16,040
回編集
編集の要約なし |
細編集の要約なし |
||
8行目: | 8行目: | ||
英:psychosomatic disorders、独:Psychosomatische Unordnungen、仏:désordres du psychotomatic | 英:psychosomatic disorders、独:Psychosomatische Unordnungen、仏:désordres du psychotomatic | ||
{{box|text= | {{box|text= 心身症とは、「身体症状・身体疾患において、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的・機能的障害が認められる病態」である。身体症状・疾患などの身体面だけではなく、その背景にある心理社会的な側面や、脳(こころ)と身体の相互作用(心身相関)をベースにして、心-身を統合的に考察する全人的医学である[[心身医学]]を基礎とする。[[ストレス]]や[[情動]]に関する理論、[[アレキシサイミア]]や[[アレキソミア]]などの心理・性格的要因などが病態仮説のなかで取り上げられてきた。そのような様々な要因によって引き起こされる心理社会的ストレスは、[[自律神経系]]・[[wj:ホルモン|ホルモン]]系(HPA axis)、[[wj:免疫|免疫]]系などを介して身体症状に結びつくと同時に、身体状態もまた認知や情動などのこころ(脳)の状態に影響を与え、その相互作用(心身相関)によって、bio-psycho-socialの各レベルで心身症の病態が成立すると考えられている。}} | ||
==心身症とは== | ==心身症とは== | ||
心身症(psychosomatic disorder)とは、「身体症状・身体疾患において、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的・機能的障害が認められる病態」である<ref>''' | 心身症(psychosomatic disorder)とは、「身体症状・身体疾患において、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的・機能的障害が認められる病態」である<ref>'''日本心身医学会教育研修委員会編'''<br>心身医学の新しい診療指針<br>''心身医学, 1991. 31: p. 537-576'':1991</ref>。心身症は独立した疾患単位ではなく、病態名であり、特定の疾患、特定の診療科にしばられるものではない。この心身症の枠組みに入る疾患としては、表1[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_1.png|thumb|300px|'''表1.心身症の病態を考えることのできる疾患'''<br>]]<ref>'''日本線維筋痛症学会「線維筋痛症診療ガイドライン」作成委員会'''<br>線維筋痛症診療ガイドライン2013<br>''日本医事新報社'':2013</ref>にあげられるようなものがあり、病名を記載するに当たっては、例えば高血圧(心身症),十二指腸潰瘍(心身症),気管支喘息(心身症)と記載される。多軸評定を用いる[[DSM-IV-TR]]においては、心身症は第1軸にpsychological factors affecting medical condition (身体疾患に影響を与えている心理的要因)を、第3軸には身体疾患や身体症状を記載することになっており、身体疾患に影響を与える心理的要因について詳細に述べられている(表2)[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_2.png|thumb|300px|'''表2.心身症に相当する DSM-IV-TR の記載'''<br>]]。[[ICD-10]]では、F5 (”behavioural syndromes associated with physiological disturbances and physical factors 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群)”の中に、[[摂食障害]](F50)、[[wj:性機能不全|性機能不全]](F52)、他に分類される障害あるいは疾患に関連した心理的および行動的要因(F54)などであり、F54の例として、[[wj:喘息、[[wj:皮膚炎|皮膚炎]]と[[wj:湿疹|湿疹]]、[[wj:胃潰瘍|胃潰瘍]]、[[wj:粘液性大腸炎|粘液性大腸炎]]、[[wj:潰瘍性大腸炎|潰瘍性大腸炎、[[wj:じんましん|じんましん]]などがあげられているが、もちろんこの操作的定義にしばられるものではない。 | ||
