「空間知覚」の版間の差分

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== 脳内の空間表現 ==
== 脳内の空間表現 ==
===座標系===
===[[座標系]]===
脳内では、空間は[[座標系]]として表現されている。その座標表現は単一ではなく、以下の様な原点の異なる複数の座標が、主に頭頂葉や運動前野など肢運動、眼球運動に関わる領野など複数の脳領域に存在する。
脳内では、空間は[[座標系]]として表現されている。その座標表現は単一ではなく、以下の様な原点の異なる複数の座標が、主に頭頂葉や運動前野など肢運動、眼球運動に関わる領野など複数の脳領域に存在する。
====網膜中心座標系====
====[[座標系|網膜座標系]]====
   
   
 中心窩(fovea)を原点に、網膜の何処に像を結ぶかによって表現される座標系のことである。脳内の視覚領野には、網膜の部位がその領野内の位置と点対点の対応関係にある領野が存在する。特にこれを[[網膜部位局在性]]というが、結果として[[座標系|網膜座標系]]としての情報表現が見られる。網膜部位局在性がはっきりしないが、網膜座標系を表現する脳領域もある。
 中心窩(fovea)を原点に、網膜の何処に像を結ぶかによって表現される座標系のことである。脳内の視覚領野には、網膜の部位がその領野内の位置と点対点の対応関係にある領野が存在する。特にこれを[[網膜部位局在性]]というが、結果として[[座標系|網膜座標系]]としての情報表現が見られる。網膜部位局在性がはっきりしないが、網膜座標系を表現する脳領域もある。


====眼球中心座標系====
====[[座標系|眼球中心座標系]]====
 眼球の現在の位置を原点にした空間座標。現在の眼球の位置情報を必要とし、眼球が動いたとしても、眼球の位置とターゲットのずれを基にして、ターゲットの位置ベクトルが表現される。眼球の位置情報を必要としないため[[座標系|網膜座標系と眼球中心座標系]]とは区別される。
 眼球の現在の位置を原点にした空間座標。現在の眼球の位置情報を必要とし、眼球が動いたとしても、眼球の位置とターゲットのずれを基にして、ターゲットの位置ベクトルが表現される。眼球の位置情報を必要としないため[[座標系|網膜座標系と眼球中心座標系]]とは区別される。眼球運動や到達運動に関わる領域に表象される。


====頭部中心座標系・身体中心座標系====
====[[座標系|頭部中心座標系・身体中心座標系]]====
 眼球の位置によらず頭部ないしは身体軸を中心にした座標系。
 眼球の位置によらない頭の軸を中心した座標系を頭部中心座標系という。眼球や頭部の向きによらない身体軸を中心にした座標系を身体中心座標系という。到達運動や全身の移動等の運動に必要である。


====身体部位中心座標系====
====[[座標系|身体部位中心座標系]]====
 身体の部位を中心とした座標系。 身体部位が動くと座標原点はその部位と共に動く。主に体性感覚や視覚を統合した[[多種感覚ニューロン]]によって表現される。
 身体の部位を中心とした座標系。 身体部位が動くと座標原点はその部位と共に動く。主に体性感覚や視覚を統合した[[多種感覚ニューロン]]によって表現される。身体周辺空間の知覚にも関わる。


====物体中心座標系====
====[[座標系|物体中心座標系]]====
 物体の中での目標の相対的位置(前後左右上下)。
 物体の中での目標の相対的位置(前後左右上下)。物体の構造の知覚や物体内のある部分に働きかけるな場合に必要とされる。生体へ動作の可能性を提供するという[[アフォーダンス]]とも関連性がある。


====環境中心座標系====
====[[座標系|環境中心座標系]]====
 環境の中での自己の位置。移動においては、自己が環境の中でどの位置にいるかを脳内では表現される必要がある。[[Allocentric reference frame]]とも呼ばれる。 これに対し、自己を中心した座標系を[[Egocentric reference frame]]という。
 環境の中での自己の位置。移動においては、自己が環境の中でどの位置にいるかを脳内では表現される必要がある。[[Allocentric reference frame]]とも呼ばれる。 これに対し、自己を中心した座標系を[[Egocentric reference frame]]という。


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