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英:language
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言語は、ある特定の国や地域や文化に属する人々のコミュニケーションや相互作用において使用されるもので、音声や書かれた記号からなる体系である。表情や身振り手振りなども含む場合がある。脳科学としての言語は、言語学の知見、神経心理学の知見、そしてイメージング研究の知見を総合して考える必要がある。言語学では、音声や書かれた記号を対象として、人々によってそれがどのように使用されるのかを明らかにしようとしている。神経心理学では、脳の物理的損傷の患者を対象として、その損傷により引き起こされたと考えられる症状との関係から、脳における言語機能を明らかにしようとしている。そして、イメージング研究では、主に健常者を対象として、あるタスクを行ってもらい、その際の脳の賦活部位を、機能的磁気共鳴画像(fMRI: Functional Magnetic Resonance Imaging)などの手法を用いて明らかにしようとしている。
言語は、ある特定の国や地域や文化に属する人々のコミュニケーションや相互作用において使用されるもので、音声や書かれた記号からなる体系である。表情や身振り手振りなども含む場合がある。脳科学としての言語は、言語学の知見、神経心理学の知見、そしてイメージング研究の知見を総合して考える必要がある。言語学では、音声や書かれた記号を対象として、人々によってそれがどのように使用されるのかを明らかにしようとしている。神経心理学では、脳の物理的損傷の患者を対象として、その損傷により引き起こされたと考えられる症状との関係から、脳における言語機能を明らかにしようとしている。そして、イメージング研究では、主に健常者を対象として、あるタスクを行ってもらい、その際の脳の賦活部位を、機能的磁気共鳴画像(fMRI: Functional Magnetic Resonance Imaging)などの手法を用いて明らかにしようとしている。[[ファイル:tagirunakamura_fig_1.png|200px|thumb|'''図1 脳科学としての言語''']]


==言語産出と言語理解==
==言語産出と言語理解==


[[ファイル:tagirunakamura_fig_2.png|200px|thumb|'''図2 言語産出と言語理解''']]
言語処理は、言語産出の相と、言語理解の相とに大別することができる。言語産出の相においては、思考があり、思考が文として表現され、その文が音声や文字に変換される。音声は、空気の振動として、聞き手の耳、そして話し手自身の耳に伝わる。文字は、インクの染みとして読み手の目、そして書き手自身の目に伝わる。言語理解の相においては、[[知覚]]した音声や文字から語、語の連鎖から文、そして文から意味が構成される。
言語処理は、言語産出の相と、言語理解の相とに大別することができる。言語産出の相においては、思考があり、思考が文として表現され、その文が音声や文字に変換される。音声は、空気の振動として、聞き手の耳、そして話し手自身の耳に伝わる。文字は、インクの染みとして読み手の目、そして書き手自身の目に伝わる。言語理解の相においては、[[知覚]]した音声や文字から語、語の連鎖から文、そして文から意味が構成される。


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==言語野:ブローカ野とウェルニッケ野==
==言語野:ブローカ野とウェルニッケ野==


[[ファイル:tagirunakamura_fig_3.png|200px|thumb|'''図3 言語野:ブローカ野とウェルニッケ野''']]
言語処理に関与する脳の領域は、大まかには、環シルビウス溝言語領域、環・環シルビウス溝言語領域、そして右半球言語領域の三領域に分けることができる<ref>'''山鳥重'''<br>言語生成の大脳機構<br>''音声言語医学, 37(2), 262-266'':1996</ref>。環シルビウス溝言語領域は、[[ブローカ野]]と[[ウェルニッケ野]]という[[言語野]]、および両者をつなぐ弓状束を含み、音声系列の処理において重要な役割を果たしていると考えられている。ブローカ野は運動性言語野とも呼ばれており、言語処理における言語産出の相の重要な役割を担っていると考えられている。一方、ウェルニッケ野は感覚性言語野(受容性言語野)とも呼ばれており、言語処理における言語理解の相の重要な役割を担っていると考えられている。環・環シルビウス溝言語領域は、環シルビウス溝言語領域の周りの側頭葉、[[頭頂葉]]、[[前頭葉]]を含み、その活動には[[補足運動野]]や視床も加わり、音声系列への言語的意味の充填に関与していると考えられている。
言語処理に関与する脳の領域は、大まかには、環シルビウス溝言語領域、環・環シルビウス溝言語領域、そして右半球言語領域の三領域に分けることができる<ref>'''山鳥重'''<br>言語生成の大脳機構<br>''音声言語医学, 37(2), 262-266'':1996</ref>。環シルビウス溝言語領域は、[[ブローカ野]]と[[ウェルニッケ野]]という[[言語野]]、および両者をつなぐ弓状束を含み、音声系列の処理において重要な役割を果たしていると考えられている。ブローカ野は運動性言語野とも呼ばれており、言語処理における言語産出の相の重要な役割を担っていると考えられている。一方、ウェルニッケ野は感覚性言語野(受容性言語野)とも呼ばれており、言語処理における言語理解の相の重要な役割を担っていると考えられている。環・環シルビウス溝言語領域は、環シルビウス溝言語領域の周りの側頭葉、[[頭頂葉]]、[[前頭葉]]を含み、その活動には[[補足運動野]]や視床も加わり、音声系列への言語的意味の充填に関与していると考えられている。


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