「カルモジュリン」の版間の差分
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<font size="+1">[http://researchmap.jp/hajimechan 藤井 哉]</font><br> | <font size="+1">[http://researchmap.jp/hajimechan 藤井 哉]</font><br> | ||
''東京大学医学系研究科神経生化学教室''<br> | ''東京大学医学系研究科神経生化学教室''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2015年8月7日 原稿完成日:2015年月日<br> | ||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/wadancnp 和田 圭司](国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/wadancnp 和田 圭司](国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)<br> | ||
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==構造== | ==構造== | ||
カルモジュリンは148残基のアミノ酸からなる、分子量約16.7kDaのタンパク質である。1985年にCa<sup>2+</sup>存在下のウシ由来カルモジュリンの[[X線結晶構造]]が解かれ、原子レベルでの構造が明らかになった<ref name=ref16><pubmed> 3990807 </pubmed></ref>。Ca2+と結合する4つのヘリックス・ループ・ヘリックス構造の[[EFハンドモチーフ]]を持ち、2つずつがそれぞれペアとなって球状のN末側ドメイン、C末側ドメインを形成し、その間をリンカーがつながったダンベル様の構造をしている。それぞれの球状のドメインの大きさは約25×20×20 Åであり、分子全体としては長軸が約65 Åの長さである<ref name=ref16 />。 | カルモジュリンは148残基のアミノ酸からなる、分子量約16.7kDaのタンパク質である。1985年にCa<sup>2+</sup>存在下のウシ由来カルモジュリンの[[X線結晶構造]]が解かれ、原子レベルでの構造が明らかになった<ref name=ref16><pubmed> 3990807 </pubmed></ref>。Ca2+と結合する4つのヘリックス・ループ・ヘリックス構造の[[EFハンドモチーフ]]を持ち、2つずつがそれぞれペアとなって球状のN末側ドメイン、C末側ドメインを形成し、その間をリンカーがつながったダンベル様の構造をしている。それぞれの球状のドメインの大きさは約25×20×20 Åであり、分子全体としては長軸が約65 Åの長さである<ref name=ref16 />。 | ||
==機能== | ==機能== | ||
カルモジュリンは脳内で10~100 µmol/lの濃度で発現しており<ref><pubmed> 15803158 </pubmed></ref>、細胞内で上昇したCa<sup>2+</sup>と結合し、Ca<sup>2+</sup> | カルモジュリンは脳内で10~100 µmol/lの濃度で発現しており<ref><pubmed> 15803158 </pubmed></ref>、細胞内で上昇したCa<sup>2+</sup>と結合し、Ca<sup>2+</sup>バッファーとして働くのに加え、様々なカルモジュリン結合タンパク質と結合して生理機能を発揮する(表1)。 | ||
カルモジュリンの主要な機能は、細胞内のCa<sup>2+</sup>濃度の変化を感知し、カルモジュリン結合タンパクの機能制御を通じて、細胞機能を制御(活性化、抑制)することであり、その具体的な効果はターゲットとなる下流のタンパク質によって様々に異なる。カルモジュリン結合タンパク質の多くはCa<sup>2+</sup>依存性がありCa<sup>2+</sup>/カルモジュリンと結合するが、Ca<sup>2+</sup>と結合していないカルモジュリンと結合するタンパク質や、Ca<sup>2+</sup>非依存的に結合するタンパク質も存在する。 | |||
Ca<sup>2+</sup>に対する親和性の違いから、C末側ドメインはN末側ドメインに比べCa<sup>2+</sup>に対する親和性が高く、in vitroでトリプシン処理により得られたN末側/C末側ドメインのCa<sup>2+</sup>親和性をpH7.5, 100mM KCl, 25℃の条件下で測定した場合には、それぞれ1.5~100μM、0.4~10μMである<ref><pubmed> 1902469</pubmed></ref>。Ca<sup>2+</sup>依存的な結合の場合、カルモジュリンがCa<sup>2+</sup>と結合することで、疎水性領域が露出し、ターゲットとなるタンパク質のカルモジュリン結合ドメインにある疎水性のアミノ酸残基と相互作用する。