「抗精神病薬」の版間の差分

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 前述したように''in vitro''では、抗精神病薬の臨床用量とD<sub>2</sub>受容体阻害能は正の相関を示すが、D<sub>2</sub>受容体阻害作用が強ければ強いほど抗精神病効果が高まるわけではない。抗精神病薬の用量を上げてD<sub>2</sub>受容体の阻害がある一定のレベルを超えると、臨床効果は頭打ちとなり、錐体外路症状や過鎮静などの副作用の発現頻度が増加する。
 前述したように''in vitro''では、抗精神病薬の臨床用量とD<sub>2</sub>受容体阻害能は正の相関を示すが、D<sub>2</sub>受容体阻害作用が強ければ強いほど抗精神病効果が高まるわけではない。抗精神病薬の用量を上げてD<sub>2</sub>受容体の阻害がある一定のレベルを超えると、臨床効果は頭打ちとなり、錐体外路症状や過鎮静などの副作用の発現頻度が増加する。


 抗精神病薬がヒト脳内のD<sub>2</sub>受容体とどのような結合状態にあるかに関して、1990年代後半から[[Positron Emission Tomography]] (PET)や[[Single Photon Emission]] Computed Tomography (SPECT)を用いた脳画像研究が盛んに行われ、患者の脳内 (''in vivo'')での挙動が視覚的に把握できるようになり、新しい知見が得られた。すなわち、抗精神病薬投与による抗精神病効果の出現には、65~70% 以上の[[線条体]]でのD<sub>2</sub>受容体の占拠率が必要であるが、80%以上占拠すると錐体外路症状の頻度が有意に増加する。したがって、治療効果を最大にして錐体外路症状を最小限にするための至適な線条体D<sub>2</sub> 受容体の占拠率は、65~80%であることが判明した。
 抗精神病薬がヒト脳内のD<sub>2</sub>受容体とどのような結合状態にあるかに関して、1990年代後半から[[Positron Emission Tomography]] (PET)や[[Single Photon Emission Computed Tomography]] (SPECT)を用いた脳画像研究が盛んに行われ、患者の脳内 (''in vivo'')での挙動が視覚的に把握できるようになり、新しい知見が得られた。すなわち、抗精神病薬投与による抗精神病効果の出現には、65~70% 以上の[[線条体]]でのD<sub>2</sub>受容体の占拠率が必要であるが、80%以上占拠すると錐体外路症状の頻度が有意に増加する。したがって、治療効果を最大にして錐体外路症状を最小限にするための至適な線条体D<sub>2</sub> 受容体の占拠率は、65~80%であることが判明した。


 しかし、多数のPETやSPECT研究結果を分析したStoneら <ref><pubmed> 18303092 </pubmed></ref>の[[wikipedia:JA:メタ解析|メタ解析]]では、線条体のD<sub>2</sub>受容体阻害は治療効果よりも錐体外路症状の発現に関与し、抗精神病効果に関係するのは[[側頭葉皮質]]のD<sub>2</sub>受容体であると主張している。しかし、側頭葉皮質以外のD<sub>2</sub>受容体も抗精神病効果に関与する可能性は十分あり、今後真の標的部位を探求する脳画像研究が必要である。  
 しかし、多数のPETやSPECT研究結果を分析したStoneら <ref><pubmed> 18303092 </pubmed></ref>の[[wikipedia:JA:メタ解析|メタ解析]]では、線条体のD<sub>2</sub>受容体阻害は治療効果よりも錐体外路症状の発現に関与し、抗精神病効果に関係するのは[[側頭葉皮質]]のD<sub>2</sub>受容体であると主張している。しかし、側頭葉皮質以外のD<sub>2</sub>受容体も抗精神病効果に関与する可能性は十分あり、今後真の標的部位を探求する脳画像研究が必要である。


=== 第2世代抗精神病薬の薬理学的特徴  ===
=== 第2世代抗精神病薬の薬理学的特徴  ===

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