「プロテアソーム」の版間の差分

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<ref name=ref12 /> <ref name=ref27><pubmed>19935803</pubmed></ref>
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  適応(獲得)免疫の中心的なテーマである自己と非自己の識別(細胞性免疫応答)において必須な役割を果たすために、プロテアソームのアイソフォーム(免疫型プロテアソーム)(図5)が存在する<ref name=ref28><pubmed>9700509</pubmed></ref> <ref name=ref29><pubmed>12078479</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21387144</pubmed></ref>。免疫型プロテアソームの遺伝子は、進化的には適応免疫と同時期に誕生した<ref name=ref28 /> <ref name=ref40><pubmed>21748441</pubmed></ref>。
 適応(獲得)免疫の中心的なテーマである自己と非自己の識別(細胞性免疫応答)において必須な役割を果たすために、プロテアソームのアイソフォーム(免疫型プロテアソーム)(図5)が存在する<ref name=ref28><pubmed>9700509</pubmed></ref> <ref name=ref29><pubmed>12078479</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21387144</pubmed></ref>。免疫型プロテアソームの遺伝子は、進化的には適応免疫と同時期に誕生した<ref name=ref28 /> <ref name=ref31><pubmed>21748441</pubmed></ref>。


====免疫プロテアソーム====
====免疫プロテアソーム====
 [[wj:主要組織適合性遺伝子複合体|主要組織適合性遺伝子複合体]] (major histocompatibility antigen comple; MHC)を獲得した[[wj:有顎脊椎動物|有顎脊椎動物]]では、プロテアソームはMHCクラスI結合ペプチド産生の必須酵素でもあり、[[wj:CD8|CD8]]<sup>+</sup>T細胞を介した細胞性免疫応答に不可欠な役割を果たしている。[[wj:ウイルス|ウイルス]]や[[wj:ガン抗原|ガン抗原]]等の内在性抗原のプロセシング酵素として専門的に作用する酵素が存在する。これは標準/構成型プロテアソーム(standard/constitutive proteasome)と区別して、“免疫プロテアソーム(immunoproteasome)”と呼ばれる<ref name=ref31><pubmed>8066462</pubmed></ref> <ref name=ref32><pubmed>8666937</pubmed></ref> <ref name=ref33><pubmed>7964165</pubmed></ref>。この亜型酵素は[[wj:インターフェロン&gamma;|インターフェロン&gamma;]](IFN&gamma;)などの[[サイトカイン]]により強く誘導される3種の新しい&beta;型触媒サブユニット(&beta;1i, &beta;2i, &beta;5i)が優先的分子集合機構によって分子内置換した酵素である(図6中モデル)。
 [[wj:主要組織適合性遺伝子複合体|主要組織適合性遺伝子複合体]] (major histocompatibility antigen comple; MHC)を獲得した[[wj:有顎脊椎動物|有顎脊椎動物]]では、プロテアソームはMHCクラスI結合ペプチド産生の必須酵素でもあり、[[wj:CD8|CD8]]<sup>+</sup>T細胞を介した細胞性免疫応答に不可欠な役割を果たしている。[[wj:ウイルス|ウイルス]]や[[wj:ガン抗原|ガン抗原]]等の内在性抗原のプロセシング酵素として専門的に作用する酵素が存在する。これは標準/構成型プロテアソーム(standard/constitutive proteasome)と区別して、“免疫プロテアソーム(immunoproteasome)”と呼ばれる<ref name=ref32><pubmed>8066462</pubmed></ref> <ref name=ref33><pubmed>8666937</pubmed></ref> <ref name=ref34><pubmed>7964165</pubmed></ref>。この亜型酵素は[[wj:インターフェロン&gamma;|インターフェロン&gamma;]](IFN&gamma;)などの[[サイトカイン]]により強く誘導される3種の新しい&beta;型触媒サブユニット(&beta;1i, &beta;2i, &beta;5i)が優先的分子集合機構によって分子内置換した酵素である(図6中モデル)。