心身症について、日本心身医学会による定義(1991年)では、冒頭の定義に加え、「[[神経症]]や[[うつ病]]など他の[[精神障害]]にともなう身体症状は除外する。」という文章があるが、実際の臨床では[[神経症]]・[[うつ]]・[[不安障害]]・[[人格障害]]などの精神障害が、身体症状の背景にある例は極めて多く、これを除くのは一般臨床では非現実的で、批判も多い。この「他の精神障害に伴う身体症状を除外」したものは極めて狭義の心身症であり、現実的な心身症は、冒頭の定義にあるように、心理社会的な問題を背景にして出現する身体症状として広くとらえられている。特定のカテゴリ化した診断名をそこに当てはめるのは誤りである。 | |||
心身症の病態は多様で、例えば心理社会的ストレスは、身体症状を引き起こし増悪させる一因となる一方で、身体症状そのものも社会的不適合などの心理社会的ストレスを引き起こし、心理社会的ストレスと身体症状は相互に影響し合って、悪循環を形成することが多い。治療コンプライアンスにおける問題も、心身症の枠組みでとらえられる。例えば、治療に対する失望やあきらめ、医療に対する不信、知識の不足、性格傾向などから、適切な服薬や治療を拒むことによって身体症状を悪化させているのもその一例である。[[精神腫瘍学]](psycho-onchology)という領域も存在し、[[wj:悪性腫瘍|がん]]が精神・心理的影響を与えることはもちろん、心の問題ががんの発症や罹患後に与える影響も研究されている。 | |||
==心身医学について== | ==心身医学について== | ||
心身症に関連した概念として、[[心身医学]](psychosomatic medicine)がある。心身医学は、身体症状・疾患などの身体面だけではなく、その背景にある心理社会的な側面や、脳(こころ)と身体の相互作用(心身相関)をベースにして、心-身を統合的に考察する全人的医学で、[[wj:デカルト|デカルト]]流の精神・身体を明確に区別した二元論的アプローチとは相反するものである。医療としての実践においては、本邦では心療内科、精神科、一般内科をはじめとする幅広い診療科において[[取り入れ]]られている。世界的にはドイツで誕生し、その後アメリカでは精神科を中心に発展した。 | |||
この心身医学の背景には、[[wj:Freud|Freud]]による精神分析理論・力動的精神医学などの、複雑で微妙な人間の心理・行動をひもとく学問、[[wj:ウォルター・B・キャノン|Cannon]]の[[緊急反応]]や[[ホメオスターシス]]の概念、[[wj:ハンス・セリエ|Selye]]のストレス学説、[[wj:イワン・パブロフ|Pavlov]]の条件反射学、[[wj:バラス・スキナー|Skinner]]の[[オペラント条件付け]]といった、脳・精神生理学、学習理論、精神神経内分泌、精神神経免疫などの、こころと身体に関する幅広い学問の統合がある。その上で、この心身医学の勃興の最終的な動機となったのは、現代の医学の専門化・細分化である。専門的に細分化された身体医学は、今日の医学の発展と患者への恩恵をもたらした反面で、身体偏重・臓器中心などの考え方に偏り、「病気をみて人を診ない」という医学・医療のありかたへの反省をもたらした。そのことから、心身両面からの全人的・統合的医療の必要性が唱えられるようになった。さらに、現代のストレス社会において、人々が受ける心理社会的ストレスは日々増大しており、それに伴ったストレス関連疾患や心身症が国民的な問題になってきた、という背景もある。 | |||
==機序== | ==機序== | ||
28行目: | 28行目: | ||
===ストレス=== | ===ストレス=== | ||
ストレス研究の歴史で最も大きな意味を持つのは、Selyeのストレス学説<ref>''' Selye, H '''<br> A syndrome produced by diverse nocuous agents.<br>'' Nature, 1936. 138: p. 32'':1936</ref> <ref><pubmed> 9722327 </pubmed></ref> | ストレス研究の歴史で最も大きな意味を持つのは、Selyeのストレス学説<ref>''' Selye, H '''<br> A syndrome produced by diverse nocuous agents.<br>'' Nature, 1936. 138: p. 32'':1936</ref> <ref><pubmed> 9722327 </pubmed></ref>である。Selyeは、ストレスによって起こる生体の非特異的な生体防御反応としての「[[一般適応症候群]]」を提唱し、ストレス後のステージとして、段階的に警告反応期(ショック相、反ショック相)、抵抗期、症憊期と進行し、[[wj:副腎皮質|副腎皮質]]の肥大、[[wj:胸腺|胸腺]]萎縮、[[wj:胃・十二指腸潰瘍|胃・十二指腸潰瘍]]の3つの症状が起こるとした。ここで重要なのは、物理的・科学的・生物学的ストレッサーと同様に、心理的ストレッサーも同じような反応が起きるということを提唱したことである。 | ||
