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以上より,標準的なドリフト拡散モデルのパラメータは,開始点の平均 (<math>z</math>),開始点の試行間変動 (<math>s_{z}</math>),ドリフト率の平均 (<math>v</math>),ドリフト率の標準偏差 (<math>\eta</math>),境界 (<math>a</math>),非決定時間の平均 (<math>T_{er}</math>),非決定時間の試行間変動 (<math>s_{t}</math>) の7つとなる。 | 以上より,標準的なドリフト拡散モデルのパラメータは,開始点の平均 (<math>z</math>),開始点の試行間変動 (<math>s_{z}</math>),ドリフト率の平均 (<math>v</math>),ドリフト率の標準偏差 (<math>\eta</math>),境界 (<math>a</math>),非決定時間の平均 (<math>T_{er}</math>),非決定時間の試行間変動 (<math>s_{t}</math>) の7つとなる。 | ||
== | ==選択確率および反応時間分布の理論解== | ||
ドリフト拡散モデルの性質を調べるにはモデルのパラメータと反応時間の分布や選択確率の関係を知る必要がある。上述のようなドリフト拡散過程の計算機シミュレーションを多数回繰り返すことでそれらを数値的に得ることも可能であるが,それには大きな計算コストがかかる。ドリフト拡散モデルのメリットは,確率過程等の数学の理論により理論的な選択確率や反応時間分布が解析的に求められることである。そのように得られた選択確率や分布を用いることで,計算機シミュレーションをせずともパラメータが分布に及ぼす影響を調べることができる。また,理論的な選択確率や反応時間分布が実際のデータに合うようにパラメータを調整することで,パラメータを効率的に推定することも可能である。 | |||
上述のドリフト拡散モデルにおいて,各パラメータを固定した場合 (試行間変動は仮定しない場合) には,それぞれの選択肢を選ぶ確率,およびその反応時間の分布は以下のように求められる <ref name=Ratclif1978 />。下側の境界 (0) に到達し,反応Bが起こる確率は,ドリフト率<math>v</math>,境界<math>a</math>,開始点<math>z</math>の関数として, | 上述のドリフト拡散モデルにおいて,各パラメータを固定した場合 (試行間変動は仮定しない場合) には,それぞれの選択肢を選ぶ確率,およびその反応時間の分布は以下のように求められる <ref name=Ratclif1978 />。下側の境界 (0) に到達し,反応Bが起こる確率は,ドリフト率<math>v</math>,境界<math>a</math>,開始点<math>z</math>の関数として, |
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