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細 (→神経系における発現) |
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== 神経系における発現 == | == 神経系における発現 == | ||
ラット、マウス、ヒトの中枢神経系におけるTGF-βの局在およびその遺伝子発現パターンは免疫染色あるいはin situ hybridizationを用いた研究によって調べられている。TGF-βの局在およびその遺伝子発現パターンには若干の動物種差がある。ここでは成体ラット脳組織切片を用いて調べられたTGF-βの局在およびその遺伝子発現パターンについて紹介する<ref name=Knuckey1996><pubmed>8840007</pubmed></ref><ref name=Unsicker1991><pubmed>1754055</pubmed></ref><ref name=Vincze2010><pubmed>20653032</pubmed></ref>。免疫組織化学によって検出されるTGF-β免疫性反応とin situハイブリダイゼーションで検出されるTGF-β mRNAシグナルの分布パターンは必ずしも一致していない。 | |||
TGF-β1免疫反応性は海馬の錐体細胞、脳の髄膜、脈絡叢で検出されている。TGF-β2および -β3免疫反応性は大脳皮質、海馬、視床、視床下部、中脳、脊髄など様々な領域の神経細胞および白質内のアストロサイトで検出されている。 | TGF-β1免疫反応性は海馬の錐体細胞、脳の髄膜、脈絡叢で検出されている。TGF-β2および -β3免疫反応性は大脳皮質、海馬、視床、視床下部、中脳、脊髄など様々な領域の神経細胞および白質内のアストロサイトで検出されている。 | ||
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TGF-β1 mRNAに対する強いシグナルは大脳皮質、海馬、中心扁桃体核、内側視索前野、視床下部室傍核、黒質、脳幹網様体などで検出されている。TGF-β2 mRNAの強いシグナルは深部皮質層、歯状回、正中線視床核、後視床下部および乳頭体、上オリーブ核、モノアミン作動性ニューロンの領域、三叉神経脊髄路核、背側迷走神経複合体、小脳、および脈絡叢で検出されている。TGF-β3 mRNAの強いシグナルは大脳皮質、海馬、扁桃体基底核、外側中隔核、いくつかの視床核、弓状核および乳頭体上核、上丘、上オリーブ核、脳幹網様体、最後野、および下オリーブ核で検出されている。 | TGF-β1 mRNAに対する強いシグナルは大脳皮質、海馬、中心扁桃体核、内側視索前野、視床下部室傍核、黒質、脳幹網様体などで検出されている。TGF-β2 mRNAの強いシグナルは深部皮質層、歯状回、正中線視床核、後視床下部および乳頭体、上オリーブ核、モノアミン作動性ニューロンの領域、三叉神経脊髄路核、背側迷走神経複合体、小脳、および脈絡叢で検出されている。TGF-β3 mRNAの強いシグナルは大脳皮質、海馬、扁桃体基底核、外側中隔核、いくつかの視床核、弓状核および乳頭体上核、上丘、上オリーブ核、脳幹網様体、最後野、および下オリーブ核で検出されている。 | ||
グリア細胞におけるTGF-βの発現については培養細胞を用いたin vitroの研究でも報告されている。培養アストロサイトではTGF-β1、-β2、-β3 mRNAが検出されており、TGF-β1および-β2についてはタンパク質レベルでもその発現が確認されている<ref name=Flanders1993><pubmed>19912947</pubmed></ref>。培養ミクログリアでは、TGF-β1、-β2、-β3に対する免疫陽性反応が検出されているとともに、TGF-β1 mRNAが産生されていることも報告されている<ref name=daCunha1993><pubmed>8423208</pubmed></ref>。TGF-β1mRNAの産生は培養アストロサイトと培養オリゴデンドロサイトでも報告されている<ref name=Derynck2003><pubmed>14534577</pubmed></ref>。 | |||
== 機能 == | == 機能 == | ||