心理社会的ストレスの研究として有名なものとして、Holmes and Raheによるライフイベントによるストレスモデルがある。彼らはストレスを「日常生活上の様々な変化(ライフイベント)に再適応するために必要な努力」と定義して、その努力によってエネルギーが費やされ蓄積し、個人の対応能力を超えた際に疾患が生じると考え、表のような尺度を作成した(表3)[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_3.png|thumb|300px|'''表3.社会的再適応評価尺度'''<br>]] <ref><pubmed> 6059863 </pubmed></ref><ref><pubmed> 6059865 </pubmed></ref>。対してLazarus <ref>''' Lazarus, R. S. '''<br> Psychological stress and the coping process.<br>'' McGraw-Hill, New York'':1966</ref>は、「日常生活の些事により、常に長期間繰り返され、かつ意識されないうちに経験されるストレス」の重要性を強調した(表4)。[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_4.png|thumb|300px|'''表4.Daily Hassles (日常いらだちごと)'''<br>]]重大なライフイベントであれ日常のいらだちの蓄積であれ、彼らが提言したことは、人間であれば誰もが遭遇する可能性のある出来事が、[[ストレス反応]]を引き起こし、心身症につながる可能性があるということである。また、突発的な急性のストレス反応でも、それが繰り返され蓄積し慢性化することにより、その身体症状が遷延化することにつながる。もちろん、大きなストレス反応であれば、一回の急性のストレス反応が重大な心身の問題を引き起こすことになる。 | 心理社会的ストレスの研究として有名なものとして、Holmes and Raheによるライフイベントによるストレスモデルがある。彼らはストレスを「日常生活上の様々な変化(ライフイベント)に再適応するために必要な努力」と定義して、その努力によってエネルギーが費やされ蓄積し、個人の対応能力を超えた際に疾患が生じると考え、表のような尺度を作成した(表3)[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_3.png|thumb|300px|'''表3.社会的再適応評価尺度'''<br>]] <ref><pubmed> 6059863 </pubmed></ref><ref><pubmed> 6059865 </pubmed></ref>。対してLazarus <ref>''' Lazarus, R. S. '''<br> Psychological stress and the coping process.<br>'' McGraw-Hill, New York'':1966</ref>は、「日常生活の些事により、常に長期間繰り返され、かつ意識されないうちに経験されるストレス」の重要性を強調した(表4)。[[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_4.png|thumb|300px|'''表4.Daily Hassles (日常いらだちごと)'''<br>]]重大なライフイベントであれ日常のいらだちの蓄積であれ、彼らが提言したことは、人間であれば誰もが遭遇する可能性のある出来事が、[[ストレス反応]]を引き起こし、心身症につながる可能性があるということである。また、突発的な急性のストレス反応でも、それが繰り返され蓄積し慢性化することにより、その身体症状が遷延化することにつながる。もちろん、大きなストレス反応であれば、一回の急性のストレス反応が重大な心身の問題を引き起こすことになる。 | ||
35行目: | 35行目: | ||
===情動=== | ===情動=== | ||
