「ゴルジ体」の版間の差分

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 ところが、1998年にコラーゲンの分泌を詳細に観察した実験から、コラーゲンはゴルジ体内ですでに大きな線維を形成し、とても小胞には収まりきらないにも拘わらず、粛々とシス側に移行することが分かり、層板成熟説が再び復活した<ref><pubmed> 9875853 </pubmed></ref> 。
 ところが、1998年にコラーゲンの分泌を詳細に観察した実験から、コラーゲンはゴルジ体内ですでに大きな線維を形成し、とても小胞には収まりきらないにも拘わらず、粛々とシス側に移行することが分かり、層板成熟説が再び復活した<ref><pubmed> 9875853 </pubmed></ref> 。


 現在での一つの解釈は、新しく作られたタンパク質は同じ層板に乗ったままで層板ごとトランス方向に移動する。一方、糖鎖を付加する酵素の方が小胞に乗って、トランス側の層板からシス側の層板に輸送されるというものである。つまり、層板間でタンパク質の移動はあるが、移動するのは分泌タンパク質ではなく、酵素のほうであった。人々は”タンパク質の移動がある”ことがわかった時点で”移動する“のは当然、分泌タンパク質のほうであると思いこんでしまったのである<ref><pubmed> 19948493 </pubmed></ref>。ゴルジ体の極めて基本的な(教科書的な)事項が21世紀になって逆転すること、しかし、小胞説を推進する研究は[[膜融合]]についてのSNARE仮説を導き、神経科学の分野([[シナプス伝達]])で花開いたこと、は示唆的である。  
 現在での一つの解釈は、新しく作られたタンパク質は同じ層板に乗ったままで層板ごとトランス方向に移動する。一方、糖鎖を付加する酵素の方が小胞に乗って、トランス側の層板からシス側の層板に輸送されるというものである。つまり、層板間でタンパク質の移動はあるが、移動するのは分泌タンパク質ではなく、酵素のほうであった。人々は”タンパク質の移動がある”ことがわかった時点で”移動する“のは当然、分泌タンパク質のほうであると思いこんでしまったのである<ref><pubmed> 19948493 </pubmed></ref>。ゴルジ体の極めて基本的な(教科書的な)事項が21世紀になって逆転すること、しかし、小胞説を推進する研究は[[膜融合]]についての[[SNARE仮説]]を導き、神経科学の分野([[シナプス伝達]])で花開いたこと、は示唆的である。


== ゴルジ体に作用する薬剤  ==
== ゴルジ体に作用する薬剤  ==

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