この疎水性アミノ酸残基の位置によって、1-14モチーフ([[ミオシン軽鎖キナーゼ]]([[myosin light-chain kinase]], [[MLCK]])、[[カルシニューリン]]、[[Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIV|Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIV]]([[CaMKIV]])、[[一酸化窒素合成酵素]]([[NOS]]))、1-10モチーフ([[Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼII|Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼII]]([[CaMKII]])、[[シナプシン]]、[[熱ショックタンパク質70/90]])、1-16モチーフ([[Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼキナーゼ|Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼキナーゼ]], [[CaMKK]])などに分類される<ref><pubmed> 9141499</pubmed></ref><ref><pubmed>23601118 </pubmed></ref><ref><pubmed> 25998729 </pubmed></ref>。一方、Ca<sup>2+</sup>非依存的な結合タンパク質は、IQモチーフ(IQXXXRGXXXR)を持つことが多い。 | |||
また、カルモジュリンは[[リン酸化]]<ref><pubmed>6621532</pubmed></ref>や[[糖化]]<ref><pubmed>2541779</pubmed></ref>、[[メチル化]]<ref name=ref10 />など[[翻訳後修飾]]を受け、機能を調節することが知られている<ref><pubmed>1314563</pubmed></ref><ref><pubmed>9572870</pubmed></ref>。 | |||
{|class="wikitable" | {|class="wikitable" | ||
|+ | |+表1. カルモジュリン結合タンパク質 | ||
!colspan="2"|タンパク質名称 | !colspan="2"|タンパク質名称 | ||
!参考文献 | !参考文献 | ||
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|colspan="2"|[[一酸化窒素合成酵素]]||<ref><pubmed> 1689048 </pubmed></ref><ref><pubmed>2370855 </pubmed></ref> | |colspan="2"|[[一酸化窒素合成酵素]]||<ref><pubmed> 1689048 </pubmed></ref><ref><pubmed>2370855 </pubmed></ref> | ||
|- | |- | ||
|colspan="2"|[[熱ショックタンパク質70 | |colspan="2"|[[熱ショックタンパク質70/90]]||<ref><pubmed> 3782106 </pubmed></ref><ref><pubmed>2154682 </pubmed></ref> | ||
|} | |} | ||
脳機能において、カルモジュリンは、そのターゲットとなるCaMKII、カルシニューリン、アデニル酸シクラーゼなどの下流のエフェクター酵素の制御を通してのシナプス可塑性や記憶・学習の制御に関して不可欠な役割を果たしている。例えば、海馬CA1領域における長期増強や長期抑圧はNMDA受容体の活性化によりCa<sup>2+</sup>が流入し、カルモジュリンと結合することで下流の酵素を活性化して引き起こされる。例えば、カルモジュリンの脳内での主要なターゲットのひとつであるCaMKIIは、Ca<sup>2+</sup>濃度の低い基底状態ではカルモジュリン結合ドメインとオーバーラップしている自己抑制ドメインによってそのキナーゼ活性が低く抑えられているが、Ca<sup>2+</sup>上昇に伴ってCa<sup>2+</sup>/カルモジュリンと結合し、コンフォメーションが変化することでこの自己抑制がはずれ、活性化する<ref><pubmed>12045104 </pubmed></ref>。また、CaMKIIは12量体を作っており<ref><pubmed>6315430 </pubmed></ref><ref><pubmed>21884935 </pubmed></ref>、活性化に伴って隣接するキナーゼサブユニットの間で286番目のスレオニンがリン酸化することで、Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリンとのアフィニティが高くなるとともに<ref><pubmed>1317063 </pubmed></ref>、Ca<sup>2+</sup>/カルモジュリンが解離した後も部分的な活性を持続する"Autonomous"な状態を保持することができる。CaMKIIは海馬のシェーファー側枝からCA1錐体細胞への長期増強に関わることがが報告されており<ref><pubmed> 2847049</pubmed></ref><ref><pubmed>2549423 </pubmed></ref><ref><pubmed>1378648 </pubmed></ref>、CaMKIIαのノックアウトマウスや点変異導入マウスでは海馬依存的な空間学習に異常がみられる<ref><pubmed> 1321493</pubmed></ref><ref><pubmed>9452388 </pubmed></ref>。 | |||