 免疫プロテアソームは高いキモトリプシン様活性を有し、MHCクラスIのペプチド収容溝に高い親和性をもつペプチドを効率的に産生することができる(分子レベルでの自己と非自己の識別)。当初免疫プロテアソームは抗原プロセシングに特化した酵素と見られていたが、最近、免疫プロテアソームが有害タンパク質の凝集阻止を通してインターフェロン依存的な[[酸化ストレス]]による細胞死を防御していること<ref name=ref34><pubmed>20723761</pubmed></ref>や&beta;5iの特異的な阻害剤PR-957がサイトカインの産生や自己抗体レベルを低下させることから自己免疫疾患に関与していること<ref name=ref35><pubmed>19525961</pubmed></ref> <ref name=ref36><pubmed>20010787</pubmed></ref>が報告されている。
 免疫プロテアソームは高いキモトリプシン様活性を有し、MHCクラスIのペプチド収容溝に高い親和性をもつペプチドを効率的に産生することができる(分子レベルでの自己と非自己の識別)。当初免疫プロテアソームは抗原プロセシングに特化した酵素と見られていたが、最近、免疫プロテアソームが有害タンパク質の凝集阻止を通してインターフェロン依存的な[[酸化ストレス]]による細胞死を防御していること<ref name=ref35><pubmed>20723761</pubmed></ref>や&beta;5iの特異的な阻害剤PR-957がサイトカインの産生や自己抗体レベルを低下させることから自己免疫疾患に関与していること<ref name=ref36><pubmed>19525961</pubmed></ref> <ref name=ref37><pubmed>20010787</pubmed></ref>が報告されている。


====胸腺プロテアソーム====
====胸腺プロテアソーム====
:脊椎動物の[[wj:胸腺|胸腺]]皮質上皮細胞cTECには&beta;5tという新規な触媒サブユニットが特異的に発現している。&beta;5tの組み込まれた(&beta;1iと&beta;2iをパートナーとする)亜型酵素は、胸腺プロテアソーム(thymoproteasome)と呼ばれる(図6右モデル)<ref name=ref37><pubmed>17540904</pubmed></ref> <ref name=ref38><pubmed>20045355</pubmed></ref>。
:脊椎動物の[[wj:胸腺|胸腺]]皮質上皮細胞cTECには&beta;5tという新規な触媒サブユニットが特異的に発現している。&beta;5tの組み込まれた(&beta;1iと&beta;2iをパートナーとする)亜型酵素は、胸腺プロテアソーム(thymoproteasome)と呼ばれる(図6右モデル)<ref name=ref38><pubmed>17540904</pubmed></ref> <ref name=ref39><pubmed>20045355</pubmed></ref>。


:胸腺プロテアソームは、MHCクラスIに結合するリガンド(抗原エピトープ)の種類を変化させている。&beta;5t欠損マウスではCD8<sup>+</sup>T細胞が減少し、[[wj:リンパ球|リンパ球]]分化(様々なT細胞受容体を持った有用なCD8<sup>+</sup>T細胞のレパトア形成)に異常をきたしたことから、胸腺プロテアソームが胸腺における“正の選択”を駆動する抗原ペプチドを生成している(細胞レベルでの自己と非自己の識別)と考えられている<ref name=ref39><pubmed>19935803</pubmed></ref>。
:胸腺プロテアソームは、MHCクラスIに結合するリガンド(抗原エピトープ)の種類を変化させている。&beta;5t欠損マウスではCD8<sup>+</sup>T細胞が減少し、[[wj:リンパ球|リンパ球]]分化(様々なT細胞受容体を持った有用なCD8<sup>+</sup>T細胞のレパトア形成)に異常をきたしたことから、胸腺プロテアソームが胸腺における“正の選択”を駆動する抗原ペプチドを生成している(細胞レベルでの自己と非自己の識別)と考えられている<ref name=ref27> <ref name=ref39 />。


