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=== レム睡眠時の急速眼球運動と夢の関連(走査仮説) === | === レム睡眠時の急速眼球運動と夢の関連(走査仮説) === | ||
[[ファイル:Ncomms8884-f2.jpg| | [[ファイル:Ncomms8884-f2.jpg|500px|thumb|'''図2 覚醒時照明下でのサッケード、レム睡眠時休息眼球運動、覚醒時視覚刺激提示に伴って生じる脳活動'''<br>'''a''': [[眼電図]]、'''b''': 頭皮脳波(頭頂葉 Pz)、'''c''': [[内側側頭葉皮質脳波]]、'''d''': [[内側側頭葉]]ニューロン群の発火頻度、'''e''' : 海馬傍回における単一ニューロンの発火頻度。<br>レム睡眠時 (REM、中)の急速眼球運動では視覚刺激が無いにもかかわらず、頭皮脳波(b)、皮質脳波(c)、ユニット記録(d, e)のいずれにおいても覚醒時照明下サッケード(WAKE、左)と類似の脳活動が出現している。さらに眼球運動のonset(WAKE, REM)および視覚刺激(VISUAL STIMULATION、右)のonsetから200~400msで、発火頻度の上昇(d)に対応して皮質脳波上に陰性成分が出現している(c)。<br><ref name="Andrillon2015" />から引用。元の論文はCC BY license ([http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/ Creative Commons Attribution 4.0 International License])に従い出版された。]] | ||
1953年にAserinskyとKleitmanがレム睡眠を発見した直後から、「なぜ睡眠中に目が動くのか?」ということが問題になった。レム睡眠中に水平方向の眼球運動が規則正しく出現した被験者を起こして夢内容を聴取したところ、「卓球の試合の夢を見ていた。卓球台の真ん中に立って、球の行方を目で追っていた」という言語報告が得られたことから、「レム睡眠時の急速眼球運動は,覚醒時のサッケードと同様に夢の視覚像を追う(走査する)ために出現する」という説(走査仮説,Scanning hypothesis)が唱えられた<ref name="Dement1957"/><ref name="Roffwarg1962"/> | 1953年にAserinskyとKleitmanがレム睡眠を発見した直後から、「なぜ睡眠中に目が動くのか?」ということが問題になった。レム睡眠中に水平方向の眼球運動が規則正しく出現した被験者を起こして夢内容を聴取したところ、「卓球の試合の夢を見ていた。卓球台の真ん中に立って、球の行方を目で追っていた」という言語報告が得られたことから、「レム睡眠時の急速眼球運動は,覚醒時のサッケードと同様に夢の視覚像を追う(走査する)ために出現する」という説(走査仮説,Scanning hypothesis)が唱えられた<ref name="Dement1957"/><ref name="Roffwarg1962"/> |