同様にカルモジュリンによって活性化されるアデニル酸シクラーゼ1、8やカルシニューリンもシナプス可塑性や記憶・学習に関与することが薬理学的実験や遺伝子改変動物実験などによって報告されている<ref><pubmed> 7515479 </pubmed></ref><ref><pubmed>10200317 </pubmed></ref><ref><pubmed>10482244</pubmed></ref><ref><pubmed>11733061 </pubmed></ref>。こうした電気生理学的・行動学的な変化を引き起こす分子・細胞生物学的なプロセスとして、カルモジュリンはCa<sup>2+</sup>流入に伴うスパインの構造的可塑性の誘導<ref><pubmed>15190253 </pubmed></ref><ref><pubmed>15572107</pubmed></ref><ref><pubmed>23269840</pubmed></ref>やアクチン細胞骨格の再構築<ref><pubmed>18341992</pubmed></ref><ref><pubmed>17404223</pubmed></ref>、種々の酵素の活性化<ref><pubmed> 26139370 </pubmed></ref><ref><pubmed> 19295602</pubmed></ref><ref><pubmed> 23602566 </pubmed></ref>やCREBを介した新規遺伝子発現<ref><pubmed> 8980227</pubmed></ref><ref><pubmed>19116276</pubmed></ref><ref><pubmed> 25277455 </pubmed></ref>に関わることが示されている。また、Ca<sup>2+</sup>流入に伴うカルモジュリン依存的な酵素の活性化は均等に起こるのではなく、神経入力のパターンに応じて異なる強弱で活性化され、状況に応じて適切な神経細胞機能を発現していると考えられている<ref><pubmed> 12154335 </pubmed></ref><ref><pubmed> 23602566 </pubmed></ref>。 | |||
また、カルモジュリンは記憶・学習といった成体における脳機能だけではなく、神経突起形成<ref><pubmed> 12873385 </pubmed></ref><ref><pubmed>17553424 </pubmed></ref>、軸索伸展<ref><pubmed>15363394 </pubmed></ref><ref><pubmed>19864584 </pubmed></ref><ref><pubmed>24849351 </pubmed></ref>、シナプスの形成<ref><pubmed> 18184567 </pubmed></ref>などを通して、神経回路の発達にも関わっている。例えば、発生期に神経細胞が軸索を伸展し標的となる細胞に投射して神経回路を構築する際には、軸索の先端部は成長円錐を形成し、細胞外の軸索ガイダンス分子などのシグナルに応じて誘引されたり反発されたりすることで、その伸展する方向を制御している。アフリカツメガエルの脊髄神経細胞やニワトリの後根神経節細胞を用いた実験などから、ガイダンス分子としてNetrin1<ref><pubmed> 10638760 </pubmed></ref><ref><pubmed> 15758951 </pubmed></ref>やSEMA3A<ref><pubmed> 18549782 </pubmed></ref><ref><pubmed> 18536712 </pubmed></ref>をはじめさまざま知られており、これらは受容体を介して局所的なCa<sup>2+</sup>上昇を引き起こし、その濃度や局在によってカルモジュリンは異なるターゲットを活性化し、成長円錐の誘引や反発をコントロールしている。 | |||
==サブファミリー== | |||
ヒトのCalmodulin1、Calmodulin2、Calmodulin3は同一のアミノ酸配列のタンパク質をコードしており、それぞれ[[染色体]]上の14q24-q31、2p21.1-p21.3、19q13.2-q13.3に位置する(表2)<ref><pubmed>8314583</pubmed></ref>。 | |||
== | {|class="wikitable" | ||
|+表2. ヒトカルモジュリン遺伝子 | |||
!タンパク質名称 | |||
!NCBI遺伝子情報 | |||
!NCBI mRNA情報 (RefSeq) | |||
!HUGO遺伝子命名法委員会 (HGNC) | |||
!Allen mouse brain | |||
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|Calmodulin1||[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/801 801]||[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NM_006888 NM_006888]||[http://www.genenames.org/cgi-bin/gene_symbol_report?hgnc_id=HGNC:1442 CALM1]||[http://mouse.brain-map.org/gene/show/12098 12098] | |||
|- | |||