===シナプス可塑性===
===シナプス可塑性===
 外界の刺激などに適応したシナプス(あるいは神経)の可塑性(信号伝達能力や形態の変化)は、脳の発生過程、老化や障害からの回復、あるいは記憶や学習などの高次の神経機能の基盤となっている。このシナプス可塑性においてタンパク質合成が重要であることは、以前から明確になっていたが、ニューロンにおけるタンパク質品質管理の研究が進展し、最近ではUPSによる選択的なタンパク質分解の重要性を示唆する報告が相次いでいる[40][41]。UPSはシナプス可塑性の関与する神経伝達物質受容体、タンパク質キナーゼ、転写因子など様々なシナプスに存在するタンパク質を厳格に調節しているほか、海馬にける長期増強(LTP : long-term potentiation)などニューロンの局部での役割も注目されている[42] 。またこれらの破綻による疾病も急増している[43]。さらにごく最近、長期記憶(LTM:long-term memory)におけるUPSの役割が注目されている[44][45]
 外界の刺激などに適応したシナプス(あるいは神経)の可塑性(信号伝達能力や形態の変化)は、脳の発生過程、老化や障害からの回復、あるいは記憶や学習などの高次の神経機能の基盤となっている。このシナプス可塑性においてタンパク質合成が重要であることは、以前から明確になっていたが、ニューロンにおけるタンパク質品質管理の研究が進展し、最近ではUPSによる選択的なタンパク質分解の重要性を示唆する報告が相次いでいる<ref name=ref40><pubmed>20717144</pubmed></ref> <ref name=ref41><pubmed>20566674</pubmed></ref>。UPSはシナプス可塑性の関与する神経伝達物質受容体、タンパク質キナーゼ、転写因子など様々なシナプスに存在するタンパク質を厳格に調節しているほか、海馬にける長期増強(LTP : long-term potentiation)などニューロンの局部での役割も注目されている<ref name=ref42><pubmed>17046687</pubmed></ref>。またこれらの破綻による疾病も急増している<ref name=ref43><pubmed>21220096</pubmed></ref>。さらにごく最近、長期記憶(LTM:long-term memory)におけるUPSの役割が注目されている<ref name=ref44><pubmed>23623827</pubmed></ref> <ref name=ref45><pubmed>22351058</pubmed></ref>


===老化===
===老化===
 エイジング(老化)と共にプロテアソームの機能が低下するとの報告は、数多くある<ref name=ref41><pubmed>21587205</pubmed></ref>が、実際にはプロテアソームの機能評価は必ずしも容易でなく、それらの信憑性には疑義がもたれていた。多くの場合、蛍光合成基質を用いた[[wj:ペプチダーゼ|ペプチダーゼ]]活性を指標とした報告であるが、これらの実験値が真にこの酵素の細胞内での機能レベルを正確に反映していることの保証はないからである。ところが最近、[[ショウジョウバエ|ハエ]]を用いた遺伝学的スクリーンから老化に依存したニューロンのproteotoxity(異常タンパク質の蓄積による細胞障害)を抑圧する遺伝子としてプロテアソームのRPサブユニット(Rpn11)が分離され、26Sプロテアソームの障害を起因としたプロテアソーム活性の低下が明らかとなった<ref name=ref42><pubmed>19075009</pubmed></ref>。この結果は、プロテアソームの機能破綻が寿命の短縮に寄与していることを直接的に示しており、エイジングにおけるプロテアソームの役割の重要性が具体的に示唆された。
 エイジング(老化)と共にプロテアソームの機能が低下するとの報告は、数多くある<ref name=ref46><pubmed>21587205</pubmed></ref>が、実際にはプロテアソームの機能評価は必ずしも容易でなく、それらの信憑性には疑義がもたれていた。多くの場合、蛍光合成基質を用いた[[wj:ペプチダーゼ|ペプチダーゼ]]活性を指標とした報告であるが、これらの実験値が真にこの酵素の細胞内での機能レベルを正確に反映していることの保証はないからである。ところが最近、[[ショウジョウバエ|ハエ]]を用いた遺伝学的スクリーンから老化に依存したニューロンのproteotoxity(異常タンパク質の蓄積による細胞障害)を抑圧する遺伝子としてプロテアソームのRPサブユニット(Rpn11)が分離され、26Sプロテアソームの障害を起因としたプロテアソーム活性の低下が明らかとなった<ref name=ref47><pubmed>19075009</pubmed></ref>。この結果は、プロテアソームの機能破綻が寿命の短縮に寄与していることを直接的に示しており、エイジングにおけるプロテアソームの役割の重要性が具体的に示唆された。


