16,040
回編集
細 (→報酬) |
細編集の要約なし |
||
97行目: | 97行目: | ||
課題の遂行やその成績に関する報酬が認知的構えに影響する事が示唆されている<ref name=Botvinick2015 /><ref name=Kouneiher2009 />。例えば報酬などが課題の成績に応じて与えられる様な状況では、課題の遂行の速度が速くなり、また情報処理のコンフリクトをもたらす様な刺激の影響を受けにくくなる事が知られている<ref name=Botvinick2015 /><ref name=Padmala2011><pubmed>21452938</pubmed></ref>。 | 課題の遂行やその成績に関する報酬が認知的構えに影響する事が示唆されている<ref name=Botvinick2015 /><ref name=Kouneiher2009 />。例えば報酬などが課題の成績に応じて与えられる様な状況では、課題の遂行の速度が速くなり、また情報処理のコンフリクトをもたらす様な刺激の影響を受けにくくなる事が知られている<ref name=Botvinick2015 /><ref name=Padmala2011><pubmed>21452938</pubmed></ref>。 | ||
==モチベーション== | ===モチベーション=== | ||
この様なゴールの報酬による課題の成績の向上は、認知的構えを用いた課題の遂行のためのモチベーションを上げているからと解釈される。また課題の遂行、特に難しい課題の遂行や課題の切り替えを伴う情報処理が本質的にコストを伴うものであり、モチベーションを損なう効果を持つことも提案されている<ref name=Shenhav2017 /><ref name=Kool2013 /><ref name=Kool2018a><pubmed>30988433</pubmed></ref><ref name=Kool2018b><pubmed> 23230991 </pubmed></ref><ref name=Kool2010><pubmed>20853993</pubmed></ref>。 | この様なゴールの報酬による課題の成績の向上は、認知的構えを用いた課題の遂行のためのモチベーションを上げているからと解釈される。また課題の遂行、特に難しい課題の遂行や課題の切り替えを伴う情報処理が本質的にコストを伴うものであり、モチベーションを損なう効果を持つことも提案されている<ref name=Shenhav2017 /><ref name=Kool2013 /><ref name=Kool2018a><pubmed>30988433</pubmed></ref><ref name=Kool2018b><pubmed> 23230991 </pubmed></ref><ref name=Kool2010><pubmed>20853993</pubmed></ref>。 | ||
111行目: | 111行目: | ||
====メンタルエフォートの正・負の報酬価値==== | ====メンタルエフォートの正・負の報酬価値==== | ||
以上の議論の様に認知的構えとそれに関わるメンタルエフォートは全般的に負の報酬価値または経済的なコストを伴うものと考えられているが、何が精神的努力となりまた精神的な疲労となっていくかについては、未だに議論が分かれている<ref name=Inzlicht2018 />。ある状況ではメンタルエフォートを伴う課題の遂行に関する努力が正の報酬価値を持ちうる事もある。難しい課題を学習し達成していく時の達成感などの感覚<ref name=Csikszentmihalyi1988>'''Csikszentmihalyi, M. (1988).'''<br>The flow experience and its significance for human psychology, ''Optim. Exp. Psychol. Stud. Flow Conscious.'', 2, 15–35 [https://doi.org/10.1017/CBO9780511621956.002 [DOI<nowiki>]</nowiki>]</ref><ref name=Csikszentmihalyi1992>'''Csikszentmihalyi M. and Csikszentmihalyi, I. S. (1992).'''<br>Optimal experience: Psychological studies of flow in consciousness. ''Cambridge University Press''.</ref>や、登山やランニングなどに関わる報酬的な要素などが良い例であろう。 | 以上の議論の様に認知的構えとそれに関わるメンタルエフォートは全般的に負の報酬価値または経済的なコストを伴うものと考えられているが、何が精神的努力となりまた精神的な疲労となっていくかについては、未だに議論が分かれている<ref name=Inzlicht2018 />。ある状況ではメンタルエフォートを伴う課題の遂行に関する努力が正の報酬価値を持ちうる事もある。難しい課題を学習し達成していく時の達成感などの感覚<ref name=Csikszentmihalyi1988>'''Csikszentmihalyi, M. (1988).'''<br>The flow experience and its significance for human psychology, ''Optim. Exp. Psychol. Stud. Flow Conscious.'', 2, 15–35 [https://doi.org/10.1017/CBO9780511621956.002 [DOI<nowiki>]</nowiki>]</ref><ref name=Csikszentmihalyi1992>'''Csikszentmihalyi M. and Csikszentmihalyi, I. S. (1992).'''<br>Optimal experience: Psychological studies of flow in consciousness. ''Cambridge University Press''.</ref>や、登山やランニングなどに関わる報酬的な要素などが良い例であろう。 | ||
==神経基盤== | ==神経基盤== |