|Calmodulin2||[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/805 805]||[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NM_001743 NM_001743]||[http://www.genenames.org/cgi-bin/gene_symbol_report?hgnc_id=HGNC:1445 CALM2]||[http://mouse.brain-map.org/gene/show/12099 12099] | |||
|- | |||
|Calmodulin3||[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/808 808]||[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NM_005184 NM_005184]||[http://www.genenames.org/cgi-bin/gene_symbol_report?hgnc_id=HGNC:1449 CALM3]||[http://mouse.brain-map.org/gene/show/12100 12100] | |||
|} | |||
その他、[[酵母]]、[[植物]]、[[昆虫]]からヒトまで[[真核生物]]に発現しており、特に[[脊椎動物]]の中では高い保存性を示す。 | |||
==阻害剤== | ==阻害剤== | ||
1974年にWeissらが、カルモジュリンにより活性化される脳のホスホジエステラーゼに対する[[フェノチアジン]]誘導体の阻害効果の作用機序およびキネティクスを報告し、[[カルモジュリン阻害剤]]であることを示した<ref>'''B Weiss, R. Fertel, R Figlin, and P Uzunov'''<br>Selective alteration of the activity of the multiple forms of adenosine 3', 5'-monophosphate phosphodiesterase of rat cerebrum<br>''Mol. Pharmacol. 10, 615-625'':1974</ref>(これに先立つ1968年、Hondaらはフェノチアジン誘導体の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼに対する阻害効果が脳由来の酵素と心臓由来の酵素で異なることを報告している<ref><pubmed>4298921</pubmed></ref>)。この後、[[W-7]]<ref><pubmed>6254958 </pubmed></ref>や[[カルミダゾリウム]]<ref>'''H Van Belle'''<br>R 24 571: A potent inhibitor of calmodulin-activated enzymes.<br>''Cell Calcium 2, 483-494'':1981</ref>など、さまざまな物質がカルモジュリン阻害剤として働くことが見出されている<ref><pubmed>17400264 </pubmed></ref><ref><pubmed>25536331 </pubmed></ref>。 | 1974年にWeissらが、カルモジュリンにより活性化される脳のホスホジエステラーゼに対する[[フェノチアジン]]誘導体の阻害効果の作用機序およびキネティクスを報告し、[[カルモジュリン阻害剤]]であることを示した<ref>'''B Weiss, R. Fertel, R Figlin, and P Uzunov'''<br>Selective alteration of the activity of the multiple forms of adenosine 3', 5'-monophosphate phosphodiesterase of rat cerebrum<br>''Mol. Pharmacol. 10, 615-625'':1974</ref>(これに先立つ1968年、Hondaらはフェノチアジン誘導体の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼに対する阻害効果が脳由来の酵素と心臓由来の酵素で異なることを報告している<ref><pubmed>4298921</pubmed></ref>)。この後、[[W-7]]<ref><pubmed>6254958 </pubmed></ref>や[[カルミダゾリウム]]<ref>'''H Van Belle'''<br>R 24 571: A potent inhibitor of calmodulin-activated enzymes.<br>''Cell Calcium 2, 483-494'':1981</ref>など、さまざまな物質がカルモジュリン阻害剤として働くことが見出されている<ref><pubmed>17400264 </pubmed></ref><ref><pubmed>25536331 </pubmed></ref>。 | ||
==疾患と関連するカルモジュリンの変異== | ==疾患と関連するカルモジュリンの変異== | ||
カルモジュリンの点突然変異が、[[カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍]]、[[QT延長症候群]]、特発性[[心室細動]] | カルモジュリンの点突然変異が、[[カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍]]、[[QT延長症候群]]、特発性[[心室細動]]で見出されている(表3)。 | ||