===神経変性疾患===
===神経変性疾患===
[[image:プロテオソーム7.jpg|thumb|350px|'''図7.プロテアソーム分子集合因子PAC1の中枢神経系特異的欠損マウス'''<br>20Sプロテアソーム(&alpha;リング)の形成に必須な分子集合因子PAC1(図4参照)の条件的ノックアウトマウスをNestin-Creトランスジェニックマウス を交配させたマウスの生後3週間後の表現系と行動 <ref name=ref21 />。]]
[[image:プロテオソーム7.jpg|thumb|350px|'''図7.プロテアソーム分子集合因子PAC1の中枢神経系特異的欠損マウス'''<br>20Sプロテアソーム(&alpha;リング)の形成に必須な分子集合因子PAC1(図4参照)の条件的ノックアウトマウスをNestin-Creトランスジェニックマウス を交配させたマウスの生後3週間後の表現系と行動 <ref name=ref15 />。]]


[[image:プロテオソーム8.jpg|thumb|350px|'''図8.PINK1/Parkin依存的な“ミトコンドリア品質管理”仮説のモデル図'''<br>詳細は本文参照。]]
[[image:プロテオソーム8.jpg|thumb|350px|'''図8.PINK1/Parkin依存的な“ミトコンドリア品質管理”仮説のモデル図'''<br>詳細は本文参照。]]


====プロテアソームと神経凝集体====
====プロテアソームと神経凝集体====
:通常、活発に分裂している細胞の[[wj:細胞質|細胞質]]や[[wj:核|核]]に蓄積した異常タンパク質(アンフォールド/ミスフォールドした変異タンパク質)は、[[細胞増殖]]によってクリアランス(浄化)できるが、非分裂細胞であるニューロンにおいては、それらを処理できないために、タンパク質の品質管理(不要タンパク質の処理)が細胞の生存に不可欠である<ref name=ref43><pubmed>17051204</pubmed></ref> <ref name=ref44><pubmed>14685250</pubmed></ref>。Kopitoらは、細胞内に異常タンパク質を強制発現させると、プロテアソームがそれらを処理できずに活性の低下を引き起こし<ref name=ref45><pubmed>11375494</pubmed></ref>、蓄積した異常タンパク質が凝集し[[アグレゾーム]](様々な神経変性疾患・患者脳の残存ニューロンに同定されている[[封入体]]と類似の凝集構造体)を形成することを示した<ref name=ref46><pubmed>11121744</pubmed></ref>。この結果は、プロテアソームの機能減弱と神経変性の関連性を示唆している。
:通常、活発に分裂している細胞の[[wj:細胞質|細胞質]]や[[wj:核|核]]に蓄積した異常タンパク質(アンフォールド/ミスフォールドした変異タンパク質)は、[[細胞増殖]]によってクリアランス(浄化)できるが、非分裂細胞であるニューロンにおいては、それらを処理できないために、タンパク質の品質管理(不要タンパク質の処理)が細胞の生存に不可欠である<ref name=ref48><pubmed>17051204</pubmed></ref> <ref name=ref49><pubmed>14685250</pubmed></ref>。Kopitoらは、細胞内に異常タンパク質を強制発現させると、プロテアソームがそれらを処理できずに活性の低下を引き起こし<ref name=ref50><pubmed>11375494</pubmed></ref>、蓄積した異常タンパク質が凝集し[[アグレゾーム]](様々な神経変性疾患・患者脳の残存ニューロンに同定されている[[封入体]]と類似の凝集構造体)を形成することを示した<ref name=ref51><pubmed>11121744</pubmed></ref>。この結果は、プロテアソームの機能減弱と神経変性の関連性を示唆している。


