「全胚培養」の版間の差分

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 全胚培養で用いる胚の発生段階は器官形成期という最もダイナミックな形態形成が行われる時期であり、[[細胞増殖]]、細胞移動、[[細胞分化]]などの重要な発生事象が起こる。この発生段階に色素を用いた細胞標識、細胞移植など<ref><pubmed> 7981749 </pubmed></ref>を行うことにより、細胞系譜や分化運命のポテンシャルを検討することができる。また、薬剤や[[wikipedia:ja:生理活性|生理活性物質]]を培養液に添加することにより、発生毒性・胎児代謝の研究に応用されており、医薬品の安全性試験としても使用されている。
 全胚培養で用いる胚の発生段階は器官形成期という最もダイナミックな形態形成が行われる時期であり、[[細胞増殖]]、細胞移動、[[細胞分化]]などの重要な発生事象が起こる。この発生段階に色素を用いた細胞標識、細胞移植など<ref><pubmed> 7981749 </pubmed></ref>を行うことにより、細胞系譜や分化運命のポテンシャルを検討することができる。また、薬剤や[[wikipedia:ja:生理活性|生理活性物質]]を培養液に添加することにより、発生毒性・胎児代謝の研究に応用されており、医薬品の安全性試験としても使用されている。
 胚発生における特定[[wikipedia:ja:遺伝子|遺伝子]]の機能を知るためには、時間的、空間的に制御可能な遺伝子操作が必要である。近年の[[wikipedia:ja:遺伝子工学|遺伝子工学]]技術はめざましく、[[トランスジェニック動物]]や[[ノックアウト動物]]などの技術が開発され、さらに[[cre-loxP]]システムによる条件つき遺伝子改変が可能になったものの、その作製労力を考えると決して簡便ではない。全胚培養法を用いれば、[[電気穿孔法]](エレクトロポレーション法)を組み合わせることによって、遺伝子を直接細胞内に導入することができる<ref><pubmed> 11327800 </pubmed></ref>。導入する遺伝子は単独である必要はなく、複数の遺伝子を導入時に、あるいは時間差で導入することも可能である。また、ドミナントネガティブ分子による機能阻害実験、[[siRNA]]によるノックダウン実験<ref><pubmed> 16237179 </pubmed></ref>、および[[wikipedia:ja:ベクター|ウィルスベクター]]を用いた遺伝子導入も可能である。これらの技術は基礎研究だけでなく、特定の疾患[[モデル動物]]を対象とした遺伝子治療の研究にも有効であると考えられる。  
 胚発生における特定[[wikipedia:ja:遺伝子|遺伝子]]の機能を知るためには、時間的、空間的に制御可能な遺伝子操作が必要である。近年の[[wikipedia:ja:遺伝子工学|遺伝子工学]]技術はめざましく、[[トランスジェニック動物]]や[[ノックアウト動物]]などの技術が開発され、さらに[[cre-loxP]]システムによる条件つき遺伝子改変が可能になったものの、その作製労力を考えると決して簡便ではない。全胚培養法を用いれば、[[電気穿孔法]](エレクトロポレーション法)を組み合わせることによって、遺伝子を直接細胞内に導入することができる<ref><pubmed> 11327800 </pubmed></ref>。導入する遺伝子は単独である必要はなく、複数の遺伝子を導入時に、あるいは時間差で導入することも可能である。また、ドミナントネガティブ分子による機能阻害実験、[[siRNA]]によるノックダウン実験<ref><pubmed> 16237179 </pubmed></ref>、および[[wikipedia:ja:ベクター|ウィルスベクター]]を用いた遺伝子導入も可能である。これらの技術は基礎研究だけでなく、特定の疾患[[モデル動物]]を対象とした遺伝子治療の研究にも有効であると考えられる。  


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