「D-セリン」の版間の差分

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<ref name=Ishiwata2013><pubmed>23417484</pubmed></ref> [30, 31]、ナトリウム依存性中性アミノ酸輸送体(Na+-dependent broad-spectrum neutral amino acid transporter)のASCT1<ref name=Kaplan2018><pubmed>30185558</pubmed></ref> [32]およびASCT2<ref name=Foster2016><pubmed>27272177</pubmed></ref> [33]などが、<small>D</small>-セリンの生理的な取り込みや遊離に関与することが示唆されているが、<small>D</small>-セリンに対する親和性はAsc-1が最も高い。
<ref name=Ishiwata2013><pubmed>23417484</pubmed></ref> [30, 31]、ナトリウム依存性中性アミノ酸輸送体(Na+-dependent broad-spectrum neutral amino acid transporter)のASCT1<ref name=Kaplan2018><pubmed>30185558</pubmed></ref> [32]およびASCT2<ref name=Foster2016><pubmed>27272177</pubmed></ref> [33]などが、<small>D</small>-セリンの生理的な取り込みや遊離に関与することが示唆されているが、<small>D</small>-セリンに対する親和性はAsc-1が最も高い。
=== 分解 ===
=== 分解 ===
 内在性<small>D</small>-セリンの分解にはD-アミノ酸酸化酵素が関与すると考えられている<ref name=Koga2017><pubmed>29255714</pubmed></ref> [34]。本酵素はKrebsらによって1935年に発見され、酵母から哺乳類まで生物界に広く存在し、D体中性アミノ酸を基質とするがL体には作用しないことが知られてきた<ref name=Koga2017 / > [34]。外来性の不要なD体アミノ酸を除去することが生理的機能と推測されていたが、内在性<small>D</small>-セリンが証明された後、その生理的分解酵素として注目されている<ref name=Koga2017 / > [34]。哺乳類では、脳、腎臓、肝臓に分布し、本酵素活性を欠損するマウスやラットでは、これらの部位で<small>D</small>-セリンの組織中濃度が増大する<ref name=Miyoshi2012 /> [14, 35] <ref name=Hashimoto2008><pubmed>8100053</pubmed></ref>。齧歯類の脳では生後7日頃から発現し、成熟期には<small>D</small>-セリンと逆相関を示すことから、<small>D</small>-セリンの濃度勾配の構築に寄与している可能性がある<ref name=Koga2017 / ><ref name=Wang2003><pubmed>14531937</pubmed></ref> [34,36]。
 内在性<small>D</small>-セリンの分解には<small>D</small>-アミノ酸酸化酵素が関与すると考えられている<ref name=Koga2017><pubmed>29255714</pubmed></ref> [34]。本酵素はKrebsらによって1935年に発見され、酵母から哺乳類まで生物界に広く存在し、<small>D</small>体中性アミノ酸を基質とするがL体には作用しないことが知られてきた<ref name=Koga2017 /> [34]。外来性の不要な<small>D</small>体アミノ酸を除去することが生理的機能と推測されていたが、内在性<small>D</small>-セリンが証明された後、その生理的分解酵素として注目されている<ref name=Koga2017 /> [34]。哺乳類では、脳、腎臓、肝臓に分布し、本酵素活性を欠損するマウスやラットでは、これらの部位で<small>D</small>-セリンの組織中濃度が増大する<ref name=Miyoshi2012 /> [14, 35] <ref name=Hashimoto2008><pubmed>8100053</pubmed></ref>。齧歯類の脳では生後7日頃から発現し、成熟期には<small>D</small>-セリンと逆相関を示すことから、<small>D</small>-セリンの濃度勾配の構築に寄与している可能性がある<ref name=Koga2017 /><ref name=Wang2003><pubmed>14531937</pubmed></ref> [34,36]。


 セリンラセマーゼにはD体およびL体のセリンをピルビン酸とアンモニアに分解する、デヒドラターゼ活性が見出されているが<ref name=Foltyn2008><pubmed>15536068</pubmed></ref> [37]、本酵素の欠損マウスでは<small>D</small>-セリンが著明に減少し、<small>D</small>-セリンの生理的な分解における役割は未解明である。
 セリンラセマーゼにはD体およびL体のセリンをピルビン酸とアンモニアに分解する、デヒドラターゼ活性が見出されているが<ref name=Foltyn2008><pubmed>15536068</pubmed></ref> [37]、本酵素の欠損マウスでは<small>D</small>-セリンが著明に減少し、<small>D</small>-セリンの生理的な分解における役割は未解明である。

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