「セマフォリン」の版間の差分

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{{box|text= セマフォリンはセマドメインを持つリガンドの総称で、分泌型と膜結合型があり、現在20種類以上存在する。その主要な受容体であるプレキシンもセマドメインを細胞外に持ち、細胞内領域と相互作用する低分子量Gタンパク質やタンパク質リン酸化酵素等を介して情報伝達を行う。セマフォリンが生体内で担う役割は、神経軸索ガイダンス、血管新生、免疫、骨代謝制御と多岐にわたる。}}
{{box|text= セマフォリンはセマドメインを持つリガンドの総称で、分泌型と膜結合型があり、現在20種類以上存在する。その主要な受容体であるプレキシンもセマドメインを細胞外に持ち、細胞内領域と相互作用する低分子量Gタンパク質やタンパク質リン酸化酵素等を介して情報伝達を行う。セマフォリンが生体内で担う役割は、神経軸索ガイダンス、血管新生、免疫、骨代謝制御と多岐にわたる。}}
 
{{Pfam_box
| Symbol = Sema
| Name =
| image = 1q47.pdb
| width =250
| caption =Structure of the Semaphorin 3A Receptor-binding Module
| Pfam= PF01403
| InterPro= IPR001627
| SMART=
| PROSITE = PDOC51004
| SCOP = 1olz
| TCDB =
| OPM family=
| OPM protein=
| PDB=
{{PDB3|1shy}}B:55-500    {{PDB3|1ux3}}A:55-500    {{PDB3|1olz}}A:50-482
{{PDB3|1q47}}A:57-498
}}
== 構造とファミリー分子 ==
== 構造とファミリー分子 ==
===セマフォリン===
===セマフォリン===
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 プレキシンの中には、膜貫通型チロシンキナーゼや[[免疫グロブリンスーパーファミリー]]等と会合するものがある。これらの分子はプレキシンによる情報伝達を修飾する役割を担っている。いくつかのセマフォリンはプレキシン以外の受容体と結合することが知られている。CD72、Tim-2、インテグリン等が該当するが、それらはセマドメインを持たず、共通性が見られない。今後、これらの非プレキシン型受容体に関しても解明が進むものと思われる。
 プレキシンの中には、膜貫通型チロシンキナーゼや[[免疫グロブリンスーパーファミリー]]等と会合するものがある。これらの分子はプレキシンによる情報伝達を修飾する役割を担っている。いくつかのセマフォリンはプレキシン以外の受容体と結合することが知られている。CD72、Tim-2、インテグリン等が該当するが、それらはセマドメインを持たず、共通性が見られない。今後、これらの非プレキシン型受容体に関しても解明が進むものと思われる。
==発現==
(組織発現パタン、細胞内局在に特記すべき事がございましたら御記述下さい)


==情報伝達==
==情報伝達==
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 プレキシンAは酸化還元酵素であるMolecules Interacting with CasL (MICAL) とも相互作用し、[[アクチン]]の重合を調節する。
 プレキシンAは酸化還元酵素であるMolecules Interacting with CasL (MICAL) とも相互作用し、[[アクチン]]の重合を調節する。
===その他の修飾機構===(機能の所に有った文章をこちらに持ってきました)
 セマフォリンの作用は、上記の情報伝達系を基本とし、さらに細胞外のリガンド分子、[[細胞膜]]分子、そして細胞内の情報伝達分子などによって修飾される。例えば、リガンド分子として血管内皮成長因子(VEGF)のスプライス変異体VEGF165はNRP1に結合し、Sema3Aに拮抗的に作用する。プレキシン-Aに直接結合するクラス6セマフォリンもSema3A作用を修飾する。ニューロピリン1と相互作用する細胞膜タンパク質として、[[L1]]や類縁のCHL1が報告されている。ニューロピリン1と複合体を形成したL1は、接着班キナーゼ(FAK)と[[MAPキナーゼ]]活性化を活性化する。
 一方、プレキシン-Aはoff-Track、VEGFR2、TREM2、DAP12などの膜タンパク質と相互作用する。これら相互作用分子の発現は組織や細胞により異なり、セマフォリンがそれぞれの細胞で引きおこす反応の違いに寄与する。細胞内分子cGMPはセマフォリン作用に影響する(どのようなメカニズムでしょうか?)。


== 機能 ==
== 機能 ==
 セマフォリンの作用は、上記の情報伝達系を基本とし、さらに細胞外のリガンド分子、[[細胞膜]]分子、そして細胞内の情報伝達分子などによって修飾される。
(この部分、もう少し詳しく御願いできればと思います)
 CHL1はSema3A/NRP1で制御される視床皮質路の軸索投射に関与する。


 例えば、リガンド分子として血管内皮成長因子(VEGF)のスプライス変異体VEGF165はNRP1に結合し、Sema3Aに拮抗的に作用する。プレキシン-Aに直接結合するクラス6セマフォリンもSema3A作用を修飾する。ニューロピリン1と相互作用する細胞膜蛋[[白質]]として、[[L1]]や類縁のCHL1が報告されている。ニューロピリン1と複合体を形成したL1は、接着班キナーゼ(FAK)と[[MAPキナーゼ]]活性化を活性化する。CHL1はSema3A/NRP1で制御される視床皮質路の軸索投射に関与する。一方、プレキシン-Aはoff-Track、VEGFR2、TREM2、DAP12などの膜蛋白質と相互作用する。これら相互作用分子の発現は組織や細胞により異なり、セマフォリンがそれぞれの細胞で引きおこす反応の違いに寄与する。細胞内分子cGMPはセマフォリン作用に影響する。Sema3Aは末梢[[知覚]]神経軸索を反発するが、高濃度cGMPが存在する皮質[[錐体細胞]]の尖端樹状突起は、Sema3A濃度勾配に沿って脳表方向へ誘引される。
 セマフォリンシグナリングの細胞生物学的な機能は細胞骨格の再構成と細胞接着の調節である。これらの結果、セマフォリンは細胞の形態や移動を制御すると考えられる。神経系においては、軸索伸長、軸索ガイダンス、樹状突起スパインの形態・機能の制御を介して神経回路網形成や[[シナプス]]可塑性に関与すると考えられる。血管系においては、セマフォリンは血管内皮細胞の遊走を制御することにより、血管新生に重要な役割を果たしていると考えられる。


 セマフォリンシグナリングの細胞生物学的な機能は細胞骨格の再構成と細胞接着の調節である。これらの結果、セマフォリンは細胞の形態や移動を制御すると考えられる。神経系においては、軸索伸長、軸索ガイダンス、樹状突起スパインの形態・機能の制御を介して神経回路網形成や[[シナプス]]可塑性に関与すると考えられる。血管系においては、セマフォリンは血管内皮細胞の遊走を制御することにより、血管新生に重要な役割を果たしていると考えられる。また免疫系においては、細胞移動や細胞間認識による[[細胞分化]]・増殖の制御を介して免疫応答に関与する。
 また免疫系においては、細胞移動や細胞間認識による[[細胞分化]]・増殖の制御を介して免疫応答に関与する。


==疾患との関係==
==疾患との関係==

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