「色覚」の版間の差分

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== ユニーク色 ==
== ユニーク色 ==
[[file:Kuriki Fig5.png|thumb|'''図5:反対色軸とユニーク色のずれ'''<br>文献DeValois et al。, 1997<ref><pubmed> 9156186 </pubmed></ref>より改変。色のついた矢印は錐体応答空間('''図4''')の軸方向を示し、横軸/縦軸は4つのユニーク色に対応。]]
[[file:Kuriki Fig5.png|thumb|'''図5:反対色軸とユニーク色のずれ'''<br>文献DeValois et al。, 1997<ref name=DeValois1997><pubmed> 9156186 </pubmed></ref>より改変。色のついた矢印は錐体応答空間('''図4''')の軸方向を示し、横軸/縦軸は4つのユニーク色に対応。]]


 Heringの色相環に代表される反対色の概念を反映した空間では、しばしば赤/青/緑/黄を色の見えの評価基準とする。この色相環を色味の評価に用いる際、これらの基準色(landmark colors)には他の色味をふくまない純粋な色としてユニーク色(unique hue)が用いられる。ユニーク色には無視できない個人差があることが知られている(Webster, Miyahara, Malkoc, & Raker, 2000; Würger, Atkinson, & Cropper, 2005)<ref><pubmed> 10975364 </pubmed></ref><ref><pubmed> 16087209 </pubmed></ref>。例えばユニーク赤は、色相環の上で色を変化させた際に青み/黄色みを含まないと感じる赤と定義する。他のユニーク色についても同様に定義される。ユニーク色を基準として4色(うち2色)の組み合わせで任意の色相を表現でき、例えばオレンジは赤と黄の中間として評定できる。基礎研究でユニーク色を用いる場合には観察者ごとに調整する場合がある。
 Heringの色相環に代表される反対色の概念を反映した空間では、しばしば赤/青/緑/黄を色の見えの評価基準とする。この色相環を色味の評価に用いる際、これらの基準色(landmark colors)には他の色味をふくまない純粋な色としてユニーク色(unique hue)が用いられる。ユニーク色には無視できない個人差があることが知られている(Webster, Miyahara, Malkoc, & Raker, 2000; Würger, Atkinson, & Cropper, 2005)<ref name=webster2000><pubmed> 10975364 </pubmed></ref><ref name=Würger2005><pubmed> 16087209 </pubmed></ref>。例えばユニーク赤は、色相環の上で色を変化させた際に青み/黄色みを含まないと感じる赤と定義する。他のユニーク色についても同様に定義される。ユニーク色を基準として4色(うち2色)の組み合わせで任意の色相を表現でき、例えばオレンジは赤と黄の中間として評定できる。基礎研究でユニーク色を用いる場合には観察者ごとに調整する場合がある。


 一方で、反対色応答の軸となる色(cardinal hues:枢軸色)とユニーク色が一致しないことも知られている(DeValois, DeValois, Switkes, & Mahon, 1997; Webster et al。, 2000; Würger et al。, 2005)<ref><pubmed> 9156186 </pubmed></ref><ref><pubmed> 10975364 </pubmed></ref><ref><pubmed> 16087209 </pubmed></ref>。多数のデータを平均した結果を見ると、ユニーク赤の色相方向は枢軸色のうちL–M軸の正の方向に近いが、他の3色は枢軸方向から明らかにずれている。従ってユニーク色を規定する生理的メカニズムは、網膜や外側膝状体に見られるような、錐体応答が拮抗して入力する反対色細胞ではないと考えられている。
 一方で、反対色応答の軸となる色(cardinal hues:枢軸色)とユニーク色が一致しないことも知られている(DeValois, DeValois, Switkes, & Mahon, 1997; Webster et al。, 2000; Würger et al。, 2005)<ref name=DeValois1997></ref><ref name=webster2000></ref><ref name=Würger2005></ref>。多数のデータを平均した結果を見ると、ユニーク赤の色相方向は枢軸色のうちL–M軸の正の方向に近いが、他の3色は枢軸方向から明らかにずれている。従ってユニーク色を規定する生理的メカニズムは、網膜や外側膝状体に見られるような、錐体応答が拮抗して入力する反対色細胞ではないと考えられている。


== 色覚の多様性/色覚異常 ==
== 色覚の多様性/色覚異常 ==

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