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Junko kurahashi (トーク | 投稿記録) 細 (→存在部位) |
Junko kurahashi (トーク | 投稿記録) 細 (→味蕾細胞) |
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== 味蕾細胞 == | == 味蕾細胞 == | ||
[[ファイル:味蕾図2.jpg|サムネイル|300px|'''図2. マウス有郭乳頭の薄切[[切片]]像。'''<br>緑色の細胞はPLCβ2を発現する味細胞(II型細胞)。マゼンタの細胞はCAR4を発現する細胞(III型細胞)。白色の矢頭は味孔の位置を示す。バーは10μm。]] | [[ファイル:味蕾図2.jpg|サムネイル|300px|'''図2. マウス有郭乳頭の薄切[[切片]]像。'''<br>緑色の細胞はPLCβ2を発現する味細胞(II型細胞)。マゼンタの細胞はCAR4を発現する細胞(III型細胞)。白色の矢頭は味孔の位置を示す。バーは10μm。]] | ||
各味蕾の中には、その長軸方向に沿って50~150個程度の細胞が存在し、味孔を介して口腔内の化学物質(味物質)と接触する。これら細胞は電子顕微鏡像より[[I型細胞|I]]、[[II型細胞|II]]、[[III型細胞|III型]]に分類され<ref>'''Murray R.'''<br>The ultrastructure of taste buds.<br>In: Friedemann, I. (Ed.)The Ultrastructure of Sensory Organs<br>''North-Holland'', Amsterdam, pp. 1-81, 1973</ref>、基底部には幹細胞と考えられる[[IV型細胞]]が存在する。味蕾細胞のターンオーバーは早く、約10日とされる<ref><pubmed>5884625</pubmed></ref> | 各味蕾の中には、その長軸方向に沿って50~150個程度の細胞が存在し、味孔を介して口腔内の化学物質(味物質)と接触する。これら細胞は電子顕微鏡像より[[I型細胞|I]]、[[II型細胞|II]]、[[III型細胞|III型]]に分類され<ref>'''Murray R.'''<br>The ultrastructure of taste buds.<br>In: Friedemann, I. (Ed.)The Ultrastructure of Sensory Organs<br>''North-Holland'', Amsterdam, pp. 1-81, 1973</ref>、基底部には幹細胞と考えられる[[IV型細胞]]が存在する。味蕾細胞のターンオーバーは早く、約10日とされる<ref><pubmed>5884625</pubmed></ref>('''図2'''、'''図3''')。 | ||
=== I型細胞 === | === I型細胞 === | ||
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味孔側には短い微絨毛が存在し、大きな丸い核を持つ。[[甘味受容体|甘味]]、[[苦味受容体|苦味]]、[[うま味受容体|うま味]]の受容に関連する遺伝子群([[ガストドューシン]], [[ホスホリパーゼCβ2]], [[transient receptor potential channel M5]] ([[TRPM5]])など)を発現し<ref name=ref14681927><pubmed>14681927</pubmed></ref><ref><pubmed>10940948</pubmed></ref><ref><pubmed>12368808</pubmed></ref>、これらの味質の受容を担うと考えられる。実際II型細胞は甘味、苦味またはうま味刺激に対し最も強い応答を示す<ref name=ref17913917><pubmed>17913917</pubmed></ref><ref name=ref12368808 ><pubmed>12368808</pubmed></ref>。 | 味孔側には短い微絨毛が存在し、大きな丸い核を持つ。[[甘味受容体|甘味]]、[[苦味受容体|苦味]]、[[うま味受容体|うま味]]の受容に関連する遺伝子群([[ガストドューシン]], [[ホスホリパーゼCβ2]], [[transient receptor potential channel M5]] ([[TRPM5]])など)を発現し<ref name=ref14681927><pubmed>14681927</pubmed></ref><ref><pubmed>10940948</pubmed></ref><ref><pubmed>12368808</pubmed></ref>、これらの味質の受容を担うと考えられる。実際II型細胞は甘味、苦味またはうま味刺激に対し最も強い応答を示す<ref name=ref17913917><pubmed>17913917</pubmed></ref><ref name=ref12368808 ><pubmed>12368808</pubmed></ref>。 | ||
II型細胞には明確な[[シナプス]]構造が見られないが、神経線維と非常に近接した部位に[[subsurface cisternae]]と呼ばれる構造が見られ<ref name=ref14681927 /> | II型細胞には明確な[[シナプス]]構造が見られないが、神経線維と非常に近接した部位に[[subsurface cisternae]]と呼ばれる構造が見られ<ref name=ref14681927 />、ここで神経線維への情報伝達が行われると考えられる。II型細胞は味刺激に応じ[[活動電位]]を生じ、[[Calcium]] homeostasis modulator 1 (CALHM1、ATP透過性イオンチャネル)やヘミチャネル(1~2 nmの孔を持つ六角柱状のタンパク質複合体)を通じ[[ATP]]を放出する<ref><pubmed>17389364</pubmed></ref><ref><pubmed>20519578</pubmed></ref><ref><pubmed>23467090</pubmed></ref>。放出された[[ATP]]は神経線維側に存在する受容体([[P2X2受容体|P2X2]]/[[P2X3受容体]])を活性化<ref><pubmed>16322458</pubmed></ref>することでII型細胞から神経線維へシナプスを介さずに情報が伝達されると考えられる。[[skn-1a]]遺伝子欠損[[マウス]]ではII型細胞が消失することから<ref><pubmed>21572433</pubmed></ref>、skn-1aがII型細胞の[[分化]]や維持に重要な機能を持つと考えられる。 | ||
=== III型細胞 === | === III型細胞 === | ||
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III型細胞は[[酸味受容体]]候補遺伝子である[[polycystic kidney disease 2L1]] ([[PKD2L1]])を発現し<ref><pubmed>18156604</pubmed></ref>、実際に多くのIII型細胞は酸味刺激に対し応答を示す12)。また多種の味質に対し応答を示すIII型細胞も存在する。さらに、III型細胞が水の受容に関与することも示されている<ref><pubmed>28553944</pubmed></ref>)。 | III型細胞は[[酸味受容体]]候補遺伝子である[[polycystic kidney disease 2L1]] ([[PKD2L1]])を発現し<ref><pubmed>18156604</pubmed></ref>、実際に多くのIII型細胞は酸味刺激に対し応答を示す12)。また多種の味質に対し応答を示すIII型細胞も存在する。さらに、III型細胞が水の受容に関与することも示されている<ref><pubmed>28553944</pubmed></ref>)。 | ||
味神経線維への情報伝達にはシナプスを介すると考えられ、酸刺激によりセロトニンや[[ノルエピネフリン]]などの神経伝達物質が放出されることが示されているが<ref><pubmed>15673664</pubmed></ref><ref><pubmed>19052199</pubmed></ref>、実際にどの神経伝達物質が機能するかについては明らかとなっていない。 | |||
=== IV型細胞 === | === IV型細胞 === |