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{{box|text= サブスタンスP substance P(SP)は、ウマの脳および腸管に存在し、血圧を下降させ、平滑筋を収縮させる物質として、1931年にvon EulerとGaddumによって見出され、1971年に単離された神経ペプチドである。類似の構造を持つペプチドと共に、タキキニンtachykininsと総称される。SPに高親和性を持つNK1受容体を介して、様々な細胞内情報伝達系を活性化し、複数のイオンチャネルを修飾する。SPおよびNK1受容体は、神経細胞だけでなく、末梢の非神経細胞にも発現している。従って痛覚、神経原性炎症、情動、報酬系等、広範囲な生理機能と疾患病態に関与している。}} | {{box|text= サブスタンスP substance P(SP)は、ウマの脳および腸管に存在し、血圧を下降させ、平滑筋を収縮させる物質として、1931年にvon EulerとGaddumによって見出され、1971年に単離された神経ペプチドである。類似の構造を持つペプチドと共に、タキキニンtachykininsと総称される。SPに高親和性を持つNK1受容体を介して、様々な細胞内情報伝達系を活性化し、複数のイオンチャネルを修飾する。SPおよびNK1受容体は、神経細胞だけでなく、末梢の非神経細胞にも発現している。従って痛覚、神経原性炎症、情動、報酬系等、広範囲な生理機能と疾患病態に関与している。}} | ||
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{{PBB|geneid=6863}} | {{PBB|geneid=6863}} | ||
{{infobox protein | |||
| Name = tachykinin, precursor 1 | |||
| caption = Spacefilling [[Molecular model|model]] of substance P | |||
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| HGNCid = 11517 | |||
| Symbol = TAC1 | |||
| AltSymbols = TAC2, NKNA | |||
| EntrezGene = 6863 | |||
| OMIM = 162320 | |||
| RefSeq = NM_003182 | |||
| UniProt = P20366 | |||
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== サブスタンスPとは == | == サブスタンスPとは == | ||
11個のアミノ酸からなる[[神経ペプチド]]である。SPは一次求心性ニューロンの一部に含まれ、脊髄後角で刺激に応じて[[神経終末]]の[[シナプス小胞]]から放出され、脊髄ニューロンで時間経過の遅い脱分極をひきおこし、[[neprilysin]] (EC 3.4.24.11: enkephalinase)、aminopeptidase N (EC 3.4.11.2)やpeptidyl dipeptidase A (EC 3.4.15.1: angiotensin converting enzyme)など複数の酵素で分解されて不活性化される1), 2)。 | 11個のアミノ酸からなる[[神経ペプチド]]である。SPは一次求心性ニューロンの一部に含まれ、脊髄後角で刺激に応じて[[神経終末]]の[[シナプス小胞]]から放出され、脊髄ニューロンで時間経過の遅い脱分極をひきおこし、[[neprilysin]] (EC 3.4.24.11: enkephalinase)、aminopeptidase N (EC 3.4.11.2)やpeptidyl dipeptidase A (EC 3.4.15.1: angiotensin converting enzyme)など複数の酵素で分解されて不活性化される1), 2)。 |