心理社会的ストレスの中で、最も重要であると考えられるのが情動ストレスである。ヒトのみでなく[[wj:ネズミ|ネズミ]]の実験でも、この心理・情動ストレスを用いることができ、例えば[[恐怖条件付け]]や[[コミュニケーションボックス]](隣の[[マウス]]が電撃ストレスを受けているのを観察する)などの手法は心理的なストレスの代表的なものである。こうした実験的な心理・情動ストレスでは、[[扁桃体]]や[[視床下部]]などを中心とした情動ネットワークが関わっている。 | |||
===心身症の背景となる心理・性格的要因=== | ===心身症の背景となる心理・性格的要因=== | ||
==== | ====アレキシサイミア==== | ||
alexithymia | |||
心身症に特徴的な傾向として、身体症状を呈しやすい傾向がある代わりに、自己の情動・感情を同定し言語化することができず、感情表現がフラットで共感性に欠け、自己の内面に焦点が向かず外界の事物事象へ注意が向きがちで、他人との生き生きとした社会的なつながりに欠けるということが指摘されている。これをアレキシサイミア(失感情<ref>''' Sifneos, P. E. '''<br> Clinical observations on some patients suffering from a variety of psychosomatic diseases.<br>'' Acta Medicina Psychosomatica. 21: p. 133-136'': 1967</ref>)という。臨床的には[[アスペルガー症候群|アスペルガー]]などの[[自閉性障害|自閉症スペクトラム]]との類似性があることから、自己の感情の認識の問題のみならず、社会性の問題も指摘されている<ref><pubmed> 15514424 </pubmed></ref><ref><pubmed> 16755385 </pubmed></ref><ref><pubmed> 16798016 </pubmed></ref><ref><pubmed> 17150987</pubmed></ref>。「もの言わぬは、腹ふくるる業なり」との名言があるが、アレキシサイミアが心身症に特徴的な心理・性格的要因であることに対する一つの仮説は、感情同定・表現(自己の情動・感情状態への「気づき」)がストレスの解消作用や、ストレスの身体化を防ぐ作用を持っているのではないかということである<ref>''' Taylor, G.J., R.M. Bagby, and J.D.A. Parker '''<br> Disorders of affect regulation: Alexithymia in medical and psychiatric illness. <br>'' New York: Cambridge University Press.'': 1999</ref>。 | |||
==== | ====アレキソミア==== | ||
複数の大規模コホート研究により、虚血性心疾患に関係する心理行動的要因として、タイプA行動様式が独立した危険因子であることが明らかになった<ref><pubmed> 3336396 </pubmed></ref> | alexisomia | ||
心身症に特徴的な傾向として、上記のアレキシサイミアは自己の感情の同定・表出やカテゴリ化などの障害であるが、より低次の情動・あるいは身体状態への[[気づき]]の障害をアレキソミア(失体感<ref><pubmed> 3547451 </pubmed></ref>)という。外的な刺激の[[知覚]]以外に、生体は、[[wj:内臓|内臓]]や[[自律神経系]]、[[wj:液性因子|液性因子]]などの身体内部状態に関する情報を脳で知覚しており([[内受容感覚]]Interoception)、この内受容感覚への気づき(Interoceptive awareness)は自己の情動状態および感情(や意識)の生成の基礎を構築しているとされる<ref>''' James, W. '''<br> What is an Emotion? <br>'' Mind. 9: p. 188-205.'': 1884</ref>。この内受容感覚の気づきに関しては、脳科学的には前島皮質の役割がクローズアップされている<ref name=ref16><pubmed> 12154366 </pubmed></ref><ref name=ref17><pubmed> 19096369 </pubmed></ref>。この内受容感覚の障害・アレキソミアは、ありのままの情動・感情体験を阻害し、アレキシサイミアにつながると同時に、心身症の背景因子の一つとして考えられている<ref><pubmed> 23537323 </pubmed></ref>。また、もう一つの機序は、身体内部状態への気づきが悪いことで、たとえば身体状態の変化を危険信号として捉えられず、適切な対処(例:休息をとったり医療機関を受診したり)を行わないことで疾病の発症・増悪を招くといったプロセスも考えられる。 | |||
