「Na-K-2Cl共輸送体」の版間の差分

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E:[[平衡電位]]、R:[[気体定数]]、T: 温度(K)、F:[[ファラデー定数]]、z: イオンの価数、[ion]<sub>out</sub>: 細胞外イオン濃度、[ion]<sub>in</sub>: 細胞内イオン濃度
E:[[平衡電位]]、R:[[気体定数]]、T: 温度(K)、F:[[ファラデー定数]]、z: イオンの価数、[ion]<sub>out</sub>: 細胞外イオン濃度、[ion]<sub>in</sub>: 細胞内イオン濃度


 電気生理学的に平衡電位を測定することによりネルンストの式を用い、該当イオンの細胞内濃度を計算することができる。例として、NKCC1が検出できる生後1-3日の[[ラット]]脳の[[皮質板]](cortical plate)の[Cl<sup>-</sup>]inは約30 mMであるが、NKCC1が検出感度以下になる生後11-20日の[[大脳皮質]]II/III層の神経細胞の[Cl<sup>-</sup>]inは約9 mMであった<ref name=Yamada2004><pubmed>15090604</pubmed></ref> 。
 電気生理学的に平衡電位を測定することによりネルンストの式を用い、該当イオンの細胞内濃度を計算することができる。例として、NKCC1が検出できる生後1-3日の[[ラット]]脳の[[皮質板]](cortical plate)の[Cl<sup>-</sup>]<sub>in</sub>は約30 mMであるが、NKCC1が検出感度以下になる生後11-20日の[[大脳皮質]]II/III層の神経細胞の[Cl<sup>-</sup>]<sub>in</sub>は約9 mMであった<ref name=Yamada2004><pubmed>15090604</pubmed></ref> 。


 このようにKCC2が十分発現している細胞では[Cl<sup>-</sup>]inが減少することで、GABA<sub>A</sub>受容体やグリシン受容体が活性化されると、細胞内イオンは細胞内へ流入し、[[過分極]]を引き起こすため、これらのリガンドは[[抑制性伝達物質]]として作用する。
 このようにKCC2が十分発現している細胞では[Cl<sup>-</sup>]<sub>in</sub>が減少することで、GABA<sub>A</sub>受容体やグリシン受容体が活性化されると、細胞内イオンは細胞内へ流入し、[[過分極]]を引き起こすため、これらのリガンドは[[抑制性伝達物質]]として作用する。
   
   
 NKCC1が優位な未熟な神経細胞ではGABA<sub>A</sub>受容体の活性化により細胞内のCl<sup>-</sup>が流出し[[脱分極]]を起こす。成長につれてKCC2の発現が上昇し[Cl<sup>-</sup>]inが低下するとGABA<sub>A</sub>受容体の活性化は細胞内へのCl<sup>-</sup>の流入を起こし過分極する<ref name=Andrews2020><pubmed>33266310</pubmed></ref> 。
 NKCC1が優位な未熟な神経細胞ではGABA<sub>A</sub>受容体の活性化により細胞内のCl<sup>-</sup>が流出し[[脱分極]]を起こす。成長につれてKCC2の発現が上昇し[Cl<sup>-</sup>]<sub>in</sub>が低下するとGABA<sub>A</sub>受容体の活性化は細胞内へのCl<sup>-</sup>の流入を起こし過分極する<ref name=Andrews2020><pubmed>33266310</pubmed></ref> 。


==疾患との関わり==
==疾患との関わり==

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