:多くの神経変性疾患に観察される封入体が抗ユビキチン抗体で染色されること<ref name=ref51><pubmed>3029875</pubmed></ref>から、UPSの破綻が神経変性疾患の発症原因であると考えられた<ref name=ref52><pubmed>9881849</pubmed></ref>。McNaughtらはプロテアソーム阻害剤を直接[[マウス]][[小脳]]に注入して[[パーキンソン病]]と類似の症状を引き起こすことを報告し、プロテアソームの抑制とニューロン死の直接的な関係を示唆した<ref name=ref47><pubmed>15480836</pubmed></ref>が、再現性が乏しく、決定的な結論が得られていなかった<ref name=ref48><pubmed>20061621</pubmed></ref>。
:多くの神経変性疾患に観察される封入体が抗ユビキチン抗体で染色されること<ref name=ref52><pubmed>3029875</pubmed></ref>から、UPSの破綻が神経変性疾患の発症原因であると考えられた<ref name=ref53><pubmed>9881849</pubmed></ref>。McNaughtらはプロテアソーム阻害剤を直接[[マウス]][[小脳]]に注入して[[パーキンソン病]]と類似の症状を引き起こすことを報告し、プロテアソームの抑制とニューロン死の直接的な関係を示唆した<ref name=ref54><pubmed>15480836</pubmed></ref>が、再現性が乏しく、決定的な結論が得られていなかった<ref name=ref55><pubmed>20061621</pubmed></ref>。


:しかし最近、生後間もないマウスへのプロテアソーム阻害剤の長期間・連続投与によって神経変性が誘導されることが報告された<ref name=ref49><pubmed>22174927</pubmed></ref>。また、プロテアソームRPを構成するATPaseサブユニットRpt2を脳特異的にノックアウトすると、ユビキチン陽性の[[Lewy体]]様の封入体が蓄積すると共に神経変性が誘導される<ref name=ref50><pubmed>18701681</pubmed></ref>。他方、Rpt3を運動ニューロン特異的にノックアウトすると、TAR DNA-binding protein 43 kDa (TDP-43), fused in sarcoma (FUS), ubiquilin 2, and optineurinなどの筋萎縮性側索硬化症(ALS)の神経変原因遺伝子産物が細胞内分布異常あるいは過剰蓄積して ALS様の症状を呈した[58] 。われわれも20Sプロテアソームの分子集合因子PAC1をマウス[[中枢神経系]]で欠損させてニューロンのプロテアソームレベルを持続的に低下させると、小脳変性を誘発して神経変性疾患様の症状に陥ることを見出した(図7)。これらの結果により、プロテアソームが神経細胞の恒常性維持に必須であることを遺伝学的に証明した<ref name=ref21 />。
:しかし最近、生後間もないマウスへのプロテアソーム阻害剤の長期間・連続投与によって神経変性が誘導されることが報告された<ref name=ref56><pubmed>22174927</pubmed></ref>。また、プロテアソームRPを構成するATPaseサブユニットRpt2を脳特異的にノックアウトすると、ユビキチン陽性の[[Lewy体]]様の封入体が蓄積すると共に神経変性が誘導される<ref name=ref57><pubmed>18701681</pubmed></ref>。他方、Rpt3を運動ニューロン特異的にノックアウトすると、TAR DNA-binding protein 43 kDa (TDP-43), fused in sarcoma (FUS), ubiquilin 2, and optineurinなどの筋萎縮性側索硬化症(ALS)の神経変原因遺伝子産物が細胞内分布異常あるいは過剰蓄積して ALS様の症状を呈した[58] 。われわれも20Sプロテアソームの分子集合因子PAC1をマウス[[中枢神経系]]で欠損させてニューロンのプロテアソームレベルを持続的に低下させると、小脳変性を誘発して神経変性疾患様の症状に陥ることを見出した(図7)。これらの結果により、プロテアソームが神経細胞の恒常性維持に必須であることを遺伝学的に証明した<ref name=ref21 />。


====家族性パーキンソン病とPINK1・パーキン系====
====家族性パーキンソン病とPINK1・パーキン系====

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