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Nobuakitanaka (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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===Gタンパク質共役型受容体=== | ===Gタンパク質共役型受容体=== | ||
7回膜貫通型のタンパク質で、一般に多量体を形成し、味物質と結合するとGタンパク質を活性化して、セカンドメッセンジャーを介して、最終的にTransient receptor channel type M5 (TRPM5)に陽イオンを流入させたり、小胞体からカルシウムを放出することで、味細胞を脱分極させる。個々の受容体タンパク質に複数の刺激物質と結合するサイトがあると考えられており、1受容体は複数の刺激物質を検出する。大きく分けて、生体にとって栄養源となるうま味や甘味などを認識するT1Rファミリーと、生体にとって有害な苦味を検出するT2Rファミリーの2種があり、T1RとT2Rはそれぞれ異なる味細胞で発現することが知られている。 | 7回膜貫通型のタンパク質で、一般に多量体を形成し、味物質と結合するとGタンパク質を活性化して、セカンドメッセンジャーを介して、最終的にTransient receptor potential channel type M5 (TRPM5)に陽イオンを流入させたり、小胞体からカルシウムを放出することで、味細胞を脱分極させる。個々の受容体タンパク質に複数の刺激物質と結合するサイトがあると考えられており、1受容体は複数の刺激物質を検出する。大きく分けて、生体にとって栄養源となるうま味や甘味などを認識するT1Rファミリーと、生体にとって有害な苦味を検出するT2Rファミリーの2種があり、T1RとT2Rはそれぞれ異なる味細胞で発現することが知られている。 | ||
味覚受容体は、一般的なGタンパク質共役型受容体と比較すると種間の配列の相違が大きく、その配列の相違が種間の味覚の違いをうんでいることが示されている。うま味受容体を例にとると、マウスでは、大部分のL型アミノ酸がうま味として認識されるのに対して、ヒトではL型グルタミン酸やL型アスパラギン酸しか強く認識されないのは、受容体の配列の違いによるものである。 | 味覚受容体は、一般的なGタンパク質共役型受容体と比較すると種間の配列の相違が大きく、その配列の相違が種間の味覚の違いをうんでいることが示されている。うま味受容体を例にとると、マウスでは、大部分のL型アミノ酸がうま味として認識されるのに対して、ヒトではL型グルタミン酸やL型アスパラギン酸しか強く認識されないのは、受容体の配列の違いによるものである。 | ||
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'''酸味受容体''' | '''酸味受容体''' | ||
Transient receptor potential | Transient receptor potential channel(TRP)の1種であるPKD2L1を発現している味細胞が、酸を感知することが知られている。しかしながら、PKD2L1の膜局在に必要なPKD1L3の欠損マウスでも、酸味に対する応答が減少しないことから、PKD2L1が受容体として働いているわけではないようである。現在、Zn2+感受性のH+チャンネルが、酸味受容体として働いていることが示されているが、どのチャネルかは未同定である。 | ||
'''塩味受容体''' | '''塩味受容体''' | ||
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昆虫においても、甘味や苦味に対する受容体は、7回膜貫通型で、構造的にはGタンパク質共役型だと考えられている。実際、Gタンパク質を欠損させると、味覚応答が部分的に低下する。しかしながら、近年、リガンド結合型イオンチャネルの特性があることも示され、昆虫の甘味や苦味に対する受容機構は脊椎動物とは異なることが示唆されている。 | 昆虫においても、甘味や苦味に対する受容体は、7回膜貫通型で、構造的にはGタンパク質共役型だと考えられている。実際、Gタンパク質を欠損させると、味覚応答が部分的に低下する。しかしながら、近年、リガンド結合型イオンチャネルの特性があることも示され、昆虫の甘味や苦味に対する受容機構は脊椎動物とは異なることが示唆されている。 | ||
==関連項目== | |||
*[[Gタンパク質共役型受容体]] | |||
*[[イオンチャネル]] | |||
*[[Transient receptor potential channel]] | |||
==参考文献== | |||
化学受容の科学(化学同人) 東原和成編 | |||
Yarmolinsky DA, Zuker CS, Ryba NJ. (2009) Common sense about taste: from mammals to insects. Cell 139:234-244. Review. |
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