで、閾膜電位付近の興奮性を高め、発火頻度やシナプス入力に対する応答性を制御する。[[ムスカリン性ACh受容体]]の活性化に共役したカリウム電流がよく研究されており、この電流はムスカリン muscarinから | [[アセチルコリン]]AChなどの神経活動制御因子は遅延整流性カリウム電流を抑制することで、閾膜電位付近の興奮性を高め、発火頻度やシナプス入力に対する応答性を制御する。[[ムスカリン性ACh受容体]]の活性化に共役したカリウム電流がよく研究されており、この電流はムスカリン muscarinから[[M電流]]と呼ばれている。神経系においては、主にKv7.2(KCNQ2)/Kv7.3(KCNQ3)から構成されているイオンチャネルがこの電流を担っていると考えられている。 | ||
このイオンチャネルの活性には[[細胞膜]]の内側に存在しているリン脂質PIP<sub>2</sub>との結合が必要であり、Gq共役型のGPCR、例えば[[M<sub>3</sub> ACh]]受容体の刺激はホスホリパーゼCを活性化し、膜のPIP<sub>2</sub>を減少させることでチャネルの活性を抑制すると考えられている。 | このイオンチャネルの活性には[[細胞膜]]の内側に存在しているリン脂質PIP<sub>2</sub>との結合が必要であり、Gq共役型のGPCR、例えば[[M<sub>3</sub> ACh]]受容体の刺激はホスホリパーゼCを活性化し、膜のPIP<sub>2</sub>を減少させることでチャネルの活性を抑制すると考えられている。 | ||
CA1錐体細胞の樹状突起から計測される持続性のカリウム電流は電気生理学的な特性や薬理学的な特性(4-アミノピリジン(4-AP)よりもTEA感受性が高い)からHVA型のKv2サブファミリーであると考えられている(図5)。この電流は活動電位の中の膜電位で活性化される。神経細胞の高頻度発火の際にはこの電流が活性化し活動電位間の膜電位を過分極させる。 | CA1錐体細胞の樹状突起から計測される持続性のカリウム電流は電気生理学的な特性や薬理学的な特性(4-アミノピリジン(4-AP)よりもTEA感受性が高い)からHVA型のKv2サブファミリーであると考えられている(図5)。この電流は活動電位の中の膜電位で活性化される。神経細胞の高頻度発火の際にはこの電流が活性化し活動電位間の膜電位を過分極させる。 | ||
=== カルシウム活性化カリウムチャネル === | === カルシウム活性化カリウムチャネル === |