{|class="wikitable" | {|class="wikitable" | ||
|+表3. 疾患と関連するカルモジュリンの変異 | |+表3. 疾患と関連するカルモジュリンの変異 | ||
| 173行目: | 159行目: | ||
==カルモジュリンを用いたCa<sup>2+</sup>インディケーター== | ==カルモジュリンを用いたCa<sup>2+</sup>インディケーター== | ||
カルモジュリンがCa<sup>2+</sup>依存的にターゲットペプチドと相互作用することを用いて、様々な[[Genetically-encoded Ca2+ indicator|Genetically-encoded Ca<sup>2+</sup> indicator]]が開発されている。大まかには、2色の異なる色の[[蛍光タンパク質]]間の[[蛍光共鳴エネルギー移動]]を用いてその2色の蛍光強度の比をレシオメトリック測定することが可能な[[FRET]]センサー([[Cameleon]]など)と<ref><pubmed> 9148946 </pubmed></ref><ref><pubmed> 9278050 </pubmed></ref>、[[円順列変異]][[GFP]]を用いてその蛍光強度からCa<sup>2+</sup>濃度を測定する緑色蛍光プローブ([[G-CaMP]]など)がある<ref><pubmed> 11175727 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11248055 </pubmed></ref>。[[Cameleon]] | カルモジュリンがCa<sup>2+</sup>依存的にターゲットペプチドと相互作用することを用いて、様々な[[Genetically-encoded Ca2+ indicator|Genetically-encoded Ca<sup>2+</sup> indicator]]が開発されている。大まかには、2色の異なる色の[[蛍光タンパク質]]間の[[蛍光共鳴エネルギー移動]]を用いてその2色の蛍光強度の比をレシオメトリック測定することが可能な[[FRET]]センサー([[Cameleon]]など)と<ref><pubmed> 9148946 </pubmed></ref><ref><pubmed> 9278050 </pubmed></ref>、[[円順列変異]][[GFP]]を用いてその蛍光強度からCa<sup>2+</sup>濃度を測定する緑色蛍光プローブ([[G-CaMP]]など)がある<ref><pubmed> 11175727 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11248055 </pubmed></ref>。[[Cameleon]]の場合、Ca2+と結合したカルモジュリンがそのターゲットのM13ペプチドと結合することでコンフォメーションが変化し、2色の蛍光タンパク質の間での[[蛍光共鳴エネルギー移動]]の効率が変わることを利用している。一方で、[[G-CaMP]]の場合には、カルモジュリンとM13ペプチドの結合によるコンフォメーション変化が発色団周囲の環境を変化させることにより、蛍光強度が変化することを利用している。 | ||
2000年代以降、これらの改良が進んでおり、変化率を大きくしたものや単一活動電位を記録できる高感度のもの、キネティクスが速いもの、さまざまな色のインディケーターなどが開発され、生きた動物個体の中での神経細胞やシナプスの活動を長期間観察するのに用いられている<ref><pubmed>15247428 </pubmed></ref><ref><pubmed>16720273 </pubmed></ref><ref><pubmed>19160514 </pubmed></ref><ref><pubmed>19160515 </pubmed></ref><ref><pubmed>19898485 </pubmed></ref><ref><pubmed>21903779 </pubmed></ref><ref><pubmed>23868258 </pubmed></ref><ref><pubmed>24390440 </pubmed></ref><ref><pubmed>25419959</pubmed></ref><ref><pubmed>25678659</pubmed></ref>。 | 2000年代以降、これらの改良が進んでおり、変化率を大きくしたものや単一活動電位を記録できる高感度のもの、キネティクスが速いもの、さまざまな色のインディケーターなどが開発され、生きた動物個体の中での神経細胞やシナプスの活動を長期間観察するのに用いられている<ref><pubmed>15247428 </pubmed></ref><ref><pubmed>16720273 </pubmed></ref><ref><pubmed>19160514 </pubmed></ref><ref><pubmed>19160515 </pubmed></ref><ref><pubmed>19898485 </pubmed></ref><ref><pubmed>21903779 </pubmed></ref><ref><pubmed>23868258 </pubmed></ref><ref><pubmed>24390440 </pubmed></ref><ref><pubmed>25419959</pubmed></ref><ref><pubmed>25678659</pubmed></ref>。 | ||