「チロシンリン酸化」の版間の差分

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 1979年Tony Hunterにより、[[wikipedia:ja:癌遺伝子|癌遺伝子]]産物[[wikipedia:V-Src|V-Src]]および[[wikipedia:ja:癌遺伝子|癌原遺伝子]]産物[[wikipedia:C-src tyrosine kinase|C-Src]]がチロシンリン酸化活性を持つことが発見された<ref><pubmed>19269802</pubmed></ref>。これが最初のチロシンキナーゼの報告例であり、以後、多くのチロシンキナーゼが同定された。
 1979年Tony Hunterにより、[[wikipedia:ja:癌遺伝子|癌遺伝子]]産物[[wikipedia:V-Src|V-Src]]および[[wikipedia:ja:癌遺伝子|癌原遺伝子]]産物[[wikipedia:C-src tyrosine kinase|C-Src]]がチロシンリン酸化活性を持つことが発見された<ref><pubmed>19269802</pubmed></ref>。これが最初のチロシンキナーゼの報告例であり、以後、多くのチロシンキナーゼが同定された。


 現在では真核生物[[wikipedia:ja:ゲノム|ゲノム]]の全遺伝子の約2%は[[セリン・スレオニンキナーゼ]]およびチロシンキナーゼをコードする事が知られている。(ただし、[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]] の場合、キナーゼ518種の内、約50種には活性がなく、また106種は[[wikipedia:ja:偽遺伝子|偽遺伝子]]であると考えられる)。[[wikipedia:ja:細菌|細菌]]や[[wikipedia:ja:酵母|酵母]]にはチロシンキナーゼは存在せず、[[wikipedia:ja:線虫|線虫]] ''C. elegans''(19,100遺伝子)には全キナーゼ数454(2.4%)の内チロシンキナーゼは90種、[[wikipedia:ja:ショウジョウバエ|ショウジョウバエ]] ''D. melanogaster''(13,600遺伝子)には全キナーゼ数239(1.8%)の内チロシンキナーゼは32種、[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]] ''H. sapiens''(23,000遺伝子)には全キナーゼ数518(2.2%)の内チロシンキナーゼは90種が存在する。構造的に、[[wikipedia:Transmembrane domain|膜貫通領域]]を持つ[[受容体]]型と膜貫通領域を持たない非受容体型とに大別される。ヒトには58種の[[受容体型チロシンキナーゼ]]と32種の[[非受容体型チロシンキナーゼ]]が存在する。
 現在では真核生物[[wikipedia:ja:ゲノム|ゲノム]]の全遺伝子の約2%は[[セリン・スレオニンキナーゼ]]およびチロシンキナーゼをコードする事が知られている。[[wikipedia:ja:細菌|細菌]]や[[wikipedia:ja:酵母|酵母]]にはチロシンキナーゼは存在せず、[[wikipedia:ja:線虫|線虫]] ''C. elegans''(19,100遺伝子)には全キナーゼ数454(2.4%)の内チロシンキナーゼは90種、[[wikipedia:ja:ショウジョウバエ|ショウジョウバエ]] ''D. melanogaster''(13,600遺伝子)には全キナーゼ数239(1.8%)の内チロシンキナーゼは32種、[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]] ''H. sapiens''(23,000遺伝子)には全キナーゼ数518(2.2%)の内チロシンキナーゼは90種が存在する。ただしヒトの場合キナーゼ518種の内、約50種には活性がなく、また106種は[[wikipedia:ja:偽遺伝子|偽遺伝子]]であると考えられる。
 
 構造的に、[[wikipedia:Transmembrane domain|膜貫通領域]]を持つ[[受容体]]型と膜貫通領域を持たない非受容体型とに大別される。ヒトには58種の[[受容体型チロシンキナーゼ]]と32種の[[非受容体型チロシンキナーゼ]]が存在する。


 Srcを含む非受容体型チロシンキナーゼは、分子構造として細胞外領域をもたず、細胞内領域にチロシンキナーゼドメインをもつ。受容体型チロシンキナーゼと同様に、非受容体型チロシンキナーゼもキナーゼドメイン中には自己リン酸化部位およびATP結合部位を含み、自己リン酸化によりキナーゼ活性を調節している。受容体型チロシンキナーゼと異なり、非受容体型チロシンキナーゼには、直接的に結合するリガンドはない。上位の制御因子は細胞膜上に存在する種々の受容体タンパク質であり、非受容体型チロシンキナーゼは、神経系においても様々な膜受容体と会合して、膜受容体から細胞内への情報伝達を担う。Srcファミリーチロシンキナーゼは、現在までに[[wikipedia:Src_(gene)|Src]]、[[wikipedia:YES1|Yes]]、[[wikipedia:FYN|Fyn]]、[[wikipedia:FGR_(gene)|Fgr]]、[[wikipedia:LYN|Lyn]]、[[wikipedia:Lck|Lck]]、[[wikipedia:HCK|Hck]]、[[wikipedia:Tyrosine-protein kinase BLK|Blk]]、[[wikipedia:Fyn-related kinase|Frk]]の9種が同定されており、脳では、Src、Yes、Fyn、Lyn、Lckが高発現を示す。発現部位ごとに[[wikipedia:ja:スプライシング|スプライシング]]多様性がみられるものもある。Srcファミリーチロシンキナーゼの場合、N末端領域に[[ミリスチル化]]部位や[[パルミトイル化]]部位を有し、これらの[[wikipedia:ja:脂肪酸|脂肪酸]]結合により細胞膜に付着し、膜近辺に局在する様になる。  
 Srcを含む非受容体型チロシンキナーゼは、分子構造として細胞外領域をもたず、細胞内領域にチロシンキナーゼドメインをもつ。受容体型チロシンキナーゼと同様に、非受容体型チロシンキナーゼもキナーゼドメイン中には自己リン酸化部位およびATP結合部位を含み、自己リン酸化によりキナーゼ活性を調節している。受容体型チロシンキナーゼと異なり、非受容体型チロシンキナーゼには、直接的に結合するリガンドはない。上位の制御因子は細胞膜上に存在する種々の受容体タンパク質であり、非受容体型チロシンキナーゼは、神経系においても様々な膜受容体と会合して、膜受容体から細胞内への情報伝達を担う。Srcファミリーチロシンキナーゼは、現在までに[[wikipedia:Src_(gene)|Src]]、[[wikipedia:YES1|Yes]]、[[wikipedia:FYN|Fyn]]、[[wikipedia:FGR_(gene)|Fgr]]、[[wikipedia:LYN|Lyn]]、[[wikipedia:Lck|Lck]]、[[wikipedia:HCK|Hck]]、[[wikipedia:Tyrosine-protein kinase BLK|Blk]]、[[wikipedia:Fyn-related kinase|Frk]]の9種が同定されており、脳では、Src、Yes、Fyn、Lyn、Lckが高発現を示す。発現部位ごとに[[wikipedia:ja:スプライシング|スプライシング]]多様性がみられるものもある。Srcファミリーチロシンキナーゼの場合、N末端領域に[[ミリスチル化]]部位や[[パルミトイル化]]部位を有し、これらの[[wikipedia:ja:脂肪酸|脂肪酸]]結合により細胞膜に付着し、膜近辺に局在する様になる。