====タイプA性格行動パターン==== | |||
複数の大規模コホート研究により、虚血性心疾患に関係する心理行動的要因として、タイプA行動様式が独立した危険因子であることが明らかになった<ref><pubmed> 13630753 </pubmed></ref><ref><pubmed> 3336396 </pubmed></ref>。タイプAの特徴は、 | |||
#攻撃的 | |||
#野心的 | |||
#競争心をあおる#いつも時間に追い立てられている | |||
といったものである。遺伝性の要因はなく、仕事面での出世や昇給などの報酬により後天的に強化された行動様式であると考えられている。こうしたタイプA行動は、[[交感神経機能]]の亢進、[[副交感神経|副交感]]の低下が積み重なり、脂質代謝異常、心拍数・血圧上昇、心筋酸素消費量の増加、血液凝固能上昇、血管れん縮などのリスクが高まり、虚血性心疾患の発症につながると考えられる。なお、「タイプB」とは、タイプAの対極として設定されたもので、感情を素直に表現でき、リラックスしてうまく付き合える性格である。 | |||
====タイプC <ref><pubmed> 18346864 </pubmed></ref>==== | ====タイプC <ref><pubmed> 18346864 </pubmed></ref>==== | ||
Temoshok <ref><pubmed> 4009515 </pubmed></ref> | Temoshok <ref><pubmed> 4009515 </pubmed></ref>は、[[wj:メラノーマ|メラノーマ]]([[wj:|悪性黒色腫]])患者を150人以上面接し、彼らの4分の3に共通の性格的特徴を抽出した。それによると、怒り(や他のネガティブな感情、不安、恐れ、悲しみなど)の感情に気づかず表出しない、仕事や人づきあい、家族関係において、忍耐強く、控えめで、協力的で譲歩を厭わない。権威に対し従順で、他人の要求を満たそうと気をつかいすぎ、自分の要求は十分に満たそうとせず、極端に自己犠牲的になることが多い。いわゆる「いい人」タイプである。素直な感情を心の奥で[[抑圧]]しているために、ストレスがたまり、それが免疫防衛機能に影響し、ガンへのリスクを高めると考えられている。ただし、このメラノーマやがんに真に「特異的な」性格傾向かどうかは不明である。 | ||
===脳と身体をつなぐルート=== | ===脳と身体をつなぐルート=== | ||
心理社会的ストレスが脳を首座として形成されるとすると、そのストレス状態が何らかの形で身体状態に反映されることになるが、その経路としては、主に[[自律神経系]]と[[wj:ホルモン|ホルモン]]系、さらに[[wj:免疫系|免疫系]]などがあると考えられている。一般的には、急性ストレスでは[[交感神経系]]及び一部の免疫機能が賦活するが、慢性ストレスではHPA axisが優性となり、さらに[[wj:液性免疫|液性]]・[[wj:細胞性免疫|細胞性免疫]]が抑制されると考えられている。 | |||
====自律神経系==== | ====自律神経系==== | ||
自律神経・[[副腎髄質]]を介して、交感神経系の亢進が起こると、様々な[[急性ストレス反応]]が起こる。例えば[[wj:心筋|心筋]][[wj:虚血|虚血]]、心拍変動性低下、[[wj:膵臓|膵臓]][[wj:β細胞|β細胞]]での[[インスリン]]分泌の低下、膵臓[[wj:α細胞|α細胞]]での[[グルカゴン]]分泌の上昇の結果|としての血糖上昇などが起こるが、こうした変化が慢性化すると、[[wj:高血圧|高血圧]]・[[wj:糖尿病|糖尿病]]を含めた全身性の生活習慣病や、虚血性心疾患、心室性不整脈などに結びつく可能性もある。当然自律神経の影響をうける疾患はこれだけではなく、身体の中で、自律神経系のコントロールを受けていない部位を探す方が難しいくらいであるので、頭痛、気管支喘息、消化性潰瘍など、自律神経系は、身体疾患の発症・増悪に広くかつ深く関与している(図2参照)。 [[Image:Yoshiyamoriguchi_fig_6.jpg|thumb|300px|'''図2.自律神経系 '''<br>]] | |||
====HPA axis==== | ====HPA axis==== |